二十二話 イベント終了です!
サンドディザスターは火だるまになったまま倒れていた。また砂埃がたってしまっており、それ以外のものがよく見えない。
ミヤビを探して辺りを見回すが、どこにも見えない。と、そのとき。
「うわあああああ! 」
「ボスッ。」
上から降ってきた。
ミヤビはすぐに起き上がった。柔らかい砂の上だから、ゲームオーバーなんてことにはならずにすんだのだろう。
「大丈夫なのかい? ほんとに無茶ばっかりするよな。」
「全然! 倒せたし結果オーライでしょ。」
サンドディザスターは、体が例の電子のような演出で消え始めていた。
「いやあほんとに凄い爆発でしたよね。」
「君が起こしたんだろう! 」
山が少し崩れて、ところどころはまだ燃えている。
サンドディザスターはアゴの先だけ残して、消えてしまった。
「このアゴが討伐証明なんでしょうかね。」
「そうだと思う。これで800ポイントと12,000ゴールドだ。また君に助けられっぱなしだったね。」
「そんなことないですよ。私が平気な顔して捨て身の作戦をとれるのは、後ろにロータスさんが控えているからですよ! 」
「いや、毎回あんなことをするのはやめてくれよ? 」
「それはどうでしょうかね。」
はぐらかされてしまった。
数分後、イベント終了の合図が出た。元いたオアシスの町の広場まで戻るように指示が出たので、プレイヤーたちはみんな町へともどった。
広場では、案内ドラゴンが待っていた。全ての参加プレイヤーが戻ってくると、ドラゴンは喋り始めた。
「みんなお疲れ様! さっそく結果発表を始めるよ! 」
始まる前と比べて、みんな疲れているので反応も乏しい。
「これが今回のイベントのランキングだよ! 」
俺たちの前に大きな画面が表示された。
800ポイント以上を獲得しているので、報酬は心配していないが、順位が気になり見てみると……。
「おお! ロータスさん、2位ですよ! 」
あれ、2位か。意外だな、ダントツで1位だと思っていたのに。
1位のパーティーは「アクシズ」、1030ポイントだった。俺たちはそれに次ぐ910ポイント。
1位は四人パーティーらしいが、どれがそのパーティーかは、見るだけでは分からなかった。
釈然としない俺の表情を見て、ミヤビは気を使ったようで
「2位は報酬が出るんですから、喜びましょ? 」
「あ、そうだったね。よかったよ、本当に。」
報酬は十位以内が条件だから、今回はこれで勝ちだ。10,000ゴールドと「砂漠の涙」をその場で受け取ることが出来た。
ゴールドは、このあと換金しに行くサンドディザスターの12,000ゴールドもあるので、合計は22,000ゴールドだ。
金鉱山の分も使い切ってないというのに、ゴールドは貯まっていく一方だ。
案内ドラゴンは、賞品の受け渡しまで済ませると、イベントを締めくくった。
「それじゃあみんな! 以上で『ハンターズナイト in W5』は終了だよー! お疲れ様! 」
そう言ってドラゴンは消えてしまった。
取り残されたプレイヤーたちもそれぞれバラバラになって帰っていった。
「私たちもギルドに戻りましょうか? 」
「そうだね。換金にも行こう! 」
「賛成! 」
換金のときのワクワクは何度味わってもすり減ることがない。
サンドディザスターのアゴ先を換金に出すと、問題なく手続きが行われた。
報酬12,000ゴールドが渡されたのだが、それと一緒に、他の報酬まで渡された。
「あれ、ゴールドだけじゃないの? 」
「そうみたいですね。私も知りませんでした。」
換金所の人は、12,000ゴールドの他に、奥から人一人がすっぽり入ってしまいそうなほど巨大な袋を持ち出してきたのだ。
「こちら、サンドディザスター討伐報酬の『デザートストーム』でございます。」
デザートストーム? よくは分からないけれど、貰えるものならと、貰っておいた。
大袋は重かった。何が入っているのだろうかと気になりながらも、俺たちは換金所を後にした。
ギルドの一角にあるテーブルに腰掛けた。
「ロータスさん、その大袋を早く開けてみましょうよ! 気になってしまいます。」
「そうだね。俺も気になってたよ。」
大袋を上から剥くように外していくと、現れたのは剣の柄。
それも普通の剣ではなかった。大剣だ。明らかに巨大である。
「おお! これ武器じゃないですか! 」
もっと下まで袋を下げていくと、刀身が見えてきた。少し藍がかった、鈍色の刀身。そのところどころを暗紅の装飾が包んでいる。
「凄い見た目ですね。」
「うん、装備したら呪われてしまいそう。」
このゲームに呪われるなんて仕様があるのかどうかは分からないけど、そう感じてしまうくらいには禍々しい剣だ。
切先まで、全てが露わになった。サイズはこれまでの大剣と同じくらいの長さ。重量も然り。だから、使う分には何も問題はないと思う。
とまあ、サンドディザスターの報酬はこのくらい。もっと気になるのは、イベント自体の報酬だった。
ゴールドはいい。余ってるから。得体の知れないのはもう一つの方だ。
「この、『砂漠の涙』ってなんなんだろうね? 」
「それ私も思ってました。一応装備品みたいですけど。」
すでに受け取った「砂漠の涙」をテーブルの上に出した。
それは、澄み切った橙赤色のピアスだった。




