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二百二話 大停電の中!

 この隕石も、味方の技ながらにかなり恐ろしい力だ。広範囲の敵を一掃してしまううえに威力もとんでもない。一発撃つだけで地形さえも変えてしまうのはもはや反則な気がする。


 しかしこの状況をひっくり返すのには、これ以上ない起死回生の一手だ。




「ズドォォォン!!」




「うぉあ!」


プレイヤーたちも少し吹っ飛ばされてしまった。まあ今のところは味方だからダメージは入らないが……


「おいおい! ちょっと燃えているぞ!」


あれ? 燃焼ダメージは入っちゃうのか。


「まあ大丈夫だ。火はすぐに消えるし大したダメージじゃない」


よかった。味方をゲームオーバーさせてしまったら、とんだオウンゴールだ。逆に状況が悪化してしまう。


 そして、モンスターたちもみんな消えてしまっていた。


「よっしゃ! これでまた戦えるぞ!」


「いいか! もう攻撃の時にモンスターが出てきてしまうのは仕方がない。だからティアだけを狙え! 他のモンスターはもう一切狙うな!」


モンスターを狙ってしまっては、またさっきのような無限マトリョーシカ状態に陥ってしまう。だから、もうティアしか狙わない。そうすることがいまの最善策だ。


 すると、ティアはまたもや不敵に笑った。


「ははは、まずは合格だよ諸君。そういかに混乱せずに僕だけを狙うかというのが、重要なポイントだったのさ。とりあえずはできたみたいだね。ほめてあげるよ縺ッ縺」縺ッ縺」縺ッ」


「余裕ぶるのはやめにしたらどうだ? このままだったらやられるのはお前の方だぞ!」


「このままだったらね」


ティアは突然手を広げて、何か呪文のようなものを唱えた。


「『豌キ譟ア髮ィ』!!!!」




「ズドドドドドドドドド!!!!」



 

俺たちがいるこのフィールドの全体に氷柱の雨が降り注いだ。かなり大きい氷柱で、強力だ。でも、これだってただの攻撃だ。


「みんな落ち着いて対応するんだ。強い攻撃だとしても空からしか飛んでこない。上にさえ注意すればなにも問題ないよ!」


四方八方から飛んでくるわけじゃない。それならば、このセントラルのプレイヤーならば全員対処できるはずだ。


「これが自信の源だっていうのか?」


「縺ッ縺」縺ッ縺」縺ッ、よく見てみるがいいさ」


「……!? なんだこれは!」


なんと、氷柱がプレイヤーたちの盾や武器に当たった瞬間に、またモンスターたちが湧き出てきたのだ! 


「お前、まさか!」


「縺ッ縺」縺ッ縺」縺ッ」


そう、ティアはこちらの攻撃だけでなく、自分の攻撃からもモンスターを生み出し始めたのだ。大概反則だろう。こんなの、もうやりたい放題じゃないか。


 攻撃したら敵が現れ、逆に敵の攻撃を受け止めても同じ。なかなかな鬼畜仕様だ。


「ダメだ! 受けちゃいけない、完全に回避するんだ!」


さすがによけきってしまえばモンスターは発生しないようだが……


「さすがの洞察力と判断力だが、ロータスくん。みんながみんな、君たち盗賊のような回避性能を持っていると思ったら大間違いだよ」


悔しいけど、ティアの言うとおりだ。盾があるからこそこの攻撃を凌げるプレイヤーの方がむしろ多いのだ。


「無理だよ! 死ねって言ってるのか!」


ああ、ダメだ。またさっきと同じ状況になってしまう。モンスターが大量発生してしまって、もう手が付けられない。


「今度は俺の竜巻で一掃してしまおう!」


「いや、ロータスさん。それじゃあさっきと同じになってしまいますよ!」


「また同じことの繰り返しになってしまいます。そうしているうちに今度はこっちがジリ貧に追い込まれてしまいますから」


くそ! 考えろ、どうにかしてこの状況を打開できないか……攻撃を受けても、攻撃してもダメだ。ただ一つ、俺とトルクのような自分自身のスキルじゃない攻撃だけがその例外。その中で……


「ロータスさん! もしかしたら私が役に立てるかもしれマセン!」


アメキリが声をあげた。


 彼女は一体何を考え付いたというのか?


「言ってみてくれ」


「他の皆さんが戦っているから、モンスターが増えているんだったら、私たちだけにしてしまえばいいと思います」


「また大胆だな」


「四人でやれるのか?」


「いや、勝算がないわけじゃないんですけど、そもそも私たちだけにするなんてどうやるんですか?」


「それはもちろん」


アメキリは黒い弓を掲げた。


 またあの技を使うつもりだ。今度は味方相手に。


「味方に効くんですか?」


「大丈夫だ。さっきヤケドはみんなしていた。通常ダメージは入らないけど、状態異常は通ってしまうんだ」


火のヤケドが有効ならば、これだって行けるはずだ。


 みんなには強制的に脱落してしまうようで申し訳ないけど、あとは俺たちに任せてほしい。


「じゃあアメキリ、時間がないからもうやってしまってくれ!」


「リョウカイしました! 『スイッチオフ』!!」


アメキリは天高くに向けて、大量の黒い矢を放った。これがアメキリの全力! ここにいる全プレイヤーをロックオンして、矢は降り注いだ!


 数秒の後、一帯はしんと静かになってしまった。そしているのは、俺たち四人とティアだけ……。




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