表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

脱色

布団の上で目が覚める

もう日付は変わっている

明日が来るんじゃなくて

ただ今日が終わっただけだ


無気力に電車に揺られて

目的地についても視界は暗い

無気力に電車に揺られて

気づけば家で一人ぼうっとしている


そんな退屈な毎日を

暗い暗い僕のこの色を

365日の1日だけでも

なんなら24時間分の半分だけでも

明るく過ごしたい


思い立ってスマホで電車の始発を調べた

なんだまだ数時間も余裕があるじゃないか

朝日に目を向けながら駅まで歩いた

いつもよりも歩幅は広かった気がする


電車に揺られながら陽の光を感じた

まばらに点在する乗客を見渡した

そこに座るサラリーマンよ申し訳ない

今日だけ僕は仕事に背を向けたよ


ふんわりとした背もたれに身を預けて

乗り継いで向かった久しぶりの海

近くの学校に向かうランドセルを背負う子供たち

今日だけ僕は何もかもを背中から降ろしたよ


浜から見えるあの場所はどこだろう

目を凝らして見てもただ煙が上るだけだ

潮風の匂いにあの煙の臭いがする気がする

そうやって綺麗な空気が汚れるんだろう


ポケットで鳴り続ける着信にようやく手を伸ばす

耳に入ってくる罵声に眩暈がする

いつもと違うことをするからこうなるのかもしれないな

少しづつスマホを耳から遠ざける


お前はクビだと聞こえた気がする

涙が出るのは無職になったからじゃない

陽に照らされ続けて僕はいま笑ってる

なんにでも成れるのだから

だって僕は無色になったのだから

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ