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大きい学生
久しぶりに行ったプールの帰り道
一人で自転車に乗って
行きは楽だった坂道を漕ぐ
汗をかきながら呟く「暑い」
だから近くの公園に寄って
自販機で冷たい炭酸水を飲む
公園で無邪気に遊ぶ子どもたち
いつからか親の視線は子どもからスマホへ
「みてみて、四つ葉のクローバー」「そうね」ただ一言の返事をする
見上げればいつだって空は青い
いつからか誰もそんなことに興味さえなくて
ときどき見える飛行機雲とか入道
見上げればいつだって空は青いのに
スーツを着た誰もが顔を下に向けて
俯いたようにぞろぞろ歩く
そんなのは嫌だと僕はなりたくない
いつまでもがむしゃらに自転車を漕いで
抵抗するそんな大学一年の夏