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能力無しでも英雄目指す  作者: わいやで
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マイナスからのスタート

──「能」それは神から与えられた能力。人によってその特性は違い、炎を出すもの、異常な身体能力を手に入れるもの、物の姿を変えるもの、多種多様な力がある。誰でもその力を持っており、その力を活かし職業を手に入れるのがこの世界の幼児でも知る常識である──

「君の能は…」

「うんうん!」

「とても言いにくいけど…」

「うん?」




「…………ね」

「え?」

──────────────────

──────────────

────────

────

「やべぇ!寝坊した!」


大胆に寝癖をつけながら能時計の時刻を何度も確認する少年は

ラクレス・エース。黒髪で目つきが悪めで体格の良い少年である。そんな少年は焦りながらリビングに向かう。


「あら早いわね、おはよう」


そう言いながらパジャマ姿で朝ごはんを準備する茶髪の美人はジュエリー・エース。ラクレスの母である。


「『あら、早いわね』じゃなくて!遅いよ!おそようだね!?」


「まだ6時よ?ってそうだわ、昨日の夜お父さんがあなたが遅刻しないようにって時計2時間進めたの、お母さんも忘れてたわ」


「なるほど…とはいかないけどね!?もう今日は大事な日なのに朝から調子狂うな…」


そういいながらラクレスは椅子に座り朝ごはんを齧る。

そう、今日はラクレスにとってとても大事な日なのである。それは「能見式」がある日。「能見式」とは15才になった少年の「能」を見る日である。つまり今日によってラクレスの目指す職業が決まるのだ。


「とはいっても、何がなんでも戦士を目指すけどな」


「戦士」とは能によって悪事を働くものから能によって国民を守る職業である。職業の中でもトップレベルに競走率が高い職業である。


「どんな能が手に入るかしら。どんなのがいいの?」


ジュエリーも朝ごはんを齧りながら言う。


「そらもうとてつもなく強い能だよ」


「強い能……昔から言うことは変わらないわねっふふ」


ジュエリーはそう言って微笑んだ。


ラクレスは一通り朝の準備をすませ家をでた。


「行ってらっしゃい」

「行ってきまーす」


母にそう言って、能見式がある中央公園へと向かっていくと、

「おーい、ラクレスー!」

という声がした。


「おー!スプリンガー!」


スプリンガー・ジ二ー、坊主頭でラクレスより一回り背が高く、ラクレスほどではないがそれなりに体格がよい、ラクレスの幼なじみの少年だ。


「一緒に中央公園行こうぜー!どんな能もらえんのか緊張してきたなー、ラクレスはめちゃくちゃ強い能がほしいんだっけか?」…

などと話しながら中央公園に向かった。




中央公園は多くの人で賑わっていた。能見式は1年に1回の祭りみたいなものなので多くの人がいる。屋台なども多く出ており、大人はめでたい日だからと言ってお金を奮発している。自分達以外は何もないのにすごい楽しそうだなと思って周りを見ていると、スプリンガーが急に言った。


「危ない!」


どんっと鈍い音がした

「痛!」「いってぇ!」


何があったのかと前を見るとオレンジ色の髪をしたショートボブの女の子がぶつかった衝撃で座りこんでいた。

ラクレスは慌てて


「ごめん!よそ見してたもんで」と謝った。


すると女の子も


「こちらこそごめんなさい!心が舞上がっちゃって周りが見えてなかったの。ごめんなさい、急いでるからもう行くね」


と言って走っていった。見たことのない顔だなと思っているとスプリンガーが言った。


「大丈夫か?」

「おう、大丈夫。だけど…」


とラクレスは言ってふと時計を見た。短針は10時をまわっていた。


「だけど?」


「だけど…俺達も急がなきゃまずくね?」


「え?……ほんとだ!早く行かなきゃ能見式の集合時間に間に合わねぇ!」


と言い。2人は能見式のある。役所へと慌てて走っていった。




「おーいラクレスおせェよ!ギリギリじゃねェか」


集合時間ギリギリに着いたラクレス達は黒髪のいわゆるソフトモヒカンのような髪型をしたラクレス以上の目つきの悪さをした青年ガラード・ウォルカーに笑われた。


「まあな、いろいろあったんだよ」


ラクレスはそう答え周りを見渡していた。そこには見慣れた顔の人達が集まっていた。ラクレス達が住んでいるのは小さな村バオウ村である。そのため村の中に知らない人などほぼほぼいない。それが同年齢となれば知らない人なんて1人もいない…と思っていた。


「あの子さっきの子じゃないか?」


スプリンガーがさっきのショートボブの少女を指さして言った。


「ほんとだ、俺あの子知らないけど」

「俺も」

「俺も知らないぜェ」


皆知らないようだ。誰だろうと思っていると、視線に気づいた少女がこちらに近づいてきて、言った。


「ごめんなさい、皆私のこと知らないよね。だから軽く自己紹介するね。私、サリー・オステッド。3日前にダイセン町から引っ越してきたの。これからよろしくね!」


そう言って微笑んだ。よろしくと言いたいところだがその前に皆驚いていることがあった。スプリンガーが皆の気持ちを代弁するように言った。


「なんであのダイセン町からなんでこんな村に来たんだ?正直不思議な気持ちでいっぱいだ。」


ダイセン町は国の中でも有数の大都市である。それに比べバオウ村はどこにでもある田舎の村である。大都市から田舎に引っ越してきたとなると皆不思議でならない。


「えーと…いろいろあって…いろいろあって…」


「おーっと申し訳ねェな、言いたくねェなら言わなくていいん

だ。おいスプリンガー!おめェデリカシーねェのか!」


「ああ……ごめんサリー」


「ううん大丈夫、皆気になるもんね。」


ガラードはああ見えてこの村の中だとトップクラスに礼儀正しく、デリカシーがあるのだ。こうした話をしているとある男性が入ってきた。


「よーし、能見式を始めるぞー。」


この村の子ども皆の兄的存在で戦士である、レン・フリートである。


「この人が今日お前らの能を見てくれる方だ」


と言って後ろから、占い師のような格好をして髭を生やした老人が出てきた。そして小さな声で言った


「よろしく。前置きはいいさっさと始めよう。」


皆、自分の能が早く知りたくて気が気でなかったので、この人のこの発言は嬉しかった。


老人がそう言うと能見式が早速始まった。能見は案外簡単なもので能見する人が人を見るとすぐにどんな能かわかる。それを伝えて終わりだ。

能見は誕生日の早い人から始まる。ラクレスは不幸なのか幸なのか一番最後であった。列が小さくなっていく。前を見ると終わった人は皆能見の結果に一喜一憂していた。能見が終わった人から皆話している。終わってない人は緊張して話している人の話が右耳から左耳から流れているようにまったく頭に入ってきて無さそうだ。

前を見る。列がどんどん小さくなっていく。そしてラクレスの前の人の能見が終わった。待ちわびたラクレスは聞いた。


「僕の能はどんなのですか!?」

「まあ焦るな、君の能は………!?」

「?」

「えーと、君の能は…」

「うんうん!」

「とても言いにくいけど…」

「うん?」





























































「………能…無いね。」

「え?」


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