表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/112

*79

牧内さんから教えられた病院は市内の総合病院だった。

行方不明だと思っていたのに実は近くにいたなんて、誰が想像しただろう。灯台もと暗しとはこのことだ。


病室は大部屋で、扉の前で“柴原有紗”のネームプレートを確認すると、私は怒り心頭のまま病室へ乗り込んだ。


勢いよくカーテンを開けると、そこには思った以上に痩せ細り左腕には点滴をした姉が寝ていて、その姿に衝撃のあまり喉元まで出かかっていた文句のあれこれが何も出てこずに私はその場で立ち尽くした。


「美咲…?」


姉も驚いた顔をしてこちらをじっと見据える。


「…何してるの。何で入院してるの。何なのよ。」


「あー、バレちゃったかぁ。」


姉は情けなく笑うと、ゆっくりと体を起こした。その動きはとてつもなくぎこちない。


「ごめんね、勝手なことして。すずは元気にしてる?」


「元気…だけど。お姉ちゃんは本当に勝手だよ。私もすずも柴原さんもお姉ちゃんに振り回されて必死で生きているのに。何入院してるの?早く退院してよ。すずが可哀想でしょう?」


「うん、早く退院するわ。もうすぐ退院するから。」


笑いながら軽口を叩く姉だが、その姿を見てすぐに退院だなんて誰も思わないだろう。調子が悪そうなのがひしひしと伝わってくる。


「嘘ばっかり。そんなんで退院できるわけないでしょう?」


「どうしてここにきたの?」


「どうしてって、ずっと探してたんだからね。新しい恋人はどうしたのよ?ほんとに、何やってんの?」


怒っているのは私だけで、姉は至って落ちついていた。その温度差がまた腹立たしい。


「美咲は本当に素直でいい子だね。」


「ふざけないで。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ