表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/112

*74

すずはよく柴原さんに褒められる。

親が子を褒めるのなんて当たり前だと思う。ましてや二歳だし。

なのに私はそれを羨ましいと思って見ていた。

私には褒めてくれる人がいないからだ。


昔からそうだ。

親にも褒められた記憶がない。

どんなに頑張ったって誰も褒めてくれない。


今のこの複雑な関係性で頑張って生活していることを誰かに褒めてほしい。

だけど複雑すぎて安易に話すこともできない。

それはなんだか孤独なことだ。

すずは可愛いし柴原さんも優しいのに、私の心はモヤモヤが渦巻いていた。


ほら、今日もまた。

柴原さんがすずを可愛がる。

生き甲斐だと言う。

鼻の奥がつんとして涙が出そうになった。


私はこの先どうしたらいいのだろう。

いつまでもすずの母親代わりではいられない。

柴原さんだってずっとこのままでいいとは思っていないだろう。


先のことを考えると不安でいっぱいになる。

あんなにキャリアウーマンになると誓ったのに、今となっては戻れる気がしない。


沈んでいく気持ちを打ち払うかのように、私は天を仰いで大きく深呼吸した。


いつかは戻るときがくる。

私はこの家では他人なのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ