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昼食が終わると、すぐさますずが遊び出す。本当は昼寝をしてほしいが、なかなか寝ようとはしない。


「パパえほんよんでー。」


本棚からお気に入りの絵本を持ってくると、すずは柴原さんの回りをぴょんぴょんする。

柴原さんはすずを抱えてソファに座らせると、自分も横に座って絵本を開いた。


昼下がり、親子仲良くくっついている姿を見ると微笑ましくなる。その光景を見ているだけで、私は幸せな気分になった。


私はそれを横目に、洗い物を始めた。

柴原さんがすずの相手、私は家事。

素晴らしい役割分担だ。


「ねえね、ねえねもすわってー。」


ちょうど洗い物が終わる頃、見計らったかのようにすずが私を呼んだ。


「ねえねはすずのよこね。すわってよーう。」


すずを真ん中に右が柴原さん、左が私。

その光景は、まるで本物の家族みたいに思えた。


柴原さんがすずに催促されて絵本の続きを読み出すが、それがなんとも下手くそで笑えてくる。でもとても安心する声だ。


気付けばすずがうとうとし始めていた。

柴原さんはそれに気づいているのかどうなのか、そのまま読み続ける。柴原さんの声はとても心地いい。聞いていると私まで眠たくなってくるようだ。


次に気付いたとき、すずは柴原さんの膝の上に頭をしなだれてすやすやと寝ていた。

と同時に色々と違和感がある。

だんだんと頭がはっきりしてくると、ようやく私は柴原さんにもたれ掛かって寝ていたことに気付いた。そして今、私の頭の上には柴原さんの頭があるような?


こ、これはっ!

どどどどどどどうしようっ!

でも今動くとすずが起きちゃうかもしれない。


ドキドキがどんどん大きくなっていき止まらない。柴原さんの温もりが感じられて胸がぎゅっとなった。頭の上からはかすかに柴原さんの寝息が聞こえる。三人でくっついて寝てしまったことに今更ながら驚いたが、でももう少しこのままでもいいかと思えた。

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