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今日は珍しくすずがお風呂の前にリビングで寝てしまった。
保育園でいっぱい遊んで疲れたのだろうか。
それともお腹がいっぱいになって寝てしまったのだろうか。
「すずー、お風呂入ろうよー。」
ほっぺをツンツンしても全然起きる気配がない。
無防備な寝顔に思わず笑みがこぼれる。
細くて柔らかな髪の毛。
ぷっくりとしたほっぺ。
子供って可愛いものだったんだな。
すずを育てていなかったら知らなかったことだ。
思えばなしくずし的に育てることになったすず。
こんなに大切な存在になるなんて思ってもみなかった。
愛おしくてたまらない。
それに、柴原さんのことも。
こんな風に分かり合えるなんて、誰が想像しただろう。
あの冷徹非道な柴原さんが、だよ。
私は出会った時の頃を思い出してひとりクスクスと笑った。