051
「どう?」
「成功した」
「そう。良かったわ」
そう言うとふっとミルムから力が抜け、周囲を渦巻いていた魔力波が消える。
同時に金色に輝いていた目も目立つようになった牙も収まっていた。
「古代竜グランドメナス、っていうらしい」
『きゅぅ……』
鳴き声は可愛いんだが普通にでかいんだよな。そりゃさっきまでのドラゴンゾンビと比べたら全然大したことはないんだけど……。
現れた竜の精霊体を見て、ミルムはこう尋ねてきた。
「完全に幼竜になってるけれど……」
「これで幼竜なのか……?」
騎士団が乗るワイバーンよりはそれでも一回りはでかい。
要するに俺とミルムが乗っても飛べそうなくらいの竜の姿をしているわけだ。
「さっきまで成竜と戦ってたのだからわかるでしょう?」
「いやそうなんだけど……そう考えるとあれが馬鹿みたいにデカかったんだな……」
「何を今更」
霊体となってはいるが、その荘厳なオーラは消え失せていなかった。
スッキリとした顔立ちは気品すら感じ取れる、見事な竜。幼竜であってもそのうちに秘める力がレイやエースと比べても十二分に通用することは感じ取れていた。
「グランドメナスってのは名前じゃないよな……?」
「そうね。周囲の村や国で呼ばれていたものが魂に結びついちゃったんでしょうけど、本意じゃないでしょ」
『きゅぅっ!』
本人? も求めているような感じだった。
「よし。名前をつけるか」
『きゅっ!』
期待の眼差しで竜に見つめられる。
そうだな……。
「アールでどうだ?」
『きゅー!』
気に入ったらしく目を細めて頭を擦り付けてきた。
かわいいな、こうして触れ合うと。
「いいじゃない。嬉しそうだし」
──アール(古代竜グランドメナス)の能力を吸収しました
──ユニークスキル【宵闇の覇者】を取得しました
──エクストラスキル【竜の加護】を取得しました
──エクストラスキル【竜の咆哮】を取得しました
──エクストラスキル【竜の息吹】を取得しました
──使い魔強化によりレイ、エース、ミルムのステータスが大幅に上昇しました
「おお……」
一気に力が流れ込んできたのがわかる。
「まさかこんなに強くなるとは……貴方といると驚くことばかりね」
「そのまま俺が返したいけどな」
手に入れたスキルがどんなものかはミルムが大体把握しているようだった。
「せっかく場所もあるんだから、少し練習して帰ったらどうかしら?」
「あの戦いのあとでまだ余力があるのかよ……」
とは言え手に入れた【スキル】が気になることも事実だ。
少しだけ、この場に留まって試し撃ちをすることになった。
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