002 目覚め
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ふと目を覚ます感覚。
次第に意識が鮮明になって行き、自分が起床する時間が来たのだなと思わずにはいられない、誰もが経験したことがあるであろう感覚。
いつもであれば、けたたましい目覚ましのアラームが鳴り響いているところだが……どうやら今日は早く目覚めたようだ。
時刻を確認して、あまりにも早いようであるなら二度寝をしようと思い目を開く。
いつも通り、まだ朝日が入ってきていない暗い部屋が目に映るはずだった。
だけど、そこにあったのは見慣れた天井では無く……あまりにも現実とかけ離れた光景だった。
まさしく、今もなお夢の続きを見ているような……。
視界に飛び込んできた光景を一つづつ説明していこう。
俺の心の整理のために。
吊り下げられた煌びやかなシャンデリア。
それが明るく照らし出す灰色の石壁。
今いるのはどうやら建物の中だ。もちろん家の中で寝ていたので建物の中であることは間違い無いのだが、そうではない。
俺が寝ていた狭く天井の低い部屋ではなく、見慣れない石造りの建物の中、それもホールのように広い場所にいる。
ホールの入り口まで延びた金色の刺繍が施された赤色の絨毯や、壁に設置された金色の燭台。ややよい趣味とは言えないが、金持ちの豪邸に違いない。
そして俺はその広いホールを高い位置から見下ろしている形になる。
眼下には人が3人いる。この豪邸の住人だろうか。
一人は若い男。白銀の鎧を身に着けた、髪型がハリネズミのようにツンツンしている黒髪の優男。
もう一人は若い女。白い法衣を身に纏った、背が低くあどけなさの残る顔の茶髪ショートカットの少女。
最後に、二人よりは年上の大人の男。濃緑色の衣服の角ばった顔をした伸ばした金髪ストレートヘアが特徴のおじさん。
3人とも少々おかしな格好をしているが今はスルーする。
彼らは俺のほうを見上げてなにやらしゃべっているようだが、耳に何かが詰まっているのか、彼らの声はこもったような感じで聞き取ることができない。
彼らの視線が別の場所に移る。俺も釣られて視線を移動させる。
な、何だこれ!?
俺の斜め後ろ。
この広いホールの行き止まりに位置する奥まった場所に豪華な椅子が一つあって……そこに男性が座っているには座っているのだが、その男性の胸には何かが突き刺さっている。
その男性と椅子を貫通した何かは剣の様に見える。日本刀ではなく、西洋のソード。
刺し傷からは血が……暗い紫色の液体が流れ落ちている。
いったいどういうことだ!?
殺人現場の真っ只中か!?
犯人は誰だ!? あの3人の誰かなのか!?
俺は視線を3人に向ける。
3人の視線は、やはり俺に向いていた。
何だよ、俺が犯人だって言いたいのか?
お、俺じゃないぞ?
俺は手を振ってジェスチャーを交えて自分が犯人ではないことを訴える。
って!!
何これ!?
俺の目の前には確かに俺が動かした手があるのだが、なんか燃えてる!!
火傷をしているのか、肌の色は薄汚れた赤色で……こんなに火傷してたらもう手遅れじゃないか?
って、ぎゃー!!
よく見たら両手とも燃えてる!
ああっていうか、手だけじゃなくて体も顔も燃えてる!!
全身火ダルマ状態!!
水っ、水っ、水を!!
俺は急いで水を探すため駆け出した。
……駆け出した、はずなのだが一向に進むことは無い。
まったく地面の感触が無い事に違和感を感じ、足元を見てみる。
この視点の高さ。どこかから吊り下げられて宙づりになっている可能性もある。
なんじゃこりゃー!!
確かに空中に浮いてるんだが、足が宙を切っているために進まないとか、そういうレベルではない。
足が……足が無いのだ!
足というか、腹より下の下半身が無いよ!?
その代わりに腹の周りには青白く光輝く模様が描かれた魔法陣のようなものが……。
「た、助けてくれ!!」
俺は眼下の3人に向かって手を伸ばす。
その瞬間、伸ばした俺の腕は内側から弾け飛んだ。
「うっぎゃぁぁぁぁぁ!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ?」
「ああああ?」
想像しきれない痛みが俺を襲うはずだったのだが、いつまでたっても痛みはやってこないため俺の台詞は疑問系へと変わったのだ。
疑問を解消する間ももらえず、左腕が、肩が、顔が、腹が。
俺の体を構成する部位のすべてが爆ぜた。
視界に入る俺の体。
肉がすべて弾け飛び、骨だけになっている。内臓すら無い。
鏡があればよくわかるだろうが、俺は骨格標本のように骨だけとなってしまった。
骨格標本と違うのは、俺の骨は黒い、ということだ。
残ったその骨にも火が燃え盛っているのだが、ふと気づいてみれば、それほど熱くは無かったのだ。
全身火傷でのた打ち回るほどの熱さがあると思い込んでいただけに拍子抜けとも言える。
肉も内蔵も無い時点で火傷のレベルを超えているのだが。
「あ、ちょっと待って!」