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蒐集癖な彼・女  作者: 知り合い
第1章・小学生
64/69

第六十話

12

「えー非常に驚くべき事ではあるのですが、楓さんの傷はほとんど完治しました。」

「本当ですか!?」

「はい。ここ1週間ほとんど動いていないので少し筋肉をほぐすリハビリは必要ですが、それも今日やり方を覚えて頂ければ明日の朝にでも退院は可能でしょう。」

「それは良かった・・・」


ということで、私の入院は明日となりました。堕落しきった生活が惜しいけど桜や姫ちゃんが心配してるからさっさと帰らないとね。特に桜は病院では私に抱きつかないようにしているようで、よく抱きつこうとして固まる姿が見えた。


診察を受けた後にリハビリルームに連れていかれ、基礎的な柔軟運動をゆっくりとやった。久々の柔軟だったので結構痛く、叫びそうになったが流石看護師。どこまでが限界かを何も言わなくても掴んでくれて、叫ぶ1歩手前くらいまでで終わらせてくれる。逆に言えばそのおかげで私は我慢を強いられているとも捉えられるが。


5種類の体操を教えてもらって終了となった。これを1週間やってみて、まだ痛むかどうかによってその後が決まるらしい。私的には問題ないだろうと思う。

そして、最後の読書タイムを楽しんでいると来客があった。


「やぁ、楓ちゃん。体の調子はどうだい?」

「こ、こんにちは、楓。」

「麗子ちゃん、麗子ちゃんパパさん」


麗子ちゃんは入院中毎日来ていたので気にならないが、パパさんの方は最初に会話して以来、来ていなかったので少し心を構える。


「先ほど聞いたけど明日退院なんだって?おめでとう」

「本当ですの!?良かったわ!おめでとう、楓!!」

「うん、ありがとう麗子ちゃん。で、パパさんはどうしました?」

「まずその試作品の回収をね。あと渡すものがあったから来たよ」


あ、そういえばこの読書デバイス借り物だった。少し電池量が足りないと思ったが機能面では満足していたのでこのまま頂きたいのだが・・・


「あの、」

「残念ながら、それはまだ完成していないから誰かに譲渡することは出来ないんだ。完成した暁には一つ贈呈するからそれまで待ってくれたまえ」

「・・・はい。」


流石に社長として言われるとどうしようもないよね。特に、完成せずに譲渡するのは開発してる人達が盛大にキレるかもしれないし。


「それで、渡すものとは?」

「麗子」

「は、はい!楓、これをあなたにあげるわ」

「・・・なにこれ、ネックレス?」

「お友達のしるしよ!」


お友達料みたいなものですか。そういうのあまり好きじゃないし、印ってことは持ち歩かないと駄目だよね。


「・・・これはお高いんですか?」

「いやいや。原材料費で言えばせいぜい1万円程度だよ。質屋に持っていっても全然お金にはならないだろう」

「楓・・・。私と親友になるのは嫌ですの?」

「そんな事無いけど、なんでこんなものが必要なのかが理解できないの。」

「そういうのが無いと自称する人が多いからね。その対策だよ。」


ああー・・・、自分が知らない自分の友達か。今も昔も私にはそんな人が一人もいなかったのでまったく実感は湧かないが、宝くじの一等賞みたいなお話だ。


「それがあれば君はいつでも我が家に入れるし、わが社の管理している施設に入れる。あと、東条院家と対等になるよ。」

「まあ、私はそちらを上にも下にも見た記憶は無いので最後のは不要ですが。」

「おや?お風呂に入ったときに気圧されていたと聞いているが?」

「それは見たことがなかったからです!ていうか、それはこのネックレスあっても変わらないでしょ!?」


このメダルがあってもきっと気圧されてたし、マッサージで蕩けてたよ!


「まあ、君みたいな異常な子にはいらないんだろうけどね。時たま常識的な善人が友人になったりすると、その善性故にあまり会ってくれないという人もいるからそのためだよ。」

「・・・まあ、確かにしっかりとした常識を持った人であれば社会的立場を考えて控えめになるかも知れませんけど」

「君、私の前で繕わなくなったね?」

「麗子ちゃんパパと話していると親戚の叔父と話す気分になってくるので辞めました。」

「楓ちゃん、まるで私の親友ではなくお父様の友人のよう・・・」

「そんなことないよー!私がこんな男性と仲良くなるのはありえないからねー!私は、麗子ちゃんの親友だよ~!!」


私の中身を探ってくるような金持ち紳士とは残念ながら友達になれる気がしないので、私は内も外も綺麗な麗子ちゃんと仲良くなりまーす。


「その叔父さんは非常に興味深いので調べさせよう。母方かい?」

「面倒を累乗したくないので言いません。以上でお話は終わりですか?」

「いや、まだ二つあるんだ。まずその剣だ。」


最初に回収と贈呈の2件だって言わなかった?

しかしエクスカリバー(元)のことか。やっぱり詳細を言えとかかな?


「それを君が持ち帰るかこちらが預かるかだ。君、もしくは君のご両親は銃刀所持許可書を持っていないだろう?ごく一部とはいえ、刃があるんだ。許可書が無いと持って帰れないよ?」

「うっ。えっと、刃の落とし所、または作業場は無いですか?私は刃は必要ないので金槌かなんかで叩いて砕いて落としたいんですが・・・」


と私が言ったところで剣から猛抗議、かもしれない波動がビンビンと伝わってきた。綺麗に丁寧に落とされるならともかく、荒く雑に落とされるのはいくら修復出来るとはいえやはり嫌なのだろう。


「いや、そんな綺麗な美品を粗雑に扱うのは私としては了承出来ないから、こちらで処置した後にそちらに届けよう。」


よかったね。綺麗にやってくれるって。

私の意識が伝わったのか波動が無くなって静かになった。


「届ける際の理由だが、」

「私が開けっぱなしにした窓から泥棒が入って、高そうな剣だけ持って逃げたことにしてください。」

「わかった、そうしよう。」


実際私はリビングの窓を開けっ放しで意識なくして倒れたのだから、空き巣=私という考え方をすれば嘘ではない。いや、嘘って言われるかもしれないけど。


「で、最後に君は何が欲しい?」

「はい?」

「今回の事件を収拾した褒美だよ。何か欲しいかい?」

「それならもう言ったじゃないですか。」


麗子ちゃんと可能な限り会って欲しいって。


「それは君への褒美じゃないって言われてしまってね。だからもう一回聞きに来たんだ」

「私がお父様やお母様に会えるようになるのは私へのプレゼントにしかなりませんから!」


別にそれで良かったんだけど・・・。えーっと、こういう人達って変に曖昧に言うとそっちの常識で捉えちゃうことが多いらしいから・・・具体的に━━━━━


「では本棚を下さい。」

「本棚?それでいいのかい?」

「はい。今回の入院中に面白い本をたくさん読めたので退院後こつこつ集めていこうと思うんです。でも、私まだ自分専用の大きな本棚を持っていませんから」


学校の教科書を入れるようの小さいのはあるんだけど全然足りないからね。本棚って言っておけば、一般市民の常識的な棚か、私の部屋にギリギリ収まる大きさの高い棚かの二択だろう。むしろそれなら後者を貰って私が困ることは何もない。むしろ最高。


「ふむ本棚・・・。つまり本を収納する物がいいのか」

「あんまり大きいと私の部屋に入りませんから、後でメイドさん達でも送ってください。部屋を測ってもらった方が作りやすいでしょうし。」

「わかった。では、用意するのは麗子が主体とする。」

「わかりました!」

「え?いや、なんで麗子ちゃんに」

「本人の希望だからだよ。助けられたのは麗子だからね。」

「私が、楓にふさわしい本棚を差し上げますわ!」


うーん・・・まあいいか。貰うのには変わりないし、むしろ麗子ちゃんならデザインとか機能性とかで質問しに来てくれそうだから、その場合は私の好きなようにね?


「では話も終わったし私はここで帰ろう。麗子はどうする?」

「私も今日は帰ります!楓に合うものを考えなければなりませんから!」

「別にそんなに気負わなくていいからね~」

「じゃあ、お大事に。」

「また明後日、学校でお会いしましょう!」


こうして東条院親子は帰っていった。デバイスを持っていかれたから私としては少し暇になってしまったが、もう体を動かしてもいいのでウィズに限界を教えてもらいながら筋トレをすることにした。

またいつあんな事が発生するか、もしくは巻き込まれるか分からないのでとりあえず体力を付けるのは急務である。

ちょっと出せない期間続いたら負債が12になっちゃったぁ・・・。出せてたら70話越えてたねぇ・・・

あ、気づけば10万文字越えてました。

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