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蒐集癖な彼・女  作者: 知り合い
第1章・小学生
59/69

第五十六話

6

「ハァハァハァ、もう、ちょっ。ど・・・!」


本を車に轢かせてから走り続けて、せいぜい5分しか走っていないはずなのに体力の限界を迎えている。それだけ全速力で走り続けているということでもあるのだけど。正直メイドさんに付いて来て貰って助かった。疲れた麗子ちゃんを抱いて走ってくれているから、私の指示に従いながら上手く逃げてくれる。

「地面から頭に向かって突撃します。到着まで5」


「下から頭を、狙ってます!!端お、電信柱を身代わりにぃ!」

「はい!」

「麗子は本を挟みたたくゥ!!」

「わ、わかっ」

「いまぁ!!!!」


私の合図に合わせてメイドさんが電信柱でターンをし魔本は電信柱を噛んだ。そこに弱い力ながら麗子ちゃんのプレスが入ることで少しだけ深く嵌まった。

この間に、家に着けば・・・!


「わたしわぁ!取りにいくのへ!庭に逃げられるよう、に、リビングにいてください!」

「楓様の家であればアレを対処できるのですね!?」

「ハイィ!!!!」

「畏まりました!」


うっぷ。体力の限界を突破するレベルになってきたから吐き気も少ししてきた。更に言えば足はもう無理、腕はまだ使える、胴体は平気だけど心臓がヤバイって感じか・・・。ウィズ。今の状態で動けるの絶対能力のお陰だと思うけど、どれくらいの後払いが発生する?

「最低1週間です。」

ならまだ全然大丈夫だな、バーカ!


急いで家の鍵を開けて中に入った私は、両親の部屋に駆け込んで聖剣を運ぼうとした。が、重い。桜を持てる私でも刃を落としてあるとはいえ真剣はまだきついようだ。けどこういう時の火事場の馬鹿力。


「うぅぅぅーーああああああああああああ?!!?!」


叫びながら剣を持ち上げて、それを肩に背負ってリビングに向かった。仄かに腕辺りがギチッと嫌な音を内側から響いたが無視する。リビングには麗子ちゃん達以外に誰もおらず、ママ達がいないことを安心する。

家のドアを開けっぱなしで入ったから、きっとそこから入ってくるはず・・・。

「庭から頭に向かって突撃してきます。残り5」

まさかの庭からの突撃だった。私の想定していた対処法を変えなければいけなくなったので、ウィズに死ぬほど頼る。


攻撃の開始のタイミング誘導出来るか!?

「可能です」

じゃあ、よろしく!!さすがに、これは精密さが無いと無理だ。大雑把に出来ることじゃない。私が求めるのは突っ込んできた本に対して私が避けながらバックアタックするための行動開始タイミング!行くぞォ!


「すぐに窓を開けて、外に本が見えたら伏せて!」

「ヒイッ!?」

「ここまで・・・!?」


メイドさんが窓を開けた瞬間に本が外から飛び込んで来た。

「3、2、1、開始」

ウィズの合図に合わせて動き出した瞬間に、体感速度が極端に下がる。本の動きがまったくもって違う。

「そのまま右足を軸にしながら左手を構えて回ります。」

サービス精神が良くて助かるねぇ!反動が死ぬほど怖いけどォ!


ウィズの言う通りにしようとするとかなり遅れながらも体がちゃんと反応してくれる。

「回る途中のタイミングで魔本が所定の位置に着くので左手を背表紙に当てます。」

まったく高速戦闘に慣れていない人間であっても、こんなゆっくりであれば余裕で当てれる。オーバーヘッドキックのような運ゲーをしなくてすむのだ!

「解除します」


時間遅延?が終わった瞬間に私の左手が背表紙を押して、魔本は盛大に廊下の壁に当たった。私が与えた速度で止まれなかったのだろう。

そしてここから最後の仕上げとなる。

(お願い聖剣。私はイギリス人じゃ無ければイギリス生まれのイギリス育ちでも無いし、生まれながらの選ばれし者でも無ければ伝説通りの男でも無いけど可能な限り力を貸して!求めるのは浄化と再生、あの本を浄めてください!)


「楓様、その剣は・・・?」

「私がこれを、振り下ろしたら、私の後ろに来て!当たらないように!!」

「か、かえで・・・」


二人に指示を出した後で私は今だけは現役である聖剣エクスカリバーを思いっきり振り上げた。

ウィズ!私が一回転してから刺すためのタイミング!

「残り7、6、5、4」

魔本が廊下から姿を現し私と対峙する。これを失敗したら全部パーなんだ。絶対に当てる・・・!!

「3、2、1、開始」


「ハアアアアアア!!!」


思いっきり剣を振り下ろして地面に突き刺す。そのときに強い痺れが体にくるが頑張って堪えた。そしてまだ残っている勢いのまま剣を支えに宙に舞い、そのまままた馬鹿力で縦に回転しながら地面に突き刺さった聖剣を振ろうとした。

この時、突撃を開始していた魔本は既に窓の縁。間に合うかすごく怪しいけど、ウィズを信じて、当てる事よりも思いっきり振り抜くことを目的に体ごと全てを振り抜いた。


魔本に突き刺さった剣から光が溢れだした瞬間、視界が強い光だけとなり失明すると思った。だがそんなことは無く光が収まればきちんと前が見え、本を見ると肉食動物の鋭い牙のようになっていたページは全て普通のページに戻っていた。軽く触ってみてもなんの反応も無い。これで、やっと普通の世界に戻ってこれた。


「お、終わったの?」

「うん。そうだよ。」

「え?お嬢様、我々はここで何を・・・?」

「それじゃあ、後は、よ」


よろしくと言い切る前に私は倒れた。9割くらい私死んだわとか思った。最後の振り抜きをする際に肩から嫌な音がしたからだ。これは2週間くらい入院してもおかしくないな。くそぅ。あ、後始末よろしくね。

そんなどうでもいいことを考えながら私は気絶した。さようなら


「かえでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?????」

戦闘シーンとか、よくわかんない

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