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蒐集癖な彼・女  作者: 知り合い
第1章・小学生
57/69

第五十四話

4

ウィズ。麗子ちゃんの欲望はまだ足りてる?

「まだ基準を下回っておりません。ただし、朝からずっと楓様と一緒にいて楽しんでいるようでかなり減っております。今日の夕方を越えることは出来ないでしょう。」

了解。あ、そういえば、一番重要な事忘れてたけど私が倒すとしたらどういう方法があるの?

「候補は3つございます。一つ目は聖水を掛けることです。正規の聖水であれば邪悪な願いの塊である魔を中和出来るのでただの本になります。」


それ教会に行けば手に入る?

「現在は、イタリアにある本部でのみ取り扱っております」

・・・いくら?

「日本円で1500万円です。」

たっけぇ!?無しだな。今から取り寄せることなんて出来ないし別の案で。


「二つ目は神社に持ち込むことです。神社にて清めの儀を行うことで魔を払えます。」

近くだと何処で出来るの?

「隣の県にある樹木神社です。」

隣の県か・・・。麗子ちゃんの車を借りられればワンチャンスあるかな?最後の案を教えて。


「三つ目は楓様が討ち取ることです。」

は?

「楓様がお持ちの元エクスカリバーは浄化の能力を持っております。この地がイギリスではなく使用者もイギリス人では無いので出力は低いですが、退治は可能です。」

そうか。そういえばあの剣浄化機能あったな。すっかりパパママ部屋の空気清浄機になってたから忘れてた。

「代償として楓様が入院される可能性があります。」

なんで!?

「楓様は未だ未熟な体ですので、あの剣を振りきるためには通常とは異なる振り方が必要となります。それに伴って魔本との戦闘になりますので怪我を負う可能性は高いでしょう。」

そうか。最後の案を選ぶと戦うことになるのか。そしてあの剣を振り回すって事になるから・・・。

とりあえず二番目の案でいこう。ダメだったら三番目だ。


今の姫ちゃんは私に対して前みたいに接してくれないので皆にバイバイとだけ言っていつものように車に乗り込んだ。

まだ4回目なのにいつものようにってなに。いや気にしないでおこう。気にしてもどうしようもない。


「ねぇ、麗子ちゃん。今日は何をするの?」

「今日はゆっくりするつもりよ」

「じゃあお出かけしない?」

「お出かけ?どこに?」

「隣の県にある神社なんだけど、すごく大きい木があるんだって。見てみたくて。」

「往復どれくらいかかるかしら?」

「調べましたところ、道が空いていれば1時間くらいのようです。」

「では行きましょうか。楓ちゃんの頼みなんだし」

「ありがとう!」


よし、これで行くための足ゲット!後は魔本を一緒に持っていければ・・・。


「家ではなく神社に向かいなさい」

「わかりました」

「ちょーっと待って!いっかい!一回お家寄ろう?私少ししたいこともあるし!」


流石に魔本無しで行かれたら困る!もしかしたら魔本の方から付いてくるかもしれないけど、万が一が怖すぎるからアウト!


「そう?でもこのまま行った方が速いし、やりたいことって?」

「えっと・・・お手洗い!!流石に車の中では出来ないし、麗子ちゃんの家のお手洗いすっごく綺麗だからそこでしたいな!」


私はほとんどやけくそである。もう、一回家に戻って神社行ってくれれば何でも良いよ。


「そう。では、家に行きなさい。その後に神社に行くわ」

「畏まりました。」



家に着いてから私はダッシュでトイレに行き、用を足しながらウィズに本の在りかを聞いた。現在は麗子ちゃんの寝室にあるとか。よし、もう無理矢理力押しで進めてやる!!


「戻ってきたわね。それじゃあ」

「一回部屋に戻ろう!?ね!ね!!?」

「え、なんで、キャ!?」

「お嬢様!?」

「私少し肌寒い気がしたから上着貸してほしくて!」


麗子ちゃんの手を引っ張って無理矢理麗子ちゃんの部屋に行く。ちなみに今日の服は戦う可能性を考えて可愛さより実用性重視なロングパンツ(長ズボン)とTシャツである。寒くはまったく無いのだがあってもまあ困らないだろう。


「き、今日の楓は少し強引ね!」

「こういう時だってあったでしょ?覚えてないの?」

「え、そそうだった・・わね!」


初めてです。麗子ちゃんも改変前の記憶を持っているからね。むしろ私が改変されていると思っているはずの麗子ちゃんは私に合わせて嘘をつくはずだ。さて、本は・・・!あれか!!明らかに外見が普通じゃない分厚い本!


「これなんてどうかしら?」

「ありがとう、借りるね!ところであの本なぁに?」

「え?ああ、あれね。不思議な本よ。私の図書室にいつのまにかあった本。今日はあれについて話し合おうかと思っていたの」

「へー、そうなんだ!じゃあ、」


ウィズ。あの本が襲いかかるであろう時間まであと何分?

「およそ10分です。」

な、はや!?まだ夕方のゆの字も見えてないよ!?いや、それだけ麗子ちゃんは現状に満足しているということか。

本を持っていくべきかと考えたが、というか。あと10分で暴れだすってことは神社間に合わなくない?片道30分だから下手したら着く前に襲われちゃうし。となると二番目も駄目になったから・・・暴力で退治!うん、単純!でも女子小学生にやらせる内容じゃないね!


「じゃあ、帰ってきてから見ようね!」

「うん!」


麗子ちゃんから上着(ストール)を借りて玄関に戻り、車に乗り込んだ。そして、急遽私の家に寄ってもらうことにした。


「何かあるの?」

「うん!ママに伝えておかないといけないことがあったからね!今日もここで泊まるから先にって思って」

「!・・・そうね。なら仕方ないわね。行ってちょうだい」


ごめんね、麗子ちゃん。純粋な心を傷付けてごめんね。後でいくらでも怒られるから今だけは許してください。


心の中で麗子ちゃんにたっぷりと謝りながら、いざという時に向けて覚悟を決めた。滅、魔本。

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