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蒐集癖な彼・女  作者: 知り合い
第1章・小学生
50/69

第四十七話

3

「そういえば、さっきの質問になんて答えたの?」


麗子ちゃんと自分に対する過剰な評価(とりあえず私に対しては過剰)をどう修正するのか悩もうとしたが、今は姫ちゃんと帰ってるから後にしようと投げた。そして、質問に対してなんて答えたのか気になったので聞いてみた。


「えっとね、好きな食べ物は美味しいもので、嫌いな食べ物は美味しくないものって答えたよ。」

「・・・うん。そうだね。」

「楓ちゃんが食べないものって見たこと無いからすごくなやんだよ。」


そういえば姫ちゃんに好きな食べ物とか嫌いな食べ物の情報あげたことないね。まあ、好きな物もほとんど無いから旨ければ何でもいいけど。嫌いなものは茹でたホウレン草の食感かなぁ。あ、じゃあほうれん草が嫌いなのか。


「私、茹でたほうれん草嫌い。」

「そうなの?」

「うん。なんか食べてると気持ち悪いから嫌い。」

「へー・・・」

「姫ちゃんは?」

「わたしはーママのオムライスがいちばん好き!それでピーマンきらい。」

「ピザの上にあるピーマンは?」

「食べたこと無いから分かんない」

「そうなの?美味しいから今度一緒に食べようね!」

「うん、楽しみ!」


こうして、姫ちゃんといつものようにのほほんと会話しながら帰宅した。帰ってから、食べ物以外にどういう事を言ったのか聞き出すのを忘れたと思い出したが、「まあ別にいいか」と次に思い出したときにでも聞こうと先送りすることにした。



次の日の学校にて。


「では、この計算の答えがわかるひとー?」

「はーい!」

「はいはーい!」


算数の授業を受けている時間であるが、やはりめちゃめちゃ暇である。一応一桁の足し算引き算からやるので、授業中暇で寝ないようにするのがすごーく辛いのである。寝ないための対策として考えていたずっと2の累乗計算をする作戦も、眠くなってきたらどうでも良くなってきて頭が回らない。

こうなったら、先生にバレないように半分意識を飛ばすしかない。


「6です!」

「はい良くできましたー!」


顔を首に負担がかからない程度に少し下に向け、眼の開け具合を1cmちょいほどにして焦点をずらす。前世ではこうすることで先生にあまりバレずに寝ていたものだ。あとは、背中に力を込めずに背筋をある程度伸ばせるようになると完璧になるのだが、まだその感覚が掴めないのでこの程度で満足しておこう。


「・・・白川さん!この計算できるかな?」


意識が薄い状態で先生に話しかけられるがこの時驚いたり、慌ててはいけない。ゆったりと、自分のペースで答えるのだ。さて問題は 8-4 か。


「・・・4です。」

「はい、正解です!簡単だったかな?」

「そこまで・・・」


この状態の最大の弱点は、返事が適当になる点だ。だってほとんど頭動いて無いもの。今現在も、こういう適当な事を考える領域以外はほとんど動かしてないし、口開けるのも億劫になってきたから適当な返事になる。


「そ、そう。じゃあ、えっと、次のページに行ってー!」


ゆーらゆーらゆーらゆーらゆーら・・・・・・・・・。


このあと、授業が終わって目を覚ましたら先生を少し困らせてしまった事で自己嫌悪した。別に嫌いなわけでもなければ、つまらない訳じゃないからね先生。ごめんね


「次は国語か」

「ねぇ、楓ちゃん。」

「ん、どうしたの?麗子ちゃん」

「今日は一緒に遊べる?」

「え、いや、うーん。ママに言えば行けるかなー?」

「本当?良かったわ。じゃあ、下の者に電話させるから今日は学校終わったらすぐに行きましょうね!」

「あ、うん。そういえば姫ちゃんはどうする?」

「ダメよ。今日はダメ。楓ちゃんと二人で遊ぶの。」

「そう?うん。じゃあ、わかった。」

「それじゃあまた後でね?」


そう言って麗子ちゃんは自分の席に戻っていった。なんか、麗子ちゃんの顔から余裕が無くなった気がするけど昨日あんなだったかな?うーん。思い返すと、麗子ちゃんって私と遊ぶときに姫ちゃんを同席させたくないみたいだったからなぁ。我慢させてたんだろうな。出来れば仲良くしてほしいんだけどこればかりはどうしようもないか。今日は麗子ちゃんの要望通りにしてあげよう。


給食を食べて帰りの会が終わってから、姫ちゃんに一言言ってから麗子ちゃんの所に行こうと思ったら、言う前に麗子ちゃんに引っ張られて帰ることになった。あまりにもせっかち。


「こんなに急ぐ必要あるの?」

「うん。1秒でも早く楓ちゃんと遊びたかったから。」

「うー・・・」


それなら仕方ない・・・か?これは判断出来ないな。


「お帰りなさいませお嬢様。本日は楓様とご一緒ですか」

「そうよ。言った通りにしてちょうだい。」

「かしこまりました。」

「あ、こんにちは」

「いらっしゃいませ。」


学校の前に見たことのあるリムジンが止まっており、ドアを開けた状態でメイドさんが待っていた。メイドさんに挨拶してたら麗子ちゃんに引っ張られてリムジンに乗り込む。そして、素早くメイドさんも乗るとすぐに出発した。


「急いでいらしたようですがお飲み物はいかがですか?」

「いつものよ。」

「あ、じゃあ緑茶があれば」

「かしこまりました。」

「そういえば遊ぶのはいいけど、何して遊ぶの?」

「楓ちゃんに見せたいものがあるの。きっと喜んでくれるわ。」

「へー?なんだろう。」

「お飲み物です。」

「あ、ありがとうございます」


流石は一流っぽいメイドさん。いつ湯を沸かしたんだと思うほど早い。それに湯飲みをさわる限りそんなに熱く淹れられてないようだからもしかして玉露って言うお高い緑茶だったりするのかな?


「ズズズ。あ、甘い。」

「美味しい?」

「うん。初めて飲む味だよ」


砂糖とかとは違うほんのりとした甘みが心地いい。━━━あぁ、なんかお茶飲んで一息ついたらちょっと前が霞んできた。


「もしかして、眠い?」

「うん、ちょっとね。大丈夫、寝ないから。」

「眠いなら寝ていいのよ?ほら、私の膝の上においで」

「え、でも・・・にあぁ」


これは駄目だ。もう寝る一歩手前だ。麗子ちゃんから香る強すぎない良い匂いも含めて私を夢のせか・・・・・・・。


「おやすみなさい、楓。」


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