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蒐集癖な彼・女  作者: 知り合い
第0章・赤ん坊
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第五話

今日は記念すべき生後1年目である。

そして初めて知ったが世の中には赤ちゃん用のケーキというのが売っているらしい。生クリームとかって赤ん坊に与えたらお腹壊すんじゃないかとか考えちゃうんだが市場に出ているということは大丈夫なんだろう。

「ハッピバースデートゥーユー♪」

「ハッピバースデートゥーユー」

「「ハッピバースデー ディア楓~」」

「「ハッピバースデートゥユー!」」

「ほら、楓。このケーキにふーって。」

「ふー?」

「そう、ふーーって。」

「ひゅー」

「よくできました!」

「うちの子可愛い!!超可愛い!可愛いの化身!」

親の、特にパパのテンションが「これ血管ぶちきれるんじゃないか」ってレベルまでに高まっているけど、写真撮りまくっているならまあ大丈夫だろう、きっと。

こんな感じで絶賛誕生日会なうです。死ぬ前はもう誕生日ケーキ買わないようになってたから結構久々にロウソク消したなぁ・・・。買ったとしてもカットされたチョコケーキくらいか。



「いやー、楓が産まれてもう1年が経ったのか・・・」

「あら、時が過ぎるのは早い。なんてこと言っちゃう?」

「いや、まだそこまではなってないけれど。1年間無事に過ごせたんだなって、安心しちゃってさ。」

「そうねぇ。産まれてからの1年間は特に気を付けることって母さん達からも言われてたから結構気にしてたんだけど何もなかったし、運が良かったのかしら。」

「たぶん風邪すら引いてないよな?」

「そういえばそうね。」



そういや風邪とか引いたことないですね。

「能力の影響かと思います。」

それもそうか。これで風邪引いてたら能力にケチが付くところだったぜ。


「そーいえばあなた。今年は実家に帰るの?」

「あー、そうだなぁ・・・。最近お袋からもう帰ってこれるだろ、早く孫を見せに来いって突っつかれてるからなぁ。」

「私も母さんが「楓ちゃんと会わせろ!」ってうるさいのよねー。」


む、俺の祖父母の話か?そういえば去年は行っていなかったな。まあ、俺が生まれたのが年末だったから行く暇もなければ余裕もなかったというのがあるのかもしれないが。


「今年は帰るか。楓も無事に1歳になったし」

「・・・どっちに帰るの?さすがに両方は無理よ?最低でも4日は滞在しないと時間足りないだろうし。」

「そうだな。じゃあ、僕がじゃんけんで勝ったら僕の方に行って、君が勝ったらそっちに行こう。負けた方はお盆に帰るって感じで。これならお袋達も納得はしてくれるだろ?」

「まあそれくらいしか対処法は無いわね。じゃんけん」

「「ポン」」

「私の勝ちだから正月は秋田ね。」

「お盆は長野だ。あとでお袋に言っておかないと。」


母さんは秋田出身なのか。だから、秋田美人的なやつなのか・・・?ていうかそれよりも冬の秋田は辛くない?雪とかやばくない?下手したらデッドエンドだよ??


「かーえで~。今年はママのお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに会えるぞ~。」

「あー?うー。」

「流石にまだ楓には分からないわよ。それに、ケーキ食べてるんだから邪魔しちゃだめよ。」

「おっと、ごめんな~かえでー」

「もう本当に楓にはデレデレなんだから━━」


なんというか娘がいる父親のテンプレートのような事をしているな俺の父さんよ。

だが、その普通さが幸せな人生というものを作り出すんだろうなと今ならわかる気がする。幸せは非日常ではなく、日常にしか存在しない・・・ってね。結婚とは、自由時間が減る代わりにこうして他者と幸せな時間を共有出来るからこそ素晴らしいのかもしれないな?

「幸せとは主観的にしか観測出来ないものですのでこちらに尋ねないでください。」

ですよね。ごめんなさい。


ところで、やっと1歳になったのでここで俺は一つ変革することにした。

一人称である。

俺はこれまで自分のことを「俺」と前世からの名残で言っていたが、流石にもうダメだろうとおもう。近頃は俺っ子なんていうジャンルもあるが、現実では違和感極まりなく、下手したら不良と思われる。だからこれから、楓として生きていくこの人生では、「私」と言っていこうと思う。


さようなら、前世の「俺」


こんにちは、今世の「私」



こうして、私は「私」と自称するようになり、さらに正月に秋田県の祖父母に会いに行く事になった。雪で事故らない事だけを切に願う。



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