第三十八話
負債消去
「1年生は5組まであって、全クラスこの校舎の1階にあります!なので、間違って別のクラスに入らないようにしてください。そして、2年生3年生と皆さんが大きくなるにつれて上の階のクラスになりますから気を付けてくださいね!いいですかー?」
『はーい!!』
只今、校舎案内なうでございます。皆で固まって移動しているけれど、並び方が自由なので両脇を姫ちゃんと麗子ちゃんに挟まれて(何・故・か)最前列を歩いていた。
学年が上がると階が上がるのかぁ。めんどくさいなー。
「私たち先生がいる教室は、2階にあります。では行ってみましょー!」
「教室多いね。多くてまよいそう。」
「私たちの2組の場所だけおぼえてればどうにかなるよ。あとは先輩に聞いたりね」
「これくらい普通でしょ?過ごしてれば慣れるわ。」
「だといいなぁ。・・・楓ちゃんについていけばいいか!」
「・・・甘えすぎじゃないかしら。楓さんはあなたのメイドじゃないのよ?」
「めいど・・・?なにそれ?楓ちゃんはしんゆうだよ?」
「召し使いのことも分からないのね。世話してくれる人のことよ」
「・・・??」
「まあまあ。私はべつにかまわないし、姫のメイドでもかまわないよ」
実際、やってることで言えばメイドみたいと言われてもおかしくないしね。
「・・・。楓さんがメイドなんて、ありえないわね。むしろメイドになるなら私に言いなさい。うちに来てもらうから。」
「めいどさんが何かはよくわからないけど、楓ちゃんはわたさないよ。」
「ふーん・・・・・・」
誰か助けて!同性である私を巡って私とほとんど関係ないところでバチバチしてるこの二人を止めてくれぇ!
「えっと、三人ともいいかなー?」
「ほら、二人とも!先生がおはなしするって!」
「うん。」
「わかったわ。」
ナイスインターセプト!ていうか、いつのまにか職員室に着いていたのか。
「ここが職員室です。色んな先生がここにいますから、もし私がいないときは他の先生にお願いしてくださいね!」
『はーい。』
1年生の時に職員室に行く用事なんてあったかなぁ・・・。駄目だ。やっぱり昔の小さい頃なんて記憶に残ってないや。
「次は色々な特別な教室に案内しますねー!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
先生が歩き始めると二人はまた私を挟んでにらみ始めたが、今回は何も話さずただただ睨みあっているだけだ。さっきよりはマシかな・・・。
しかし、姫ちゃんが私に執着するのは多少分かるが麗子ちゃんはなんで私に執着してるんだろ。姫ちゃんとは長い間(1年間)一緒に遊んできたけど麗子とは特に何もないし・・・。
聞いてみるべきだろうか・・・?気になるしなぁ・・・。かと言ってこの程度にウィズ頼る気にもならないし・・・。
「ねぇ、麗子ちゃん。」
「なに?」
「その、麗子ちゃんはどうして私と友達になったの?」
「・・・。友達になるのに理由がひつよう?」
「そうじゃないけど、そのわりには麗子ちゃん私以外に友達作ろうとしてる感じがないから・・・。」
「・・・学校が終わったらおしえてあげる。」
「うん、わかった。」
聞いてみて良かった。さて、どんな理由なんだろうな・・・。よくある理由だと親御さん関係だろうけど、それだと最初の出会いが意味わからないし。
どうにか負債は消せた。