第三話
「あーいうーおーおー」
むぅ。生まれてそろそろ1ヶ月くらい(ケース曰く)経ったはずだが、喋れるようになるのはいつだ・・・?ひたすら寝て起きるのを繰り返すのは苦痛では無いが暇ではあるので、無性に歌いたくなったりゲームをしたくなる。
「あと1年くらいお待ち下さい。」
そんなにか!?気分的には生まれて半年くらいで「パパ、ママ」とか言っていた気がするが。
「前世では地球外生命体の本でも愛好していたのですか?」
いや、特にエイリアン特集とか、大陸本とかは読んでなかったが・・・。
「地球の人間が喋り始めるのは生後約1年程度からです。それも意味のある言葉は1年半程度必要となりますので歌うのは最低でも1年から2年は先です。」
そんなにかかるのか。
・・・そういえばここって俺が元いた世界とは違う世界なんだよな?
「はい。この世界は楓さまが元々いた世界とは違う世界です。」
この世界って魔力とか無いのか?ファンタジー要素的な。
「存在はしております。が、それを扱うための専用器官が無いので諦めてください。」
なにそれエイリアン?
「俗に言う魔術一家や、魔術体系に属している家系であれば、その器官を持って生まれることは多々ありますが、一般の家庭生まれである楓さまには存在しません。」
なんか道具とかで使えるようにならない?
「・・・ご要望の道具はございます。ただし、かなり特殊かつ準備が必要ですので現在調達することは不可能です。」
あるのか!どういうのだ?なんか杖とか?
「紙と筆です」
・・・それだけ?
「はい。特殊な紙と特殊な筆、なおかつ特殊な液に特殊な立地の建物が必要ですが。」
全部特殊な何かじゃないか・・・。
「仮にでも高位生命体が残した遺物を模造するのですからこの程度のコストは必要となります。」
なんか気になる単語出たけどそれより、それらを後々に揃えることは可能?
「可能です。ただし、ある程度の財が必要となります。」
まあ、建物が必要だと言う時点でわかってた。その道具の名前って何?
「符と文字です。」
詳しく
「東洋呪術における式符と、古代ヨーロッパで存在したとされるルーン文字が代表的です。」
聞いたことはある。が、詳しくはよく分からん。とりあえず使えるようになれるって分かっただけで良しとしよう。
「技術再現に必要な知識を検索できるので他の人よりは楽かと。」
おっけー。大きくなってから楽しみだぜ・・・!
「あ!あっ、あー!」
「はーい、どうしましたー?あら、なんだか嬉しそうね。何か良いことでもあったのかしら?」
もしかして俺は脳内で会話している間ずっとこんな感じだったのか?時代が時代なら魔女裁判行きで終わってたな・・・。