第二十九話
結論から言うと特に何も無かった。私の杞憂であって良かった。まあ、事故なんて早々起こらないよね!
「それじゃあ、これからプールに入ります、が!ママとのお約束です!楓はママのいう事をちゃんと守る事!」
「うん」
もちろん守るよ。たぶんね。
「桜と姫ちゃんは、私と楓のいう事をちゃんと聞く事!これが守れなかったらすぐにでも帰ります!いいですね?」
「「はーい!」」
桜と姫ちゃんは興奮のあまり駆けだしそうだからちゃんと見張っとかないとなー。あとは・・・女子更衣室に入るんだよね?
元男とは言えこの体になってもう5年、あと少しで6年。もう女性の体にはある程度慣れましたとも!ほとんど自分とママと桜の体しか見てないけど。
女性の体を見て興奮する精神はもうすでに体に引っ張られて無くなった。
だ・け・ど。綺麗な女性の体を見てテンション上がるくらいはきっと許されるよね?
「楓ちゃんのみずぎかわいい!」
「本当?ありがとう。姫ちゃんのもかわいいよ!」
綺麗なお姉さんとかいない・・・。もっとこう、良い体をした女性がいると思ってたんだけど、子連れの親子ばっかり・・・・。あ、でも中学高校生くらいなら前世の記憶を引っ張り出せばクるかも!?
「さくらは?さくらは?」
「さくらもかわいい~」
「えへへへへへへえへ」
あ~、私の妹かわいいなー!いくらでもなでなでしてあげちゃう!結局中学生の団体みても(私より大きいなぁ)くらいにしか思えなかったし、女子更衣室に一人紛れ込んでいる男という心境は分からない・・・か。
「わ、私も!」
今更「俺」を出すのもおかしいからもういっか。私の仕事はこの二人を可愛がることだぁ!姫ちゃんも撫でられたいんですねそうですね。よしよしよしよし~!
「仲良いわね~。ほら、行くわよ。」
しかしながら、ママは相変わらず経産婦の体してないね~。子ども2人産んでてまだ27,8でしょ?そしてくびれを残しながら妊娠した時に膨らんだ乳を多少残している状態。うむ、薄い本によくいそうな設定だ。ていうか、明らかに今年の初めより痩せている気がするからもしかしてジム的な所にも行ってたのかな?・・・今度昼間に何してるのか聞いてみよう。
もしママがナンパされたら私が守らねばならないかな。子どもに抱き疲れる勢いで下半身を打つと、重さ×速さ=強さで病院行きになるから気を付けるんだな軟派男ども。
「わー・・・!」
「ままーあれなにー?」
「あれはね、流れるプールよ。何もしなくても流されるだけで楽しいものよ」
「行きたーい!」
「まず先にうきわを借りてから行きましょうね。」
まずは浮きわ借り場に行こう。そしてプールに飛び込もう。浮きわ無いと桜とか死んじゃいかねない。私も下に足が着かない気がする。
真夏のプール。
高校生以上にとってどうあれ、まだ子供である私たちにとっては最高の遊び場です。