第二十五話
予約忘れてた
初日にひめちゃんと読書会(朗読会)をしてから、ほぼ毎日ひめちゃんと遊ぶようになっていた。どうも姫ちゃんは基本的に一人でいるようでずっと本を読んでいる。
他にしたいことないの?と尋ねると、「・・・やきゅう」と言った。インドアかと思ったら思いっきりアウトドアじゃないか
そんなある日。
「あ、楓ちゃん。一つお願いしてもいいかな?」
「なに?先生。」
「皆がね、楓ちゃんのろーどくを聞きたいんだって。皆の前で朗読出来る?」
南斗。いや、何と。そこまで演じて読んでた気はまったく無かったのだが、何かが園児の琴線に触れたのか。
「うん、いいよ。」
「ありがとう!皆ー!楓ちゃんが絵本を読んでくれるって!!」
「「「わー!!!!」」」
うひゃー!来るな来るな!怖いから!
「じゃあ、読んでもらう本は・・・これにしようか。新デレ姫!」
めっちゃデレそう。つーかチョロインそう。
なんだろう、こっちの世界の絵本はこんな愉快な物ばかりなのだろうか。・・・でしたわ。今日まで読んだ本はどれも妙に題材がポジティブだった。この絵本たちが世界的ベストセラーになっているなら、きっとこの世界は平和なんだろうなぁ・・・。
早速皆の前で読むことになった。せめて1日くらいは欲しかった。
「えーと、では、こほん!新デレ姫!」
「拍手ー」
「わぁぁぁぁぁ!」
「むかーしむかし。あるところにデレ姫という女の子がいました。」
この本はデレ姫が姉に住んでいた城から追放されて絶望の淵にいたところを、偶然出会った兄妹に助けられ、最終的に民衆を引き連れてその姉を蹴落として新デレ姫として王女に戻るお話である。題材としてはまさかの革命物?かと思いきや、その姉を妹として身分を変えさせるとかいう意味不明なオチがついていた。めでたしって付いてるけど姉が妹になることはめでたいの??
あと、さらっと兄妹も家族にしたって書いてあるんだがこの主人公王女だよね?何をどうやって兄妹を家族にしたのかが謎過ぎてモヤモヤする。せめて、王とか女王がチラッとでも出てくれば・・・!
「こうして、新デレ姫は幸せになりました。めでたしめでたし。」
「よかづたー」
「皆、楓ちゃんに拍手ー!」
「おもしろかったー!」パチパチパチ
「またよんで!」
皆が笑顔で私に拍手をくれる。まったくもって悪い気はしないな。ただ、この物語で面白いというのは結構感性が独特かもしれないね、幼年。
これ以降、たまに私の読書会が開かれることになった。ひめちゃん的にはちょっと不満な感じだけど皆で聞くのも良いものだから、ね?
あ、桜はちょっと誇らしくしてたけど保育園で私に構ってもらう時間が減ったと感じたのか家でくっついている時間が増えた。




