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蒐集癖な彼・女  作者: 知り合い
第0章・赤ん坊
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第二十二話

本編長くしてたら2日分出せませんでした。

ごめんなさい

「ところでお爺さんはいつもここで釣りをしているの?」

「いいや。週に3回くらいかな。退職してからは暇だから少し増えたけどね。」

「じゃあ、この湖に関する面白い話を知ってる?」

「面白い話かい?そうだね・・・。ああ、一時期ね、この湖には宝剣があるなんて言われていたんだよ。」

ほう?宝剣とな。

「宝剣?」

「ああ。名前くらいは聞いたことあるんじゃないかな。聖なる剣、エクスカリバーさ。」

やっぱりイギリスといえばそれか。確かアーサー王伝説では最終的に湖の精霊に剣を返したとか返してないとか。だからもしエクスカリバーが現存するならイギリスのどこかの湖なんだろうけど・・・。

「へえ、面白そう!」

「国も力を入れて探したんだけどね。残念ながら見つからなかったんだ。10年くらい探してもまったく見つからないからついには国も諦めたよ。今はもう個人的に探してる人もいないんじゃないかな」

「なーんだ。諦めちゃったのか。」

国がお金を出して尚10年間探して見つからないなら、私が見つけられる可能性も低いなぁ・・・。十中八九異世界とかに行かないと無い!みたいなお話でしょ。それこそ湖の精霊が持っていったみたいなお話だ。そのレベルの話になるとむしろ精霊さんに会いたいよ。

「お爺さんはその時に探したの?」

「あー、そうだね。恥ずかしい話だが、私も若かったからダイビング用品まで借りて探したものだよ。時には知り合いも誘って、古い文献から本当にこの湖であっているのかと談義したものだよ。結局何も見つけられなくて、でももし誰かが見つけた時にはその現場を見たかったから釣りを始めたのさ。そしたらここで糸を垂らしている事自体が趣味になってしまったんだけどね。」

「へー・・・。いつか見つかるといいね。」

「ああそうだね。もし見つかったらお嬢ちゃんにも教えてあげよう。いや、きっとニュースになるだろうからすぐに伝わるかな?」

「その時には私は何してるのかなー?」

本当に。何してるんだろうか。このお爺さんが死ぬまでに見つかるとしたら最高でもあと20年という所だろう。20年経つ頃には私は立派な社会人だ・・・。なんか、生まれ変わって4年くらいしか経ってないのにもう社会人の事を考えさせられるとか嫌な気分になるな。せめて高校生になるくらいまでは心身共に子供でいられるように努めよう。

「お嬢ちゃんは何か夢でもあるかい?」

「夢?」

将来の夢か・・・。それこそ沢山あるな。男には慣れない職業というのは単純に興味があったし、既知の職業でも性別が違えばまったく別の感想も持つだろう。

・・・今はちょっと選択肢が多過ぎて決められないな。こりゃあ無限の可能性を持つ子供は何でも成りたがるわけだ。

「んー、いっぱい!」

「ハハハ。そうか、いっぱいか。うん。それで良い。今はあらゆるものに憧れなさい。それがきっと君を強くするからね」

その言葉は4歳児に掛けるものじゃないですよお爺さん。ありがたく受け取っておくけどね

「しかし今日はいつもより一段と釣れないねぇ。」

「ぜんぜん釣れなくてつまんないー」

「ふむぅ、魚はいる様子だが、はて何故?」

ねぇウィズ。このまま待ってて本当に面白いものに遭遇出来るの?

「いいえ。必要手順としてこちらが指定する通りに竿を操って下さい」

次の手順あったんかい!

「竿を持ち上げて、奥手前奥手前時計回りに一周してから下上元の位置に。」

ちょちょ多いよ。えーと、奥、手前、奥手前、そこから時計回りにぐるっと一周して、下に少し下ろしてから上に持っていって最後に元の位置へ。

「お嬢ちゃん、あまり動かすと魚が逃げていくよ?」

「んー。お魚さん釣れないかなぁ」

それで、次は?

「そのままリールを巻いてください。」

え?何も引っ掛かってる感触無いよ?いいの?

「はい。」

じゃあ、言うとおりにリールを・・・!?なんだこれなんか引っ掛かってる??

「あれ?」

「おや、やっと何か当たったのかな?私が引き上げてあげよう。フンッ!」

明らかに私に持ち上げられる重さじゃなかったのでお爺さんにパスしたがあれは魚の重さじゃなかった。明らかに何か鉄的な何か・・・?

「これは明らかに魚じゃ無さそうだね・・・。外した方がいいと思うが良いかい?」

「ううん!何が釣れてるのか気になるから釣りたい!」

「やれやれ、これは久々に腰に来そうだねぇ・・・!ぐ、グググ・・・!」

お!少しずつリールが巻き始めたぞ!頼む、頑張ってくれお爺さん!珍しいもの見せて!

「ヌウゥゥゥ!」

「あ、なんか出てきた!」

「これくらい上げればいいだろう・・・ふぅ。老体には流石にきついねぇ。さて、何が釣れたのか・・・な?」

「・・・?なにこれ。棒?」

なんか藻とか沢山付いてる棒状の何かが釣れた。これどこに引っ掛かって釣れたんだ?・・・あ、棒の先端に丸っこい穴がある。あそこに引っ掻けたのか。

「ふむ・・・。これはなんだろうね?この重みからして明らかに金属製だとは思うが、この形からすると明らかに剣のような何かのような・・・?いや、だがまさか・・・!?」



ウィズ、これ何?

「先程話されていたエクスカリバーです。」

え。

嘘でしょ。だってさっき国総出で探しても見つからなかったって。

「隠蔽状態にあったので見つからなかったと考えます。」

隠蔽状態?隠されてたってこと?

「はい。古の精霊の力によって聖剣に選ばれた人間か、精霊の力を破れる人間が手に入れるために隠していたと思われます。」

じゃあ、精霊の力に打ち勝ったの?

「いいえ。楓さまは聖剣がこの湖に存在していることを私を通じて知っていたので、隠蔽の力が発動していません。もっと言えば、存在していることを既知としていたので効力を発揮しなかった模様です。」

な、なるほど?

「更に一つ訂正いたしますと、この剣はエクスカリバーであった剣です。現在はエクスカリバーの名を持っていません。」

「え、そうなの?」

「はい。エクスカリバーとは、このイギリスの地を救う英雄が精霊に選ばれた時に覚醒するものであり、条件を満たさなければあらゆる戦にて味方を勝利に導く力は発揮されず、ただの魔剣となります。」

特殊な剣には違いないのね!

しかし、イギリスの誰かが選ばれて持たないとエクスカリバーにならないなんて不思議な剣だねぇ。

「世界の歴史、伝説に残っている武具のほとんどがそうです。その地でなければ伝承通りの力を発揮せず、名も持たない武器に成り下がる。なので、意外と使い勝手は悪いのです。」

武器業界も複雑な事情があるんだねぇ・・・。

ま、エクスカリバーだった剣ってだけでも十二分に価値はあるし、エクスカリバーじゃなければ国も要らないだろうから見つけて釣った私が持って帰りましょう!

・・・剣持って帰るのって難しいなぁ?



「・・・お嬢さん。この剣のような何か、どうしたいかな?」

「持って帰りたい・・・けど、ママが許してくれるか分からない・・・」

「確かにそうだな。まあ、飛行機にも載せられないだろうね。それにこれは少し汚れすぎている。宜しければ私が預かっても良いかな?」

「え、なんで?」

「私に預けてくれれば、この剣を綺麗にした上で君に届けに行こう。」

「本当に?でも、どうしてそこまでしてくれるの?」

「簡単だよ。私の目の前にロマンが広がっているのさ。男としてはロマンに乗らないわけがないだろう?」

確かにこの剣はロマンの塊だよな。もしかしてこのお爺さん、知らずともこの剣の何かに気づいているのか?

「ふーん・・・。でも、どうやって私と会うの?」

「君が大丈夫だと思うのなら、私に君の名前を教えてほしい。」

「私?私は・・・」

ちょっと待て、このお爺さんに言ってしまっていいのか?私はこのお爺さんがどんな素性なのかぜんぜん知らないんだぞ?

・・・この剣を持ち帰るためにはこれくらいのリスクは必要ということか・・・?

いや、それ以前にこのお爺さんは(たぶん)この剣について気づいてる。否定しながらもどこかで自分の国の至宝だと気づいているはずだ。なのに、それを私に届けてくれようとしている。彼にとってロマンとはそこまでのものなのか?本心が分からない・・・。

「やはり私のような怪しいものには難しいか。であれば仕方ない。これから丁度一ヶ月後、トウキョウ駅にこれを持っていこう。お嬢さんの気が向けば受け取りにきたまえ」

「え!?」

何故だ?何故そこまでしてくれる?そこまでする必要性なんて無いだろうし、貴方にとってもそこまでの価値は無いはずだろう?

・・・このままでは不義理となるか?

彼がただの優しいお爺さんである可能性を潰してまで手にいれなければならないものか・・?

いや、そんなことはないか。信じればいいんだ。うん。信じよう。

人間の基礎は信じることだってどんな主人公だって言ってた。最終的には信用なんだ。ウィズに聞けば一発だろうけどよくよく考えればウィズから警告もされていないし、問題無いだろう!

「私は、シラカワ カエデ。よろしくね、お爺さん」

「!・・・ああ。そういえば名乗っていなかったね。それは疑われるわけだ。英国紳士として申し訳ない。私はエドワード・ホープス。好きに呼んでくれたまえ。」

「うん。お爺さん」

信用はするけどまだ名前呼びほどの距離感ではない。

「・・・お嬢さんが日本人でなければ、いや無駄な考えか。」

「?」

イギリスの旗にでもしてた?


ブーッブーッ

「!あ、ママからだ。私もう行かないと。」

「そうか。では、先程言った日に会おう。楽しみにしているよ。」

「うん!また来月ね、お爺さん!」

その色々よく分からない何かがついた剣の洗浄、よろしくね!

こうしてお爺さんとは別れた。今さらだけど、エクスカリバー(過去)を日本で貰ったとしても、どうやってママとパパに所持許可を得ればいいのだろ・・・?



「次世代の騎士王はブリティッシュにあらず・・・か。時代が時代なら、国家転覆の容疑で早々に死刑にされていたのかもしれないな。しかし私が死ぬまでの世界は楽しそうだ。妻にも言ってやらねばな。」




「どこまで行ってたの?」

「湖で釣りをしているお爺さんがいたからやらせてもらったの!」

「あらそうなの。」

「お爺さんは一ヶ月後に日本に来るから良かったらまた遊ぼうねって!東京駅を中心に回るんだって」

「あらそう。会えると良いわねぇ。」

普通、子供がよく分からないお爺さんと会おうとしてたら警戒心マックスになると思うのですが、ママの警戒心って欠落してたりする?


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