第二十話
「おっきいー」
「立派な湖ねぇ」
「おーきー!」
「いやー、風も気持ちいいし良い天気だ。」
今回のイギリス旅行は6泊7日の予定らしい。最初から長すぎじゃないかと思うけど、ロンドン観光しようと思ったらこれくらい必要なのだろうか?とりあえず、初日は長時間の飛行機に疲れたのもあってホテルにチェックインしてから夕飯だけそこそこ高いの食べてから就寝した。必要なのかも知れない。
二日目と三日目はかの大英博物館を見に行こうと見て回れるだけ回った。それでも詳しく解説読んだりして回るには不十分な時間だったけど、まず作品を見た時点で何も情報を取得出来ないようなものも多かったから別にいいだろう。
回る時に最初の何作かをウィズに解説して貰ったのだが、知らなくても良い(知らない方がいい)情報が多大に含まれていたので聞くことをやめて何も考えずに適当に眺めることにした。明らかに陰謀が混じってそうなものを聞かされても困るよ。
正直、こんな変てこな作品達に芸術的センスを見いだすとか、芸術はよくわからない。裸婦像とかなら単純に股間に来たのかな?とかで分かるけど。抽象画とかから何かを読み取るのは正直ウィズにでも聞かないと無理だわ。
あと、パパとママは知り合いに渡すお土産に変な人形とお菓子を買っていた。
ママ、渡すときはちゃんと説明してあげてね。じゃないと、呪いの人形と勘違いされそうだから。もしくは埴輪的な土偶的な何か。
そして4日目の今日は外でゆっくりしようと言うことで、一番近い湖にやってきた。私はどうにでもなるが桜からしたら、よく分からない物が沢山あって人が沢山いる、よく分からない場所に連れてこられたのだからそりゃ疲れる。なんなら結構泣かないようにあやしたりした。だからストレスのたまった桜のために中断したようなものだ。
ただ、私にとってはこの湖が今回の旅行の一番のお楽しみポイントと言っても過言ではない。
宝くじ検索から1ヶ月経ってウィズに尋ねたところ、この湖で釣りをしているお爺さんに声をかけて釣りをしろというのだ。なんか面白いものもしくは珍しいものがある場所を教えてと言ったはずなのにまさか行動を指示されるとは。
湖ここであってるよね?
「はい。」
で、お父さんはたぶん日陰でレジャーシート引いて寝るし、お母さんも日陰で桜をあやしながらゆっくりするだろうから、私は一人でこっそりとお爺さんを探すのだ。物によっては皆に見せてあげたい。
「楓、桜、パパと一緒に昼寝をしよう。」
「いや。いろいろみたい。」
「ねるー!」
「もう、あなたったら。楓。私達はここにいるから、あまり遠くに行かなければ色々見てきてもいいわよ。あ、携帯は失くさないでね。」
「はーい!いってきまーす」
GPS携帯(借りたやつ)があるから少し警戒が緩んでいる。まあ、そんなに遠くには行かないだろうから大丈夫だろう。
えーと釣りしてるお爺さんお爺さん・・・。ウィズ、どこにいるの?
「湖に向かって右側の座っている方でございます。」
あ、あれ釣りしてたんだ。よし、突撃!あ、翻訳よろしくね。女王英語なんて絶対聞き取れないから。
「了解しました。」