コインパーキング
家族で沖縄へ遊びに来た。
早速、レンタカーを借りた。情報によると、沖縄は車がないと不便なようだ。モノレールができて、いくらか改善されたと聞く。
ガイドブックを見ながら、お目当てのランチだ。まずは、駐車場探しだ。
「20分100円」のコインパーキング。少し先にも「P」マークが見えている。
「あっちも、見てみよう」
次の駐車場は「40分200円」。
計算がニガテな私にとって、運転しながらどちらが安いか計算するのは厄介だ。計算しやすい1時間単位にしてくれれば、比較しやすいのにと思いつつ、頭を動かす。
「えっと、40分で200円だから。お土産見たりしてたら超えるな」
いろいろなシチュエーションを想定して計算を試みる。
ハザードランプのカチカチという音に合わせて、
「どっちも40分で200円になるから、一緒じゃん」
「ここでいいよ。そんなに変わらないよ」
「早く行こうよ。お腹すいた」
車内から聞こえる声は、私を助けてくれる声なのかと疑いたくなる。周囲の車に気を使いながら、ニガテな暗算をしている私を労ってくれと言いたくなる。
「でも、安いほうがいいだろう。その分、お土産も買えるし」
一生懸命計算している自分を正当化してみるも、
「早くしないと、ほかの車が入れちゃうよ」
「あっ、あの車止めるんじゃない」
「100円じゃ、何も買えないよ」
カチ、カチ、、、
「早く!早く!」と追い立てられる。だんだん早くなっている気がする、、。
「あー、うるさい。わかったよ」
頭の回転をストップして、40分200円の駐車場へ車を入れた。
100円の差。貧乏性なのだろうか。
とかく人間は、「おまけ」や「お得」という言葉に弱いようだ。
私の選択は、お得だったのだろうか。
終り。