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4人目の嫁(押しかけ)ができました。

90話あたりでタイトルを変えます。

内容にあわせたもっとバカっぽいものに変更の予定。

薄暗い手術室、無影灯がスポットライトのようにまぶしい光を放つ。

ウィィィンと機械音をあげて鋭く回転する刃が、天井からゆっくり降りてくる。


「いやでござる。いやでござる。おやめくだされ!!お助けぇ~!!!」


手足を革のベルトで縛られ、手術台に固定された夏角は逃げることもできず叫ぶだけだ。

機械音が耳元に近づき、高速で回転する刃が、夏角の首と胴体を切断すべく皮膚を切り裂く__。


「ぎやあああああああ!!!」



___俺は、そんな嫌な夢で目覚めた。


そうだ、夏角を迎えに行かなきゃな。でもせっかくなら可愛い菊理の夢をみたかった。

布団をめくって床をなで、菊理の髪の毛が落ちてないかと探す。一本でもあれば家宝にしたのに残念だと、俺らしいことを考えて入口のすだれを上げ、カゴの外に出ると、陽はもう高く上がり昼近くになっていた。


「なんで起こさねぇんだ。朝イチで伊予国に行く、つっとったろうが」

「拙者を怒るのは見当違いでござるよ総司殿~。拙者も寝てたでござるよ~。起きたのはわずか前で、朝餉をいただいて朝の運動をすませて散歩して碁を打っていただけでござる~」


雨角の襟をつかんで締めあげても、わかってはいたが、ろくでもない答えしか返ってこなかった。


かずら婆さんは体調が悪いとかでカゴにこもってるし、白玉の姿もみえない。



世話焼きの白玉がめずらしいことだと、急に心配になって村長の家まで様子をみにいってみた。

村長の家には、昼の部の村長が座布団に座り、俺を歓迎してくれた。


「白玉でちゅか、娘っこはたぬきどんが一服盛って眠らせておりまちゅ」

「一服って、薬で眠らせてるってことですか?どうしてそんなことを」

「たぬきどんの娘っ子は寝ない子でちゅのでな、ときどき薬をやらないと倒れちゅまうだ」


そういえば白玉は昼も夜も起きてたな。俺に付き合って起きてるとばかり思っていたが、白玉は以前から不眠症だったみたいだ。

ここ2,3日忙しく働いていたからな。疲れもたまっているだろう。寝てないならなおさらだ。機転の利く白玉に伊予までついて来てほしかったけど、起こさず、ゆっくり休養をとってもらおう。


出かける前に顔を見ておこうと、白玉の部屋に行くと、白玉はたぬきに戻りフワフワのしっぽを丸めてぐっすり眠っていた。寝ている白玉の頭をそっとなでるとフワフワの毛はびっくりするほどやわらかかった。



俺が雨角をつかんで岩爺の背に放り込んだところに、ほんとに体調の悪そうな、ほほのこけたかずら婆さんがやってきた。


「287・・」

「えっなに?婆さん」

「287両。きのうの宴会で消えた金じゃ」

かずら婆さんはにじませる負のオーラがものすっごい濃かった。287両。日本円にして3000万円近い金が一晩で消えたとか笑うしかないな。あいつら飲みすぎだ。


「あ~そんなに使っちゃったか。ははは。時間なかったし手あたり次第買いあさったからなぁ」

「・・・・」

「えっといま緊急事態だから、急がないと!夕方までには戻れると思う。じゃ!行ってくる」

「・・・・」


婆さんの無言こぇぇ。

安い酒を集めたつもりだったんだけどな。酒は小売店で買ったし肉も料理も大量購入したし、数千人規模の宴会だから、まぁそれだけかかってもしょうがないよね。



「総司まって!僕を忘れてるよ」


無駄にさわやかな笑顔で小狼首が息弾ませて駆けてきた。

そしてあたりまえのように、岩爺にのりこみ俺の横に座った。


「伊予には身内の用事でいくだけだから、ついてこられても困るよ」

「どこでもかまわないよ。僕は総司と一緒にいたい。それだけだよ」


積極的すぎる小狼首に「身内の問題だから」と俺が「身内」を強調して、キミは部外者ですよと遠回しに拒絶していると鍋子が口をはさんできた。


「あにょね、小狼首しゃまも身内になりゅの。それにゃらずっと一緒にゃの」

「いいね。じゃ僕は総司に嫁ごうか」

「鍋子!?なにいっちゃってんの。小狼首も突っ込みづらい冗談やめて」


なにこれ?幼女、たぬき、鍋と続いて、まさか4番目の嫁(押しかけ)が男?おかしいだろ。どうなってんだ?この迷走チーレム。


伊予国に向け旅立つ俺たちを、遠くから泣き腫らした目の女たちが見送っている。

先頭にいるちょっと女王様風ボンテージな衣装にマントを着た女性には見覚えがある。たしか狼首の親衛隊の隊長だ。


まさか小狼首は本気か?恋人ができたので遊びの相手を整理してきました的なアレじゃないだろうな。俺は背中にいいしれぬ恐怖というか絶望を感じはじめていた。


「総司は伊予国ははじめてかい?僕ら土佐の船団の家が伊予にもあってね、何度も通ってるから詳しいんだ。面白い場所に案内してあげるよ」

「天狗を一匹迎えに行くだけだから。楽しいお遊びは土佐の仲間としてくれないかな」

「それじゃ美味しい魚介のお店を紹介するよ。すこしならかまわないよね」


なんだか遠回しに何を言っても無駄な気がしてきた。押しに弱すぎる自分が辛い。

どうする俺どうなる俺。

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