弟子101人できたぜ。
今後の目標として、半年以内150話程度での完結を目指します。
幼女の頭皮はこれからもかぐので、頭皮好きの方はぜひまたお立ち寄りください。
俺は雨戸をあけ、背伸びしながら朝の空気をめいっぱい吸いこんだ。
「きょうも快調っ!」
もやっとするトコもあるけど気合い入れだ。
縁側にコソッと動くものが目にはいり凝視してみると、ぬりかベィビーたちだった。
ベィビーたちは、くつ脱ぎ石の上の俺の靴をかついでピューと逃げていった。
これはあれか!?時代劇によくある「草履もち」ってやつか!どっちかっていうと「草履もち逃げ」だけどな!
「龍の上人ざま、お目覚めでズガどお」
ほどなくして、俺の靴を手にしたぬりかべ父が現れる。
「上人ざまぁ」「ぱやーど」「上人ざまぁ、ぱやー」「ぱやー」
ぬりかベィビーたちは昨晩より数が増えて100人?個?は、いるような。
「上人ざバっ!おでを弟子にじでグでどおっ」
そういや弟子入りの件は保留にしてあったね。
あらためて弟子入りを懇願し、土下座するぬりかべ父。
ぬりかべ父が地面に頭を打ち付けると、地が揺れ、木々の小鳥もおどろいて飛び立った。
「おぅ!いいぜ。役に立ってくれよ」
俺もぬりかべたちに頼みたいことがあったし、ぬりかべ父の弟子志願を了承することにした。
「おでもー」「おでも弟子なるどー」「おでもー」「おでも弟子ー」
おっ父に倣い、いっせいに弟子入り志願してピョンピョンはねる、ぬりかベィビーたち。
「しょうがねぇな、まとめて弟子にしてやんよ」
気軽に引き受けすぎかな?まぁいいか。
ぬりかべ父をはじめとして、俺に100人ほどの弟子ができました。
「よし、俺の弟子となったお前らに神通力を授けてやろう」
ぬりかべ父は点目がさらに点になり、ぬりかベィビーたちは無邪気にとびはねて大喜びだ。
「上人ざバおでだじに神通力バざずゲでグだざるどお?」
「そうだよ。図体がでかすぎるのも不便だろう?身体のサイズを自在に変えられるようにしてやるよ」
ぬりかべたちには、ほかにもいくつか必要なスキルを付与してやろうと思う。
ステータスを表示するのには名前が必要なんだが、名前を聞くと「ない」とのことだった。
「おでだじバ岩ど呼バれでるどお」
なるほど、全員まとめて岩としか呼ばれてないんだな。
「では名前を付けてやろう。おっ父は、そうだな岩爺でいいかな」
「あでぃガだギゴどお、ギょうガらおでバ岩爺どお」
ぬりかべ父改め岩爺は、俺が適当につけた名前に感動してくれたようだ。
ベィビーたちにはさらに適当で、一郎からはじまって二郎、三郎、四郎…。
と、ちょうど百郎で名付けを終えた。
ぬりかべたちにスキル付与をしてわいわいしてるとふぃにクロが現れる。
「総司、早飯は3倍お得」
きょうのクロはわかりやすいな!早起きは三文の得って言いたいんだろ。
いや俺もうおきてるし?なんだそれ?
横をみると、縁側のはじのほうに赤名が座って控えていた。
朝食の準備ができたと呼びに来たらしいが、忙しそうな俺を見て声をかけずにいたようだ。
なんつーか赤名は失われた大和撫子の気遣いができる女だよな。
一方、クロはがまんできずに「早く飯を食え」と出てきたわけだね。
朝食には赤名にお願いしてあったアレが出た。
アレとはそう、俺の大好物の「煮卵」だ。
煮卵うまいよな!ラーメンにはもちろん弁当にもオヤツにも最適だ。
赤名たちは煮卵のうまさを知らなかった。
まぁ作り方はかんたんだし、失敗しても食えなくなる訳じゃないから、作り方を教えて昨夜から仕込んでもらってたんだ。
この里では鶏をたくさん飼っていて、俺が村人に貢いでもらった卵が手元に大量にあった。
そして温泉があるので温泉卵も簡単にできるのだよ。
カラのむける程度の温泉卵をつくりカラをむき、ひとばん調味液に漬けて、さらに温泉の熱であたためると煮卵の完成だ。
「おいしいわ!黄身まで味がしみてて、温泉卵とは違うトロっとした食感」
赤名は煮卵の味を大絶賛だ。
「もぎゅもぎゅり、早起きで3倍」
「おいしいですぅ、こんなおいしいものシロはじめてですぅ」
クロは煮卵3個も口に入れてるし、シロは泣きながらすこしずつじっくり味わって食べている。
「我が家の秘伝のタレがこのような味に。素晴らしいですな!」
大角にも大好評だった。
この村ではどこの家にも秘伝の漬けダレなるものがある。
要は調味料を捨てずに継ぎ足し継ぎ足し大事に長く使っているってことだね。
隠れ里っぽいのに食にだけはキッチリこだわる性質らしく、このタレがうまいんだ。
大角んちのタレは醤油ベースに骨粉や香草をくわえたもので焼肉のたれのような味わいだった。
俺は午後からこの煮卵とおにぎりをもって、周辺国を偵察してまわる予定だ。
ゆうべの村の集会での話し合いの結果、俺が偵察役に決まったんだよね。
俺以外の選択肢はもともとないんだけどさ。
移住自体については異論は特に出なかった。
状況を見てある程度は、みなの腹も決まっていたんだろう。
問題となるのは天狗の里の住人の受け入れ先だな。
隣国は出雲国を除くと2国、但馬国と播磨国だ。
でも、すこし遠くになっても条件の良い土地を探したいんだ。
聞いたところによると、すべての土地がきまった国に管理されてるわけでもないらしい。
天狗の里のように、どこにも属しない村や町が点在しているということだ。
大国ですら統合したり分裂したりの不安定な情勢だという。
状況によっては一時避難的に身を寄せる国と、定住先は別になるかもしれないな。
とりあえずざっくりと3日ほどかけて手近な国々を見聞してみようと思う。




