幼女の頭皮にハァハァした。
夢の中でクーこと菊理姫を抱きしめていた。
座った姿勢の俺のひざのうえに菊理姫が腰を下ろし、俺の胸に顔をうずめている。
小さく細く柔らかい姫の身体を壊れぬようそっと抱きしめる。
俺の好きな姫の髪に指を通しながら思う、
「おぉ菊理姫、あなたはなぜに菊理姫?」文化祭の定番劇のダサいセリフのひとつだな。
なぜに彼女は幼馴染だったり、夏休み明けの転校生だったりしなかったんだろう?
同い年で、あるいは先輩で、一つ下で。
時間をかけてお互いを知りあう関係でありたかった。
まぁ、その場合は俺なんて見向きもされなかった可能性は99%以上あるけどな!
恋がはじまるきっかけってなんだろうな。
出会うタイミングか、相手がドストライクのタイプだった?はたまた異性からの積極的なアプローチか?
心をくすぐる言葉、フェチツボを突かれた、吊り橋効果。
__全部な俺は狂おしいばかりだ。
俺の胸に顔をうずめる菊理姫は泣いているのだろう。
その嗚咽と小刻みなふるえを抑えるように、か細い身体を強く抱き寄せる。
そうか、寂しくさせてしまったんだね。
サラサラした絹の髪の感触を味わい、とまどいながら頭皮に指をはわせる。
いま、菊理姫の黒髪のわれめが俺の鼻のすぐ下にある。
菊理姫の頭皮の匂いかぎてぇええ!!
ヘンタイと思われてもいいッ!これは俺の夢の中だしなッ!
意を決して、思いっきり頭皮の匂いをくんくんさせていただく。
上気した頭皮は湿気を帯びて、かすかに汗の匂いが混じる。
至福のひと時なりッ!
菊理姫の唾液が飲みてぇええ。
俺の中のヘンタイが加速する。お巡りさんここです!俺です。
腕を緩めると、腕の中の菊理姫は顔を上げ、濡れた黒曜石の瞳で俺を見つめた。
俺は、その小さな顔に手を添えて、親指で彼女の唇にふれる。
柔らかい唇はゆるく開いて、親指は彼女の白い歯を感じ、あふれる唾液が指に絡む。
菊理姫はかすかに喘いで上半身をおれの腕に預けのけぞった。
姫のきゃしゃな首は透き通るように白い。
彼女が少し身をよじると、襟元が緩み、目に映る白い肌は首から胸元へと徐々にひろがり、発光するほどの白い胸があらわになった。
俺は菊理姫の口元を光らせる唾液を舌ですくいとりながら、そっとささやいた。
「__これ以上は犯罪だから」
目が覚めると俺は大角の屋敷の座敷にいた。
クロとシロ、そして大角の長女、赤名が横にいる。
赤名はその名の表すとおりに真っ赤な翼を背に持っている。
学校に通っていたら姫枠におさまるのは間違いない、崇拝されそうなほどの美形さんだ。
その赤名がパッと横を向いて俺から目をそらす。
シロはキャーとかいって逃げてしまった。
クロは冷静にポツリと指摘。
「総司おきた。総司のまんなかもおきてる」
俺の薄手のワークパンツがモッコリしとったわ!
「きやぁヤダッみないでぇ~!クロおぬしは武士の情けという言葉をしらんのかッ」
わーきゃー騒いでいると大角がやってきた。
「起きたようじゃの総司殿、よう寝ておられた」
「起こすにしのびなく、そっとしておれと申したのに娘どもは」
大角のその言葉に安堵した。
寝首をかこうなどと画策した様子はみうけられない。
もう俺をとって喰う気はないらしい。
リフレクトと物理攻撃無効のある俺を喰えるとは思わないが、多少なりとも腹を割った交流のあとに、
「やはり清明殿のお言葉を信じます」などとなったら凹むとこだからな。




