表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【討伐者】  作者: 夢暮 求
【-従順な少女と溺れた男-】
175/323

【エピローグ 01】


「さすがは“死神”。どんなことが起こっても死なずに帰って来る。今回ばかりはさすがに死んだと思ったのに、意外だよ」

「あそこでもっとテメェが努力していたら、“力の理”も盗られずに済んだんだってぇのに、よくもまぁそう毒を吐けるもんだな」

 ディルはケッパーに唇を尖らせながら言う。

「けれど、『ブロッケン』の臭いを嗅ぎ分けられるなんて……間違いなく、その“力の理”を奪われて以後からだね。その頃から、ディルは人形もどきと接触していないんだろ?」

 ケッパーの見解に、ディルはなにも言わず肯く。


「でもさでもさー、どうすんのー?」


「うるせぇ、クソ女。近寄るな、人で無しの臭いが移るだろうが」

「分かっているクセにー。でも、クソ男はさすがに年下の趣味は無いだろうしねー。あの子も波乱だねー。どうすんだろーねー、ほんっと」

 リコリスは一人、ケラケラと笑い続ける。

「おい、ディル。酒を買って来い」

「はぁ? テメェが買って来い、飲んだくれ」

「ちっ、仕方が無ぇ。置いていた酒を飲むか」

「ふざけんな、このアルコール中毒者」

「なんだぁ? 俺の注いだ酒が飲めねぇって言うのか? ぶん殴るぞ」

 ナスタチウムの牽制に負けじとディルは睨んで威嚇する。


「なんて物騒な会話なんだ。嘆かわしい。これが二十年前に肩を並べて首都を守った仲間だなんて」


「俺は一番、テメェが嫌いだけどな」

「そう言うと思ったよ、“死神”。僕も君が大嫌いさ」

 言いつつもジギタリスは穏やかな表情を見せている。

「浄化計画はいつ始まるんだ?」

「『下層部』にそんな通達が来ると思うかい? 部下には『上層部』に探りを入れるようには言い続けているんだよ、これでも。浄化計画の全貌が明らかになったのだって、苦労の末なんだ。こんな苦労して手に入れた情報を、おいそれと君たちに話してしまったのは、辛酸ものさ」

「一言多いんだよ、テメェは」

「一言も二言も多い君よりはまともだと思うけれど」

「二人とも喧嘩すんなー。喧嘩したらクソロリと寡黙ロリがあんたたちを止めに来ちゃうよー」

 リコリスのアンニュイな一言に、二人揃って溜め息をつく。


「一時休戦であっても、君みたいな“悪”が傍に居るのは、常に暗殺者が隣に居るような心持ちだ」

「海魔の蔓延る世界じゃ、それくらいで良いんだよ、『正義漢』」


 ともあれ、こうして二十年前の生き残りは、互いを英雄と知る者たちは、ここに集う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ