enter8>>異常
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僕の脳がバキバキと、音をたて始めた。
脳内出血でも起こすんじゃないのか……
今、目の前の男に言われたことを脳内で反復してみた。
無理にでも理解しないと……
それが、[俺]なんだろ…………?
…ああ、…………そうか…
僕は[そう]なんだよな…
[そう]だ。[そう]だった。
迷うな、落ち着け、平常心を保て。
いつもの僕が、[普通]なんだ。
考えろ、落ち着け。
馴染め、自然体でいるんだ。
馴染むのが僕、飄々としてろ…
それが[俺]なんだから…………
…よし、よしよし………
「………。」
マッ…基、No.01は、じっと僕を見ている。
ただただ、見下ろす。
ここで一つ、咳ばらい。
…あ、声出るんじゃね?
「…あ、ああ、あ、…よし。」
吐き気も止まった。気分も悪くない。
普段通りの、優等生だ。
大丈夫、正常な………
「…異常だな、少年よ」
No.01は、笑顔で言った。
恐い。…そう、思った。
そしてその笑顔を張り付けたまま、こう続けた。
「君は、今までに無いほど異常だ」
…僕が、異常……?
僕の、どこが?正常極まりないじゃないか。
ま、まあ…人それぞれに感じ方はあるしな!!
……最も、僕は[正常]だが。異常なのはこの状況の方だ。
異常なこの異常事態に直面して異常的な異常感覚が生まれて………
………駄目だ。混乱していて、何も解らん。この人が何言う意味も、何考えているかも全く解らん。理解不能だ。
「皆そうだ、最初は戸惑うものだ。現実的ではないものだよ」
眉尻を下げ、No.01が続けた。
「さて……少年は[異脳]をご存知だろうか?」
手を叩き、No.01はあぐらをかいた。
短髪マッチョイケメンだから、絵になる。
「…し、知りませんけど……」
僕は警戒し、身体を起こしながらNo.01に答えた。
手錠が擦れ重い音が鳴った。
「それでいい。それを────特色能力とも言うが────我等は[異脳]と呼ぶ。」
No.01は、慣れたように話し始める。
[異脳]…普通の人間にはない、すぐれた才能。
また、いっぷう変わった特別な能力。使用していない脳の一部の暴走により芽生えることもある。
その異脳者を集めた軍団を[wrong human──略称:WH──]という。
WHは、言わば異脳者の軍隊だ。
だが、敵のいない孤立軍隊。
闘わない、傷つけないが基本である。
自分を守るための訓練や、異脳力を調べる調査などだけの単純明解な軍隊。
WHはそのような形だけであり、異脳を求め、非道な研究する国から異脳者を保護する施設だ。
異脳には、遺伝子により個人差もある。
小さな力から、大きな力、そして種類は五万とあるのだ。
人間の脳が数割使用されていないのは、どのように進化するのか判り得ないその[異脳]を覚醒させないためだとされている。人間の進化、発達故の現象である。
事実、日々波紋のように異脳発症は拡がっている。
あらやだそんな突拍子もない…などと、お上品に流していると、そこでNo.01は説明を終えた。
「信じるも、信じないも、少年次第だよ」
No.01……
信じること以外みとめないって目ぇしてるぞ……
そうゆーときは、「信じてくれ」で────……
「信じてくれ」
No.01は、本気だった。
長年の苦労か、眉間の皺が片時も崩れない。
「…じゃあ琉知亜は…」
僕が尋ねると、No.01は窓の外を見て
「琉知亜……ああ、[彼女たち]のことか。…造られたクローン兵器、護身兵・Copy dollだよ。我等はそう聞かされている。」
「……クローン……?」
耳慣れない言葉だ。
アニメや漫画だけのファンタジーの世界だと思っていた。
「何でそんな、く、クローンなんかを……」
「君を護るためさ、少年。」
「…僕を、護る………?」
「[彼女たち]は君を護るため[だけ]に造られた、兵器だ」
「……兵、器…………僕だけを、護る……」
兵器、だというのか…
あいつが………?
頭痛が再び襲い掛かる。
僕の頭のキャパシティが足りない。
琉知亜が機械で、大量生産される、ただの兵器ってか。
ありえない。あいつは人間だろ?
それに、
あいつがそうだとは思えない。
もし、仮に
あいつが機械仕掛けの作り物なら
それなら、………それなら
今まで共に生活していて
楽しかった
のは…
僕だけ なのかな
「…………かも、知れないな…」
No.01が俯き、言った。驚く気力もなかった。
僕は[昔]から、妄想の激しい奴だ。
機械に向かって話し、盛り上がっていたのが自分だけだと知っても何も変わりゃしない。
僕は[また]、間違えたのだ。
そう、僕は[また]誤ったのだ。
俯くNo.1の姿に目を当てられなくなり、ふと、後ろ側にある窓を見た。
………え?
窓が、琉知亜でうめつくされていた。
出来上がっていない、ホラーな琉知亜が窓の外いっぱいにべったりとひっついている。
「へっ……は…?」
恐怖で腰がぬける。手がかたかたと震え始める。
「…にャンんんチチちチャあァん、だァああア」
ホラー映画かのように、一斉に作りかけの口をうごめかし合唱した。
「…あ、エ?あンデ、ゾッちにイげないノかニ゛ャぁ?ニゃんぢ、ン、んー」
10や、20じゃない。もっと沢山の……[機械]、そう。[機械]が蠢く。蟲のように。
「…少年…」
No.01は、背後から切なげにぽつりと呟いた。
暫くすると、部屋や工場内のけたたましいサイレンとアナウンス的な何かが危険信号を出した。
<Copy dollが暴走中、原因は不明。すぐに避難せよ。Copy doll中枢を間もなく停止させます。Copy dollが暴走中、原因は不明───…>
幼い小学生くらいの少女の声で、はきはきとした滑舌が大人顔向けのアナウンスが、白いこの部屋にも危険を知らせた。
どこから流れているんだろうか。
「…少年、この部屋も危険だ。部屋から出た方がいい」
No.01はそう言うと僕の腕を掴み立たせると、窓と反対側の壁をニ度ノックした。
「…ついて、来るか?少年よ」
No.01が振り返り、僕に尋ねる。
質問の意味を理解し、考える。
これは…………
知ってはいけないのかもしれない。
関係のない世界に関わって良いことはないかもしれない。
だけど、
だけど、
自分の中で、疑問符ばかりが溢れるのは
もう……………………………………嫌なんだ。
No.01のノックした壁は、先程までなかったいびつな穴が開いている。無理矢理破いた粘土細工のようだ。
どのようにこの穴を開けたのだろうか?
「少年。その答えは、もうわかっているんだろう」
いびつな穴を跨いで、No.1が言った。
自信に満ちた、安心するその表情は僕には足りない何かを感じる。
家を出てからの数日間。僕の人生は180度変わった。
何も信じなかった僕。そして、直面したあり得ない現実。その非現実的日常が、何の意味を持つかはわからない。
特に、僕に得があるとも思えないし。
だから、…意味を求めてみよう。
良い、暇潰しになるだろうしな。
自分を信じて、でた道……
それは、僕の進むべき道のりなんだ。
だったらもう、
答え合わせは必要ないだろう
……なんてね
「……はは、決まりだな。」
そして、No.01の後についていびつな穴を抜け、廊下に出た。やはり、異脳者の能力だった。
茶髪の…いかっ……い………厳ついお方が、片手に持っていた白いつるつるの液体のようなボールを穴へ投げると、ボールは机に落ちた液体が流れ広がるように穴を塞いで…壁は綺麗さっぱり元通りになった。
ふと見た白い廊下は、何だか凄く綺麗に見えた。
「異常な異脳の世界へようこそ、No.zero。」
No.01と厳ついお方が笑顔で言った。
enter>>報告書
理由:恐らくNo.444の暴走によるもの。
被害:copy dollの暴走、館内の破壊
報告:No.444の対処法は模索中により、状kyou..$.*83#5;[+??^2、$7274″¢#″6
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