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報告書
記入者:
研究は進行中。
件のプロジェクトも成功率向上。
人口知能の開発も進行。
今月、入隊したWHの異脳者数31名。
31名中1名を除き、健康面、異脳力面、共に異常なし。
異常の有る者について。
氏名:宇佐見 隆史
性別:男性
親族:なし(自己報告)
異常:異脳力の凹凸
備考:今までに無い例であるため、研究対象に成り得る。
以上の者を、情報処分と科すべし。
以上。
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20××年夏───………
「おにーちゃーん、あっそびーましょー!!」
チャイムが何度も鳴る。隣の家に住む姉弟だと、直ぐに分かった。
今の時刻は昼の1時。お昼ご飯も済んで、丁度眠たくなってきたところだったのに。
「コラ!もぉー、あの子達来たわよ!ぐーたらしてないで出てあげな!」
お母さんが庭で洗濯物を干しながら、ぼくに言った。
「えー…………」
なんだかんだ言って、ぼくは別にあの姉弟が嫌いでは無かった。
人見知りの激しいぼくにとって、やっとできた友達だから。
ぼくは、食べかけのソーダアイスが溶けないようにくわえて立ち上がった。
途端、どろっとした液体が口に広がった。口の端っこから、溶けたアイスが零れる。
「おかぁーひゃーん、アイスこぼひたー」
「えー!?んもー、アリ来るからちゃんと拭いてよ~もぉー」
「はぁーい」
適当に挨拶しながら、玄関まで行く。
チャイムの連打はまだ続いている。そろそろ五月蝿い。
「はーい、五月蝿いなぁ」
ぼくが出ると、日焼けした小麦色の肌の姉弟がサッカーボールをもって満面の笑みを浮かべた。
「おにーちゃん!サッカーしよ!」
この姉弟は、外で遊ぶのが好きで堪らないようだ。
ぼくは家でアイス食べていたい。
1日1本しか食べちゃダメってお母さんは言うけど。
「昨日もサッカーだったじゃん」
「えー、サッカーしよーよぉー!」
姉が駄々をこねる。弟は、きゃきゃっと楽しそうに笑った。
「ほら、遊んどいで!夕方には帰ってくんのよー?」
お母さんがぼくに麦わら帽子を被せた。
「ほら、これあげるからねー」
そして大きな飴玉を3つ僕らの手のひらにおいた。
姉弟は、嬉しそうにありがとう!とうるさいくらいの笑顔で言う。
「はい!いってらっしゃい!」
お母さんのお見送りに、僕らは手を降って歩き出した。
「あっついなぁー………」
「サッカーしてたら、暑いのなんか忘れちゃうよ!」「ねー!」
その姉弟はそう言うと、ぼくの手を引っ張って真夏の空の下、川沿いの空き地まで走った。




