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ここは……
ここは、どこだろう
私は、
何をしてるんだろう
焼けるように痛む身体
瞼をあけるのが恐い
…………あの人は。
あの人は一体、どうなったのだろう
助けなくちゃいけない
……───あ、の……、……?
アノヒトって誰だっけ
なにかを、わすれているきがする
でも、
それは本当にわたしにひつよう?
わたしがやらなきゃいけない?
わたしだって
あたしだって───────……
…………ああ。もう、疲れ、たなぁ
なんだろう
あんなに痛かった身体が今では何も感じない
でも、いま
とてつもなくねむいの
だから
もうすこしだけ、このまま───…
「…目が覚めているんでしょう」
少し離れたところから女の声がした。
……誰?
コツコツと、ヒールで歩く音が近付いてくる。私は床に寝ているのか、その反射した音が耳元で響く。感覚が戻り始める。
ゆっくりと、でも確実に脳は覚醒していく。
「…あなたは[死ねない]でしょう。……あなた、あの子がどうなってもいいのかしら?」
ヒールの音が近くで止まった。
感情を抑えたような女の声から、恐ろしく怒りが滲み出ている。
痛みに耐えながら、うっすらと目を開く。天井の蛍光灯が眩しくてもう一度目を閉じた。
「…ッ……………起きなさいって言ってるのが聞こえないの!?」
「……ッ……ぁ……」
大きな声と共に、側頭部に激痛が走った。衝撃で全身が痛む。目がチカチカする。ブラックアウトする思考。
「……かはっ……」
叩かれたんだと気が付いたのは、目を開いてからだった。
「………………随分な様ね。」
髪の長い女の人が、起き上がった私を見下ろしていた。
「……、……っ」
この人のことは記憶にある。
途端、全てを思いだし
焦燥感と危機感に全身が震え出す。
ああ、そうだ……
この人のことは
絶対に、忘れちゃいけない。
だって、この人は────────…
「 」
声は届かなかった。
声が、出なかった。
その女性の表情は極限まで無表情で、且つ睨み付けるようなするどい表情だった。
「その名前は呼ぶな…………!!」
女性は叫んだ。一瞬、その人の身体がテレビの砂嵐のように掠れた。
「今は別の名があるの……!忌まわしいけど……[あの子]が呼んでくれた名前が!!」
[あの子]と口にするたび、女性の表情は泣きそうになる。
「私、……もう赦されなくてもいいのよ」
「…ど……して………………」
「私は[あの子]を裏切った。でも……でもだからこそ、」
女性は、真っ直ぐに私を見据えた。
「…私は[あの子]を、救わなくちゃいけない」
私は、
その目を、
言葉を、思いを、
ふと、赦そうと思った。
だから、
……だから───────
「 」