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脳内eRror  作者: 樹 夜雨
祓えと奴。
18/23

enter18>>想

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ここは……



ここは、どこだろう


私は、


何をしてるんだろう


焼けるように痛む身体


瞼をあけるのが恐い


…………あの人は。


あの人は一体、どうなったのだろう


助けなくちゃいけない



……───あ、の……、……?



アノヒトって誰だっけ



なにかを、わすれているきがする



でも、


それは本当にわたしにひつよう?


わたしがやらなきゃいけない?



わたしだって



あたしだって───────……




…………ああ。もう、疲れ、たなぁ



なんだろう



あんなに痛かった身体が今では何も感じない



でも、いま



とてつもなくねむいの



だから



もうすこしだけ、このまま───…


「…目が覚めているんでしょう」

少し離れたところから女の声がした。

……誰?


コツコツと、ヒールで歩く音が近付いてくる。私は床に寝ているのか、その反射した音が耳元で響く。感覚が戻り始める。


ゆっくりと、でも確実に脳は覚醒していく。


「…あなたは[死ねない]でしょう。……あなた、あの子がどうなってもいいのかしら?」


ヒールの音が近くで止まった。

感情を抑えたような女の声から、恐ろしく怒りが滲み出ている。

痛みに耐えながら、うっすらと目を開く。天井の蛍光灯が眩しくてもう一度目を閉じた。



「…ッ……………起きなさいって言ってるのが聞こえないの!?」

「……ッ……ぁ……」

大きな声と共に、側頭部に激痛が走った。衝撃で全身が痛む。目がチカチカする。ブラックアウトする思考。


「……かはっ……」

叩かれたんだと気が付いたのは、目を開いてからだった。


「………………随分な様ね。」

髪の長い女の人が、起き上がった私を見下ろしていた。



「……、……っ」

この人のことは記憶にある。



途端、全てを思いだし


焦燥感と危機感に全身が震え出す。



ああ、そうだ……



この人のことは




絶対に、忘れちゃいけない。




だって、この人は────────…




「 」




声は届かなかった。

声が、出なかった。



その女性の表情は極限まで無表情で、且つ睨み付けるようなするどい表情だった。


「その名前は呼ぶな…………!!」

女性は叫んだ。一瞬、その人の身体がテレビの砂嵐のように掠れた。


「今は別の名があるの……!忌まわしいけど……[あの子]が呼んでくれた名前が!!」

[あの子]と口にするたび、女性の表情は泣きそうになる。


「私、……もう赦されなくてもいいのよ」

「…ど……して………………」


「私は[あの子]を裏切った。でも……でもだからこそ、」


女性は、真っ直ぐに私を見据えた。


「…私は[あの子]を、救わなくちゃいけない」


私は、


その目を、



言葉を、思いを、



ふと、赦そうと思った。


だから、


……だから───────




「 」




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