enter16>>邯鄲の夢
error23>>
「宇佐見先輩!」
後ろから、大学時代のサークルの後輩でも仲の良い猿田がどたどたと走ってきた。慌てているようだが、何かあったのだろうか。
「なんだよ、何かあったか。それより、ここではその名前を呼ぶなとあれほど…」
「それどころじゃないっす、先輩!」
それどころって…
猿田は思ったら即行動の脳筋マッスルモンキータイプ(自分命名)だからなあ。まぁ、即行動せねば忘れるだけなんだけども。
「ぜ、…zeroがここに来るらしいっす!」
歪んだような顔になった猿田が叫んだ。
途端、心臓が波打つ。全身が心臓になったように揺れる。生唾を飲み込む。
「そう、…か」
息詰まって、少し噎せた。
見ると、猿田の目が泳いでいる。マッスルモンキータイプのくせに、気はよく使う奴だ。そう、悪い奴じゃないんだよな。
「zeroが来たら、宇佐見先輩は…」
「…大丈夫だ、お前が心配するな」
自分の声が、廊下にこだまする。もやがかかったような気分になってきた。
「皆は、このこのはもう知ってるのか?」
「あ、はい…最後は宇佐見先輩に、と」
沈黙が訪れる。気まずい雰囲気。すると、猿田がイケメンとはお世辞にも言えない自分の顔をぐにーっと引っ張った。
「……なにしてるんだお前」
「ぁぁぁあの!」
猿田が、ファイティングポーズで構える。自分には男相手にそんな趣味はないのに、そんな。
「指導兵且つ監視役を任せられる奴を今模索してるんす。…皆、やっぱり怖いみたいで」
猿田が首を降った。目を伏せる。
「報告ありがとう。……もしよかったら、彼の担当は僕にさせてくれるか」
「……!…えっ、で、でも!」
「僕に、させてくれるか」
念を推し、もう一度言った。猿田の表情が歪む。恐怖か、畏怖か、毛が逆立っている。
「…わ、かりました。俺から、…皆に伝えておきます」
猿田が目を伏せた。
「……気にするなよ、猿田…」
猿田にしか聞こえないように、ぼそりと呟いた。
「…うす」
猿田は、ふっと笑ってその場を去った。振り替える寸前、泣きそうになるのが見えた気がした。
先ほどまで歩いていた廊下で、1人ぽつりと立っていた。ぼーっとしていた。
電灯が電力消耗しているのか、点いたり消えたりしている。
「異能………………」
言葉にしても、結局は何も分からないものだ。
異能とは一体、何なのか。
考えても分かるはずもない。答えのない問題のようなものだ。回答なんて求めてはいけない。
ただ。
それは、自分から沢山のものを奪った。
そのことは、そのことだけは、忘れないでいよう。
………………どうなってしまっても。
error24>>
暇人生活四日目の朝(記憶にある部分)。
……………ちょーっっっっぜつ暇だわ!
携帯もない、テレビもない、パソコンもない、………………僕から、僕の大切なものを奪いすぎてやしないか!?
インターネット世界は僕の!この僕の、生☆き☆甲☆斐☆なのに!!ああああ、くっそぉぉぉ泣
あああああ、おま、…このくそったれぇぇぇぇい!まじこの環境なんなの、イライラするわぁ!!インターネット世界を返せ!お願い!お願いします!
あいつ(インターネット)がいなければ………………いなければ、僕は終わりだあああぁ会いたいよぉぉぉぉ遠距離恋愛はつらいよぉぉぉぉぉ
男はぁぁぁぁぁつらいよぉぉぉぉぉ
「ふぁぁぁぁぃ、」
ちょいと欠伸ひとつ。
動いてないから全身バキバキだ。腕の感覚もくそもあるはすがない。縛られていると、寝ている時に足がつることなんて沢山あった。
と、いうかですね!
縛られてるからまずあれ、あの、(自主規制)ができないじゃないですか!そう!それ!
まぁ、縛られるのは個人的に?男として?ふふふ、(自主規制)いからまあ(自主規制なう)い気持ちになるんだけどね♪
それに(自主規制)で、(自主規制)だから(自主規制)なのは許せる!!……じゅるり。
ナースさん、怖がってるけど可愛いから脳内(自主規制)できちゃうんだよね!!……テヘッ☆(裏声)
うっへへへ~/////やっぱりいっかぁぁぁ~/////
バコン!!!
「いってぇ!!?」
「あら、ごめんなさい。」
しれっと悪びれもせずに謝っていたのは、ロリっ子テントちゃん(僕命名!ふぅイエ!↑↑)こと、異能者No.1010番さん。振り切った右手にはちゃっかり、ティッシュ箱。
「な、え!?ん!?なんで殴ったんですか!?」
「私の異能は《嗜好的思考を受ける》ですので。」
「はぁ…え?あ、しこうてき思考?」
「人の、特定した人物の嗜好的な思考…つまり、あなたの考えたような自主規制大量の考えを電波みたいに受信するんです」
「…も、もろバレだった?」
「もちのろんですぅーっ!このこと、お忘れなきを!」
バコン!!!!
本日2度目の制裁を顔面に食らった。
うわ、テントさんといるときずっとエロいこと考えてた、僕。…やばいわ。思春期だわ。
「そっ…そこまで殴らなくても!」
「では、今日は検査の日ですよ~簡単なものなので説明は後にしますねー」
テントさんは、優しいナースのお姉さん顔に転換した。この人、お面かぶってんじゃねぇの!?…多少の女性恐怖症スイッチon。
しかしながら1日で、こんなに仲良くなるとは。まあ、いまだに他のナースさんと顔を合わせることはない。テントさんだけが、僕の病室に入り僕と話をしてくれた。縛られていると、全身苦痛でしかないが、話ていると少しは気が紛れた。感謝はしている。…………可愛いし。←本音
「では麻酔、急速導入お願いします」
テントさんの後ろのドアが突然開き、入ってきたナースのおばちゃんがてきぱきと準備をしている。
こっちには目もくれない。唇や手がカタカタと震えている。
…んーこの人もか。
なんでこんなにびびられるんだ?僕。
それから入ってきたナースさんや、おっさん達にごちゃごちゃもみくちゃにされていつの間にか
深い、とても深い眠りについた。
error24.5>>
おそらくこれは夢の中だ。
そう分かる夢は中々見ない。
……あー、というか、僕はレム睡眠とかあんまりしないから。
ぼんやりしているから夢、つっーことで。
「夢、ねぇ」
辺り一面ただただ真っ白い世界。雪が降ってる。何もない、ただの真っ白。
自分の服装は、先ほどまで着ていた病衣に裸足だった。自分の容姿的な意味ではリアルだ。少しは現実か…!?と疑いたくなる気持ちもある。
「つめた…くはないな」
歩いてみても、触ってみても、冷たさどころか何も感じない。とりあえず、地に足がつかずにふわふわしたような感覚。
「あー…」
自分の声が頭に響く。少しふらふらしてきた。身体が重い。歩くのはやめよう。しっかし、ずいぶんリアルな夢だな。
ふと見ると、(さっきまで無かったような)木製ベンチが登場。周りを見ると、秋になっていた。木もないのにイチョウや紅葉が真っ白な空から降り注ぐ。服装も、それとなく変わっていた。
「お兄ちゃん」
誰かに呼ばれた。僕のこと、か?
後ろを振り向く。…誰もいない。
声には確か、聞き覚えがあった。馴染むような少年の声。
…この声、どこで聞いたんだっけ
「お兄ちゃん」
もう一度、誰かが呼んだ。
気付いたら自分はベンチに座っていて、目の前には一人の少年がいた。名前は、確か……確か………
「[れー君]?」
するりと、口から名前がでた。
そうだ、紛れもない[れー君]。
会ったこともないし覚えてもいない、しかし知っている少年、[れー君]。
「かくれんぼ!」
嬉しそうに[れー君]は跳び跳ねて笑った。
…この子は誰なんだろう。以前見た時もそうだった。顔が白いもやがかかっていて見えない。
「かくれんぼ!」
[れー君]がもう一度、嬉しそうに笑った。
かくれんぼをしたい、ということだろうか。子供らしいな、とふと思った。
ここは夢のなか。何故、この子がでてくるのだろうか。この子は一体…
「君は……だれ?」
僕はぼんやりした白いもやをどけようと、何度もまばたきをした。
「……」
ふと、目をあけると[れー君]はいなくなっていた。周りも最初と同じどこまでも続く白。ベンチもなく、僕はただ立ち尽くしていた。
僕的反省会
やぁどーも、僕です
ここがどこかって?病院です
暇だから反省会しまーすいぇーーいふぅ!
僕さ、とりあえずさ、あれだよあのさ、流され過ぎだと思うんだよね、うん
確かに自宅警備員歴長かったからさ、暇潰しになるかなーとか、非日常求めてーとか色々あったわけですわ
でーもさぁーあ?
考えてもみてよ!田中さんだか、高菜さんだか忘れたけどさぁ、あの人に会うだろ?
んで、変な部屋で拘束されて、変なダンディなおじさまや幼女な老婆だかヨーデルの浪人だかに連れられて、魔法みたいな3Dみたいなグラフィック技術のまさかの乱用がはじまるだろ?
んで、病院で可愛いロリっ子系小尻ナースちゃんに縛られて………………えへへ
…………うぁぁあ!だめだ!僕流されすぎたわ!!
やっべぇ、僕別にあれだよ
深夜アニメの主人公みたいに、そこまでキテレツ大◯科やってないよ!?深夜アニメじゃないけど!
確かに深夜アニメ見てて、可愛い女の子にべたべたされて取り合われて……あ、いいなぁてか今それいけるんじゃね
ハーレム王に俺はなる!とか叫んだら著作権引っ掛かるかな…あ、いやいやいやいや、言いませんよ?やだなー言いませんって…え?いやいやいやいや、ははは……