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脳内eRror  作者: 樹 夜雨
第2章 祝!始まりのWH入隊……うん、波乱。
12/23

enter12>>同工異曲

error17>>


テレビに映る殺人犯は馬鹿ばかりだと、誰かが言った。


確かに、私も「誰でもよかった」なんて言う犯行理由なんて、嘘臭いと思う。


僕ならもっと、理由らしい理由を創ることが出来るのに。


例えば…



「今日は空が綺麗だから殺した」



なんて素敵で、なんて嘘偽り無い、空っぽな理由なんだろう!

どんな殺人理由にだって負けるはずない。


そして俺は今日も青い空を仰いだ。

青い青い、どこまでも澄んだ青い空。



太陽が白い光となり、青を色付ける。




でもね。


アタシはね



……赤色が




赤色が、好きなんだ。




だから、




今日あなたを、赤色にします。

おやすみなさい、



大好きな、……人。




「ぐしゃりっ!!」




error18>>


僕等は笑っていた。


break magicの部屋に行くと、もくもくとした灰色の煙が溢れ出してきた。

爆発頭のbreak magicとツーさんが部屋から、飛び出してきた。


イチが「またか」と苦笑している。

僕が大丈夫かと問うと、ツーさんは大人らしくおどけてみせた。


「[こんなの心配、いらないわ]」



あれ、おかしいな…



ツーさんの声が二重に聞こえる。


break magicは、噎せながら爆笑している。

イチは、隣で苦笑しながら「ツーも怪我をしたんじゃないか?」と言う。

break magicは、それにつられて苦笑した。ツーさんは笑っている。


あ、頬の切り傷から血が垂れてる。


僕は言った。

「ツーさん…血が、でてる」


break magicがあわてふためき、チューブの薬を手に取り、ツーさんの傷口に塗り付ける。ツーさんは妖艶な感じのまま、zero君も塗るぅ?と言っている。

無視しながら傷口を見ていると、見る見るうちに傷口が消えた。


まるで魔法だなぁ。


消える、傷口。



ああ、



あああぁ………………………………



違う…………違うんだ。





………わかってる。これは、夢だ。


わかっていた。

ただの妄想だ、どうりで何かおかしいと思ったんだ。



目の前の惨状を見てみろ、僕。



瞬間、脳内に音声が戻って来た。


大量の水が一気にこぼれ落ちる音。

誰かの叫び声。




[涙]。




「…なん、で……」


掠れた声は、無惨にも広い空間と擦れる鉄の音にかき消された。

ツーさんの胸部から腹部にかけて、大きく真っ直ぐに一本の赤い線が引かれている。


「ぜ、………ろ…ちゃ……」

しわがれたツーさんの声が、遠くから聴こえた。

「にげ、…ひゅ………な、さ…ひゅぅ……」

空気の洩れる音が、割けた胸から聞こえる。肺がやられているようだ。

早くしないとツーさんは……!


「にニにに、やヤヤんンちゃぁアン!アぁあああぁソぉぼぉおオぉオォ」

ゾンビのように手をぶら下げ、ふらつきながらゆっくりと何体もの機械が近付いてくる。


「……すぅ、…ひゅぅ……ひゅ…」

ツーさんが虫の息になってきた。目も、綴じかけている。


「クキキキキキキッ」

機械達は、一斉におかしな笑い声をあげた。まだ未完成な為に腕や顔の皮がべろりと剥がれる。

再び、機械達が飛び上がり襲い掛かる。

スローモーションに、見始める。


どうしよう、ツーさんが……


ツーさんが……!!




どうしようどうしようどうしよう!!!!!





『お兄ちゃん、一緒に遊ぼ!』


幼い声に振り向くと、まだ6、7さいの少年が小さな子供用のサッカーボールを持ち 僕に屈託のない笑顔で笑いかけている。

「え……?」

呟いた自分の声も、小学生くらいの声になっている。


季節は夏。

蝉が鳴いて、太陽が照り付ける青い綺麗な空に響いている。

燃えるような暑さに、汗が流れ落ちる。


「お兄ちゃん、遊ぼうよ!」

もう一度言った。

少年は僕に対して、[お兄ちゃん]と呼んでいるようだ。

「今日もサッカーしよー!」

ニコニコと楽しそうに、汗に濡れた額を袖で拭く。


「いいよ」

口が勝手に動き、話した。

鬼ごっこのように、ただただ真夏日の中駆け回る。笑い声。

沢山転び、擦りむく。


「お兄ちゃん大丈夫ー?」

少年がパタパタと駆け寄ってくる。

砂埃がはらはらと舞う。

「大丈夫だよー!れー君」


口が、再び勝手に動き話した。

れー君、という名前に聞き覚えはなかった。


「もっかいやろ!」

僕は、紛れも無い[れー君]の元に駆け寄り再びサッカーのまね事をした。楽しかった。笑い声に、近くに住む子供達が集まり始める。


見たこともない、公園。

見たこともない、友達。

見たこともない、記憶。


見たこともない、少年……



…でも



知っている。


僕はこの光景を[知っている]。


enter>>異能者date

名前:異能者No.02

性別:女性

年齢:(自称)39

追記:頑なに自らの年齢公開を拒否。

発覚:(自称)14

追記:同上

入隊:(自称)28

追記:同上

考察:正式な年齢は公開不可。異能者の頑なな拒否により、推定年齢及び自称年齢を公開することとする。


以上。

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