enter11>>多事多難
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無二無三だったから、行動してから後悔していた。
10点!何て大胆な行動でしょうか!
ん、あれ、…でも彼女の反応がない。
もしかして、もしかすると
草食系男子派だったのかあ!!!
(ひそかに自分を肉食と上書き)
ゆっくりと彼女の頭を支える。
しかし、嫌がる様子もない。むしろ、全身を預けてくる。
結構マジで心臓が高鳴っている。え、さ、触るよ?触っちゃうよ?焦
…ごくん……こ、…好感触……
興奮か、頭が熱くなった。鼻がじーんとしてきた。鼻血出そう…
瞼の奥がやたら熱く感じて、目を閉じた。
「………っ」
っ……やば……ははは、
は…、鼻血鼻血…
………流れ出してからはもう遅い。止まらずに流れ続ける。
彼女の肩に、液体が円を描く。
でも。
流れ出したのは鼻血じゃないと気付いた。
「……な、いてる…?」
少女がそっと離れて、指先で僕の頬に触れた。
霞んで前が見えなくなる。何故、こんなにも安心するんだろう。
寒すぎた空間の中に、確かに彼女を感じた。少し、密着した指先から、全てが愛しく思う。
少女は、彼女は、ここにいるんだ。
「…だい…じょうぶ……」
少女の優しい声が、僕の脳に響き渡る。
その言葉は僕が欲していた言葉だった。
…前に、ずっとずっと前に、こんなことがあった気がする。
少女とは、数日しか一緒にいなかったはずなのに。突然、少女を手放してはいけないような、そんな感覚に襲われた。
否むなら、手放したくなかった。
「…暫く、抱きしめててもいい…」
僕は無理を承知で投じた。
少女は、くすりと笑うと自分から僕を抱きしめた。
少女の見せる、初めての笑い顔だった。
…でも何か違和感を感じる。
「いいに…決まってるじゃない、zero君…?」
「ん、……ん?。」
やたらなまめかしい言い方に無性に腹が立つ自分がいた。
………。
ふと、正気に返った。
あれ…この子――…
「…なぁ、…君さ、僕をzeroなんて呼んでたっけ?」
口をついて、出た。
…瞬時、言ってはいけないことだったと気付く。
「………気付かれちゃったわねぇ」
妖艶で張り付く言いような方が耳元で聞こえた。
声も彼女のものとは程遠い、女の声。
そして、凍るように背中にきたこの感覚は…
寒気だ!さぶいぼが…さぶいぼが。
「…だ、だれ…!?」
僕が突き放すように離れると、少女の姿がみるみるうちに…溶け(何とも表現しにくいがそんな感じ)、中から何かエロい女が出てきた。
まるで竹取物語だ。
中からエロいおばさんが出て来た。
「試させて貰ったのよぅ、zero君♪」
ニヤリと口を歪ませ、その女が白衣を翻し壁まで歩いていく。
「え、あ…試す?」
「そう!この場所はぁねぇ…人間の精神操作をしやすくする為に来るまでの廊下で体温を不安定にさせ、設定されていた人間が通ると条件反射でその人間の体温を下げたり上げたりするの、その現象をしばらく続けさせて脳を混乱状態にさせておき、説明も適当に、脳内の状態がままならないままに一人部屋に入るということで最高不安定値に達したその人物の脳内情報を操ってね、1番思い入れの強いとなる人間を映し出す、つまり幻覚を見せるのよ。アタシの身体に被せて…、それがアタシの異能。…うふん」
長い長い長い!
言っている意味も分からんが、とにかくエロ子(勝手に命名)は楽しそうに笑っている。
「つまり、異能が……」
「[欺く]とでも言っておくわん♪」
そんな化け狸みたいな…
現実的思考が全否定されとる。
「あら、騙されたぁ?」
ええ、騙されましたよそりゃもう!
無性に殴り掛かりたくなった。
…暴力はいけませんよ、僕(泣)
「……で!貴女は?!」
「やぁだ、そんなに怒らないでん。検査の一つなんだ、か、ら♪」
ムカッ……人生で初めて自分の青筋の存在を知ったかもしれない。
「私はNo.02。宜しくねん」
「はあ」
何かこの人はこうゆうキャラなのか。
服装も何か……エロいし。軍服着てるのに、何でボタンそんなきつそうに開けてんだよ。どんだけデカイんだよ。触らせてくれ。
「あらん、そんなに見つめちゃい、や♪」
「…ちっ。あの、名前は無いんですか?」
言った瞬間、彼女のからかったような表情が消えた。
「……名前?……ああ、忘れたわ」
目が一気に冷えた。冷めた目線は僕から外される。
心臓がどくん、と波打った。
「それにしても~ん」
女……基、No.02はたちあがった瞬間にその表情を変え、言った。
「…にしても、あの子の前では随分としおらしく振る舞っていたんじゃなぁい?…というか、zero君の記憶に出て来たあの子って~…」
エロ子はついてほしくないツボを、ぐりぐり押してくる。押すっつぅか、殴ってくる。
暴力はいけませんよ、暴力はぁ(内心飛び蹴り)。
No.02が何か呟いてるが、あんまし耳に入って来なかった。だって長いものっ(僕裏声)
「…―から、試験は合格!鼻の下が伸びていたのはーお姉さんの優しさに免じて、見なかったことにしといてあ、げ、る♪」
「…有難う!No.02さん!!」
満面の笑みで、素直な僕(握りこぶしわなわな)。
「ツーお姉さんでいいわよーん、ze、roちゃん♪」
無性に殴り掛かりたくなるのは、この人だったからかなぁ?わかんないなぁ(椅子げしげし)
「さ、試験は終わりよ。帰っていいわ!あーんもう、可愛いイチはこの中に入って来れないからねぇん。お姉さん泣いちゃう!えーん」
「あ、そうなんスか…」
ツーお姉さん(イライラ)は、軽やかなステップで階段を上っていく。
すでに、何十段かある階段の一番上まで上りきったツーお姉さ……(もうツーでいいか。)が早く早くと手招きした。
「そんなに急がないといけないんですかぁー?」
一段、上ったときだった。
ふと背後からの視線を感じた。
まあ、自意識過剰があまりに単純に、反応し過ぎた結果だろう。
単純に、安直に―――……
「にニニににャぁンンンチゃァァん、いいいイだァぁあぇェェェっ」
…――ああ、琉知亜か。
本当に、単純にそう思った。
それからは、全てがスローモーションに見えた。
沢山の未完成琉知亜が僕を愛でるように、飛び掛かってくる。
琉知亜の鋭い手が、僕の全身をかすめていく。風を斬る音が耳元で鳴る。
それを呆然と見つめる、僕。
「なっ………zeroちゃん!早くきなさい!」
ツーさんが、らしくない表情で僕に叫ぶ。
「早く!イチやbreak magicは中に入れないの!私だけでは危険だわ!」
イチやbreak magicの表情が脳みそを刺激し、我に返る。
琉知亜の嵐から逃げ出し、階段を駆け上がる。
追いかけ回してくる琉知亜の手を振り切り、ツーさんの近くまで走った。
「あと、少しだぁあああぁぁあああぁ!!」
叫んでいた。景色がスローモーションのように見える。
数秒にも満たない時間だっただろう。
でも、
僕には何時間と感じる時間だった。
「よかった、zeroちゃん!」
ツーさんの右手に、手を思い切りのばす。
ああ、よかっ―――…
が、くんっ
足にあった力が
一気に抜けた。
「…―――へッ?」
マヌケな声が、 頭 に響い た。
わけも分からず、バランスを崩して不様に倒れ込む。
「足が、足……足が…」
呟く自分に、はっとして気付く。
足?え、足って??
自分でもよくわかってない、その[足]。
見てみた。
「…ぁ…っれ…?」
…何コレ…………………
足、足が…………あれ?
僕の、右足が…………………
「…ない。」
呟く、自分にすら[壊さ]を感じた。
壊れてる自分の、 あ し。
「………ない、ない、…ない……ない、ない、ない、…ない、ないないないないないない足!!な…ぁッ、熱い熱い熱い熱い熱い!…ぁ…つい……熱い、熱い熱い…熱い……ぃ!」
目頭に涙が溜まる。
自分のものとは思えない唸り声が、足に響く。
「うっ、……、zero…ちゃ……しっかり…、しっかりして、zero!」
ツーさんの呼び声が、僕を随分正気にさせた。
「ど、どうして!扉が開かないの!?」
足は痛いを超えて、熱い。
でも味わいたくない、絶対に一生味わいたくない熱さに僕は苦しみを覚えた。
その時一瞬だけ、少し足の熱さをも忘れるくらいの頭痛がした。
……あ、ツーさんが危ない。
自分の不安感がそう思わせたのかもしれない。
力を振り絞り、ツーさんを見た。
下半身が千切れそうなほど、痛い。
「しっかりしなさい!ぜ、」
そして、踏ん張って見たツーさんは、
2体のCopy dollに鋭い手で
………………え…
「……ぐひゅ…ッ…………」
刺されていた。
「……か…はっ…」
な、なんだ、…これ……
なんで……こんな、
なんでこんなことに……………………!
「…うぁあぁぁあぁぁぁぁあ!!!!」
僕の脳内知識
【今まで出会った異能者番号】
・田中さん仮→不明(この人もかな…)
・イチ→No.01
・いかついお方→No.05
・break magic→No.222
・おばさ……ツーお姉さん→No.02