「戻れない『あの時』の回想。」後編
中編の続きです。
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そして、時は再開した時に戻る。
「…今までどうしていたんですか、ソフィアさん。
三ヶ月近くも学校に来ていないなんて…何があったんです…?」
レイニーは問いかける。
目の前のソフィアの顔は酷く白かった
艶のあった黒髪は、今では炭のように深い黒色に染まっている。
制服もほんの少し、ほころびていた。
「…大丈夫、大丈夫だから…気にしなくていいよ…」
その口調は、あのおときの明るさとは比べ物にならないくらい、
「暗くか細い」声だった…
「あなたは知らないほうがいいよ…『私にしか、理解できない』ことだから。」
ソフィアは淡々と述べる。
「…じゃあ、私はこれで…、これからはなるべく私に合わないほうがいいよ…。」
ソフィアはレイニーが持ってきた傘を受け取ることなく、
いまだに降り続ける五月雨に身を打たれながら、校舎内に戻って行った。
「…………」
レイニーは、変わってしまった友人に何も言うことができず、ただ、彼女を見ることしかできなかった。
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その後、レイニーは、二学年の担任の先生に「ソフィアの事情」を聞いたところ、「彼女については
今は特に話せない」と、つっかえされた。
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その日以降、レイニーは彼女に会っていない。
彼女が一年前に一体何をしていたのかについてはいまだにわからない。
なにしろ、レイニーは彼女に図書室でしか会うことがなかったために
それ以外の彼女のことはあまりわかっていない。
しかし、彼にとってのソフィアの印象はあの時と変わらず
「礼儀正しくて、人の話をちゃんと聞いてくれる人」だった。
今、彼女はどうしているんだろう。
五月雨がまだ降り続けるなか、レイニーはそう思うのだった…。




