「戻れない『あの日』の回想。」前編
中編:5月7日0時0分公開。
五月雨が降る日、放課後のほの暗い教室に一人の少年がいた
「…まだ、降っているなぁ…」
雨はいまだ止むことを知らず、さらさらとふり続けている。
レイニーは空を見ながら、そう呟いた。
五月雨と書いて、「さみだれ」と読む。
レイニーが最近知った言葉だ。
五月雨は、その名の通り、五月に降る細い雨のことだ。
雷雨のような視界を埋め尽くす雨でもなく、
小雨のようなほとんど見えない雨でもなければ、
普通の雨のように音が鳴るわけでもない。
ただ、さらさらと流れるように降る雨。
彼はその雨が好きだった。
「…ずっと眺めてられるな…」
彼が五月雨を好きな理由はもう一つあった
それは、「自分の心を癒してくれるから」だ。
五月雨のような優しい雨は彼にとっては自分の心を潤すように感じるのだ。
だから、彼は五月雨をじっと眺めている。
そう言えば…一年前の五月雨が降っていたあの日。
彼は、かつての友人と再会した
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一年前、五月雨が降っていた頃。
教室にいたレイニーがふと窓の下を覗くと
校庭に「少女」が立っていた。
『傘をささずに』
彼女の制服は五月雨をひどく浴びたのか、もうずぶ濡れているように見える
「…あの子、あんなところにいたら風邪をひいちゃうぞ…とりあえず、傘を渡してあげなきゃ。」
レイニーは慌てて傘を持って、彼女のところへ向かった。
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レイニーは校庭についた。
少女は依然として、校庭に立ち続けている。
「あ、あの。」
レイニーは彼女に話しかけた。
「こんなところで、傘もささずにいたら、風邪を引きますよ。」
少女は、その声を聞いて、振り向いた。
「…」
レイニーはその顔に見覚えがあった。
「!」
その少女はかつての話し相手「ソフィア・ブラック」だった。
「…ソ、ソフィアさん⁉︎…なんでここに…?。」
レイニーは少し引きながらソフィアに言った。
「…雨を、浴びていたの…。」
ソフィアは静かに無表情で呟く。
「……」
レイニーは何も言えなかった。
「今」のソフィアの姿と様子が「あの時」のソフィアの姿と様子とあまりにもかけ離れていたからである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(続く)




