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28話 ランキング制度とか、そろそろどうかな〜〜?

模擬戦の熱気が冷めやらぬまま、各地のギルドたちは新たな関心に火をつけていた。


「焔の枝のエルはやっぱり強いな……」

「いや、黒鉄のガルドの防御技も見事だった」

「なら“順位”をつけたらどうだ? 誰が一番って、知りたくないか?」


最初は冗談だった。

けれど、その冗談はすぐに記録表となり、村の掲示板に貼り出される。


《スキル競技 暫定順位》

1位:エル(焔の枝)

2位:ガルド(黒鉄の灯)

3位:ユリィ(水の輪)


「わ〜〜! やってるやってる〜〜!!」


空の上。


ナミは両手を口元に当てて大はしゃぎだった。


「こういう“順位つけてドキドキするやつ”、ほんと楽しいよね〜〜!」


彼女は空間に記録パネルを広げ、数値データを整理していく。


「成長、評価、競争、誤解、栄光、嫉妬……このへん、ぜ〜〜んぶ絡まってくるとね、物語がグイッと動き出すの〜〜!」



数日後。


ギルドごとの“競技会”が定期開催されるようになった。

ランキングは更新され、順位に応じて発言力や依頼の優先度が変化していく。


「この順位、正しいのか?」

「いや、他にも実力者はいる……」


反発や見直しの声も出始めていた。


「でも、見えるからこそ努力できるって話もある」

「俺は次、絶対一位になるぞ!」


人々は“順位”という数字に一喜一憂し、己を省みる鏡として利用し始めていた。



ナミは空からその様子を眺めながら、ふわりと寝返りを打った。


「ねぇ……数字って、やっぱり不思議だよね〜〜」


ただの記号。

けれど、それが誰かの人生を変える。

信仰の対象にも、争いの種にもなる。


「数字ひとつで、こんなに世界がぐるぐる動くなんて……ほんと、観察しがいあるわ〜〜」


ナミはにんまりと笑い、空のスクリーンにこんなメモを書き加えた。


《実験観察項目No.081:順位制度導入による社会動態への影響》

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