27話 ギルド対抗戦とか始まりそうじゃない〜〜?
「ねえねえ、“競い合う集団”ができたら、次ってやっぱり“戦い”だよね〜〜」
ナミは雲の上で仰向けになりながら、足をぶらぶらとさせていた。
焔の枝ギルドができてからというもの、近隣の村にも同様の“スキル集団”が次々と誕生していた。
「“水の輪”とか、“風走団”とか、“黒鉄の灯”とか……ネーミングセンスまで出てきてる〜〜! 超たのしい〜〜!」
人間たちは、スキルと信仰と役割を軸に、自発的に“ギルド”を作り、競い合うようになっていった。
■
ある日。
焔の枝の本拠地に、別のギルドから使者がやって来た。
「我ら“黒鉄の灯”は、鍛冶と戦闘において他に劣らぬと自負しております」
「貴ギルドの実力、ぜひ模擬戦にて確かめさせていただきたい」
エルは驚いた表情を浮かべたが、少し考えてから静かにうなずいた。
「……我らもまた、試される時が来たということか」
こうして、初の“ギルド対抗模擬戦”が開催されることとなった。
■
空の上。
ナミは歓喜のあまり、回転しながら星の合間を飛び跳ねていた。
「きたきたきたきた〜〜〜〜っ! この展開待ってた〜〜〜〜〜〜っ!!」
記録用パネルには、すでに「対抗戦:観察項目No.071」とタイトルが打たれていた。
「集団の“力の見せ合い”って、個人バトルよりずっとドラマがあるんだよね〜〜! 連携とか、駆け引きとか!」
ナミの目がきらきらと輝く。
■
対抗戦当日。
焔の枝ギルドの広場には、他ギルドの代表者たちと観客が集まっていた。
焚き火の神前に祈りを捧げる者。
緊張に震える新人。
どよめきと歓声が混ざり合い、空気が高まっていく。
「第一試合、剣技部門——!」
エルの部下であるレイと、黒鉄の灯の若き鍛冶師ガルドが向かい合う。
剣が交わる。
火花が散る。
スキルが発動し、空気が唸る。
「やば〜〜〜! これ、すっごく劇的〜〜! 火花バチバチしてて、めっちゃ見応えある〜〜!」
ナミは空で大騒ぎ。
勝敗は僅差。
だが、どちらのギルドも互いの技量と努力を認め合い、
最終的には「合同訓練」の提案へとつながった。
■
「……へえ〜〜、ケンカにならないんだ? そっか、“勝ち負け”って、ただの手段なのかも〜〜」
ナミはぽつりと呟いた。
人間たちは、戦って、学んで、そして共に進もうとしていた。
「観察、たのしすぎる〜〜〜!」
記録パネルに新たなページが増えるたび、
ナミの笑顔もまた、深くなっていった。
感想・評価いただけると励みになります!




