26話 ギルドって響き、いいよね〜〜!
「ねえねえ、最近さ〜〜、やることが“職業”っぽくなってきてない〜〜?」
ナミは宙に浮かびながら、両手をぶらぶらとさせていた。
地上では、スキルを持つ人々が役割ごとに集まって、共同で作業をするようになっていた。
火を操る者は調理や鍛冶。
水を呼ぶ者は井戸の管理や灌漑。
剣を振る者は獣退治や護衛。
「ほらほらほら〜〜、分業! 機能分化! これもう“社会”って感じ〜〜♪」
ナミはワクワクした気持ちで空中に記録パネルを展開し、村々のデータをまとめていく。
「そろそろさ〜、“集まって技術を共有する場所”とかあったほうがよくない? ってことは……」
彼女の口元がにやりと笑った。
「“ギルド”だね〜〜〜〜〜!!」
■
その数日後。
エルを中心とした数名の冒険者たちが、広場に一棟の建物を建てていた。
「ここに、スキルを持つ者たちの拠点を作ろう」
「情報を共有し、技を磨き、依頼を受ける場だ」
誰かが言った。
「それ、“ギルド”って名前にしよう」
村の子供たちは目を輝かせ、木材を運ぶ手伝いに加わった。
女性たちは食事を振る舞い、老人たちは過去の知恵を語った。
やがて、その場所には看板が掲げられる。
《焔の枝ギルド》
それは、最初の“スキル集団”だった。
■
空の上。
ナミは指先で拍手を打ち、歓声を上げた。
「うひょ〜〜〜! 勝手に名前まで考えてくれた〜〜! もう完璧に“世界観”ができてる〜〜!」
記録パネルには、各地で始まりつつある“スキルギルド”の萌芽が示されていた。
「拠点ができると、そこを軸に交流が生まれるし、文化が加速するんだよね〜〜!」
彼女は満足げにくるりと宙で回転し、さらに指をくるくると回す。
「じゃあ次は、ギルドごとに“得意分野”とか“シンボル”とか作ってさ〜〜……」
人間たちの行動が、次々に“システム”へと変化していく。
そのすべてが、ナミにとって最高に面白い“遊び”だった。
■
その夜——
エルは焔の枝ギルドの集会で、こう語った。
「我々は、ナミさまの意志を受けて動く者たちだ」
「力は、孤独な誇示ではなく、誰かのために使われるべきだ」
仲間たちは静かにうなずいた。
ナミはそれを聞きながら、にっこりと笑った。
「わたし、そんなこと考えてないけどね〜〜。でも、なんか……いいよね」
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