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ゼロから始める武道生活  作者: 十月新番
黒龍会の誘拐編
54/100

第54章 連携

次の瞬間、天明と神代は龍崎真一へ向けて連携攻撃を開始した。


このような連携は、神代にとって全く未知のものではなかった。


日本の剣道には「掛かり稽古」という訓練法がある。一般的に高段者が用いるものだ。師範代クラスの達人が、道場で敵手がいなくなった場合、基礎訓練以外で上達する方法はどうすればいいか。


日本の剣道家たちが編み出した方法、それは自分の門下生たちに囲まれて攻撃を受け、連続で相手をすることだ。


攻撃を受ける高段者は固定された位置に立ち、その人物を「元立ち」と呼び、他の者たちは四方八方から攻撃を仕掛ける。


神代も剣道部の稽古で、何度もこの形式を経験してきた。部長として元立ちを務めることもあれば、先輩の元立ちに対して連続攻撃を仕掛ける側に回ることもあった。


その経験を活かし、天明と神代の攻撃は非常にリズミカルで、一つ一つが連鎖し、龍崎真一に息をつく暇を全く与えなかった。


天明が正面から混元真気を込めた拳を繰り出す。


龍崎真一がそれを空手の受けで防ぐ。


その瞬間、神代が側面から鉄棒を振るう。


龍崎真一は体を捻って回避するが、その動きの最中に天明が既に次の攻撃――掌底による打撃を放っていた。


短い数分間で、龍崎真一の身体は既に天明と神代の連続攻撃によって十数回も打撃を受けていた。彼の上半身には目に見える打撲の跡が幾つも浮かんでいた。


しかし彼は頑なに立ち続け、倒れようとしない。


天明は機を捉え、龍崎真一の防御の隙を突いて強烈な一撃を叩き込んだ。だが龍崎真一は両腕でボクサーのように頭部を守る姿勢を取り、襲来する攻撃を硬く耐え続けた。


その腕の間から見える表情は依然として厳しく、微塵も揺らいでいない。両目は鋭く光り、むしろ凶暴な光さえ宿していた。


天明の目には、この時の龍崎真一から発せられる気迫が、先ほどよりもさらに鮮烈に見えた。まるで彼の闘志が炎のように燃え上がっているかのようだ。


天明は自分の攻撃が決して軽くないことを知っていた。彼は全力を出し、一切手加減していない。しかも混元真気の加護まで受けている。


普通の人間なら、これだけの連続攻撃を受ければ、とっくに倒れているはずだ。


なぜ龍崎真一はまだ立っていられるのか。


しかも明らかに、彼の戦意は先ほどよりもさらに高まっている。


これこそ本物の「心に火、目に光」だ。


天明の心に焦りが生まれ始めた。


そして神代も既に焦りを隠せず、直接叫んだ。「周君!なぜまだ立っているの!」


天明は答えられなかった。


ただ精神力だけで、本当に人間の身体をここまで限界を超えさせることができるのか。


この時、天明は鋭い視線で、地面に倒れていた極道の一人が目を覚ましつつあるのを見た。


彼は大声で叫んだ。「神代!後ろの敵が起きた!」


神代が振り返ると、敵も地面から跳ね起きた。


天明が神代の方に気を取られたこの一瞬、ずっと防御していた龍崎真一が攻撃に転じた。


彼は踏み込み、右拳を振るった。


天明の拳が彼の肩に直撃したが、この一拳を止めることはできなかった。


胸にしっかりと一撃を食らい、肺が潰れそうな感覚に襲われた。


しかし天明にも分かった。龍崎真一は完全に無傷ではない。彼の拳の速度は明らかに遅くなっており、天明に命中した後も左拳で追撃することはなかった。明らかに左肩の筋肉が連続した打撃の過程で運動能力を大幅に低下させているのだ。


天明は隙を捉えて連続攻撃を仕掛け、龍崎真一は再び両手で頭部を防御する姿勢に戻った。


神代は目覚めた極道を再び気絶させた後、こちらの戦いに再び加わった。


「どうすればいいの!普通ならもう倒れているはずなのに!」


神代も他人が目の前にいることを気にせず、直接天明に問いかけた。


天明は答えられなかった。


しかし彼は確かに方法を考えていた。


もし精神力が相手を支えているなら、言葉で相手の精神を崩すことは可能だろうか。


そこで天明は口を開いた。「あんたの打たれ強さは、本当に想像を超えているな」


「極道を舐めるなよ」龍崎真一が低い声で応じた。


「舐めるなんて気持ちは、一ミリたりともない」天明は答えた。


これは本心だった。


天明は先ほど龍崎真一に命中された胸がまだ鈍く痛んでいた。


龍崎真一はこれほどの重傷を負った状態でも、反撃の力を保っている。こんな男を舐めるような奴は、とっくに彼に殺されているだろう。


「なぜだ」天明は単刀直入に問うた。「あんたの心の炎は、なぜそこまで激しく燃えている」


神代は思わず振り返り、疑問の眼差しで天明を見た。


天明は神代を気にせず、龍崎真一を見据え、答えを待った。


龍崎真一は冷笑した。「そんなこと聞いて何の意味がある。お前たちが攻撃を止めれば、俺に機会を与えることになるぞ。今、俺は徐々に体力を回復している。それでいいのか」


そう言いながら、彼は突然咆哮した。「来い!攻めてこい!」


この瞬間、天明は自分がこの男を倒せるのか疑問を抱いたが、すぐにその疑問を押し殺した。それが自分の戦いに影響することを恐れたのだ。


この戦いは、勝たなければならない。全ての極道を打ち倒さなければ。


天明は攻撃を開始し、全力で龍崎真一へ向けて突進した。


この瞬間、彼は龍崎真一の顔に狂気じみた笑みが浮かんでいるのを見た。


**


龍崎真一は、東京の下町で生まれた。


父親は小さな土建屋を営んでいたが、バブル崩壊で会社は倒産した。借金に追われた父は酒に溺れ、母に暴力を振るうようになった。


小学生だった真一は、何度も父親を止めようとした。


しかし子供の力では、大人の男を止められるはずもなかった。


ある日、真一が学校から帰ると、母親が倒れていた。


救急車を呼んだが、間に合わなかった。


父親は逮捕され、真一は親戚の家を転々とした。


誰も彼を本当の家族として扱わなかった。


厄介者。


お荷物。


そんな視線ばかりだった。


中学に入った真一は、ある日路地裏で不良たちに絡まれた。


金を出せと言われ、拒否すると殴られた。


地面に倒れた真一を、彼らは蹴り続けた。


その時だった。


一人の男が現れた。


黒いスーツを着た、鋭い目つきの男。


「おい、ガキども。人んちのシマで何してんだ」


不良たちは逃げ去った。


男は真一に手を差し伸べた。


「立てるか、坊主」


その男こそが、黒龍会の先代若頭だった。


「お前、根性あるな。最後まで金を渡さなかった」


「……当たり前だ。あんな奴らに渡すくらいなら、死んだ方がマシだ」


先代若頭は笑った。


「面白い。お前、俺のところで働かないか」


真一は頷いた。


他に行く場所もなかった。


それから真一は極道の世界に身を置くようになった。


最初は雑用ばかりだった。


しかし真一は文句を言わず、黙々と働いた。


そして空手を習い始めた。


強くなりたかった。


二度と、あの時のように無力でいたくなかった。


母を守れなかった自分。


何もできなかった自分。


もう終わりにしたかった。


十年が経ち、真一は若頭の座に就いた。


先代は引退し、真一に全てを託した。


「お前には、俺にはない何かがある」


先代はそう言った。


「心の火だ。お前の目には、いつも火が燃えている」


「その火を絶やすな。それがお前の強さだ」


真一はその言葉を胸に刻んだ。


そして今、彼はその火を燃やし続けている。


たとえ体が砕けようとも。


たとえ立つことさえ困難になろうとも。


心の火が消えない限り、彼は戦い続ける。


なぜなら――


それが龍崎真一という男だからだ。


**


天明は龍崎真一の表情の変化を捉えた。


あの狂気じみた笑み。


あれは諦めた者の笑みではない。


まだ反撃の機会を窺っている者の笑みだ。


「神代」天明は低く言った。「油断するな。こいつはまだ終わっていない」


「分かってる」神代は鉄棒を握り直した。


彼女の手は震えていたが、目は真剣だった。


剣道部部長として。


神代家の娘として。


そして――周天明と共に戦う者として。


「行くぞ」天明は深呼吸した。


混元真気が再び巡る。


最後の力を振り絞る。


天明と神代、二人は同時に龍崎真一へ向かって突進した。


これが最後の攻防だ――


その時だった。


「若頭!」


倉庫の入口から声が響いた。


一人の極道の小弟が、何かを手に持って駆け込んできた。


長い、黒い鞘。


日本刀だ。


「若頭!これを!」


小弟は龍崎真一に向かって刀を投げた。


龍崎真一は空中で刀を掴み取った。


ゆっくりと、鞘から刀身を引き抜く。


シャキンッ!


刃が倉庫の薄暗い光を反射し、鈍く輝いた。


龍崎真一は刀を中段に構えた。


彼の目に、再び炎が灯った。


そして高らかに名乗りを上げた。


「黒龍会若頭


龍崎真一


参上!」


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