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第52章 群戦




シュッ!


戦闘が始まった瞬間、天明の目には一つの拳が迫ってくるのが見えた。わずか0.3秒の出来事だが、天明にははっきりと見えた。拳に浮き出た青筋、一撃を繰り出す際の腰と脚の連動による爆発力、それによって龍崎真一のスラックスが一気に張り詰め、拳が空気を切り裂いて生み出す気流の流れまで。


最初に襲いかかってきたのは、やはり龍崎真一だった。黒龍会若頭にして空手三十年の達人、その実力は他の極道メンバーとは比較にならない。


実戦の動きこそが、各人の実力を見極める最良の試金石だ。


他でもない、十数人の極道メンバーが同時に襲いかかってきた中で、この龍崎真一の動き出しは、明らかに他の者より0.3秒速かった。


龍崎真一の動きは見切れたものの、この一瞬、天明の心臓は跳ね上がった。


同時に襲いかかってくる十数人の極道メンバーのうち、天明が明確に捉えられたのはせいぜい五、六人だった。残りの数人はかろうじて見えるという程度で、この瞬間に彼らの次の動きまで判断する余裕はなかった。


天明といえども、コンピューターではないのだ。それに、この連中は龍崎真一には及ばないものの、皆訓練を受けた極道メンバーであり、動きは速い。この一瞬で全員の運動軌跡、発力の動作を完全に把握するのは、混元真気を修めた天明でも限界があった。


とはいえ、見ることと戦うことは別だ。もし天明が本当にこの一瞬で十数人の細かい動きを全て見切り、次の変化まで判断できるなら、この戦いに勝負の行方などないだろう。


しかし、そんな人間はこの世に存在しない。


天明は転生者であり、混元真気を持っているとはいえ、所詮は十七歳の高校生に過ぎないのだから。


龍崎真一が最初に飛び込んできて、天明の顔面に向かって一拳を放った。彼の拳は固く握られ、人差し指と中指の関節がわずかに突き出ている。まるで鋭い鉄錐が天明の頭蓋に突き刺さろうとしているかのようだ。


空手の「正拳突き」だ。


顔面への正拳突きに対し、天明は単純な「虎抱頭」で応じた。上方から受け流し、混元真気を腕に集中させ、巨大な力で一気にこの拳を弾き返した。そして反対の手に鉄砂掌の勁力を込め、瞬時に掌を伸ばし、龍崎真一の首筋へと打ち下ろした!


「やるな!」


龍崎真一の正拳が弾かれると、全身が微かに痺れ、腕が重くなる感覚に襲われた。その巨大な力で押し返されそうになり、後続の技が出せなくなった。この時初めて、彼は天明の力がどれほどのものかを知った。


「正拳で顔を狙い、返す肘で肋骨を砕く」


龍崎真一が正拳を放つ際、当然弾かれた後の変化も計算していた。相手が弾けば、その力を利用して身を翻し、肘打ちを叩き込んで敵の肋骨を砕く。


これが彼の後続手段だった。


しかし彼は天明の力を甘く見ていた。あの単純な虎抱頭による受け流しに、これほどの力が込められているとは!もし彼の基礎が堅固でなければ、この一撃で本当に押し返されていただろう。


「一力もって十技を制す」、力の差があまりに大きければ、どんな技も通用しない。


天明のこの一撃で、彼のリズムは完全に崩された。重心がわずかに乱れた状態で、どうして後続の技を繰り出せるだろうか。


必死に一瞬で重心を立て直し、なんとか後退せずに済んだが、天明の力の大きさに驚愕していた時、龍崎真一は突然頭皮が痺れるのを感じた。耳に風切り音が響く。まるで巨大な刀が頭上から斬り下ろされるかのような。


瞬時に瞼を上げると、龍崎真一は予想外の光景を目にした。


一つの掌が空中から打ち下ろされてくる。掌の縁は黒ずんで硬く、まるで鋼鉄で鋳造されたかのようだ。硬気功の勁力で掌縁は刃のように硬く、堅い木板を一撃で割れると疑いようもない。


天明の硬気功は修練期間こそ短いが、混元真気と組み合わせれば、その威力は侮れない。この理屈は簡単だ。内外兼修、剛柔並済、これは武術の基本常識である。


巨大な掌、鋭い掌風、この一瞬が完全に龍崎真一の首筋を覆った。


この瞬間、天明の手は刀と化し、龍崎真一の首はまさに斬られようとする標的となった。


仕方がない、なぜなら天明の掌は混元真気と硬気功を込めれば、本当に刃と化すのだから。


まるで鉄掌だ。


こんな掌で首を打たれれば、龍崎真一は少なくとも負傷することは確実だ。


「ハッ!」


危険が迫る瞬間を感じ取り、龍崎真一は即座に全力を爆発させた。黒龍会若頭にして空手三十年の達人、さすがに普通の極道とは格が違う。心臓が一度跳ね、全身の力が瞬時に爆発する。


身を翻し、頭を下げ、後退し、脚を引き、腰と脚に力を込めて身体を後ろに引く。まるで豹が回避するかのように、千鈞一髪の瞬間、なんとか半尺ほど後退し、危うくこの打ち下ろしをかわした。


これが彼の得意技「空手・閃身」だ。この技で、これまで幾多の危機を回避してきた。今回もなんとか危険を回避できた。


しかし、事態は彼の思い通りには進まなかった。この一掌をかわしたと思った瞬間、変化が起きた!


天明は一掌が空を切ったものの、そのまま打ち下ろした。ドンッ!混元真気が掌縁から爆発し、まるで木の棒を折るかのような音を立てた。巨大な気爆音が掌から発せられた。


半尺の距離で、勁風が刃のように飛び散る!


掌から拳へ。龍崎真一の顔面から半尺の距離で空気を爆発させた!


龍崎真一は頬に刺すような痛みを感じ、この勁風で顔が痛む。同時に、目も勁風に刺激され、思わず目を細め、涙が出そうになった。


天明の一掌は彼に当たらなかったが、爆発した勁風が、半尺の距離でも彼の顔と目を襲ったのだ。


一掌の威力、これほどまでに猛烈か!


龍崎真一は何も知らないチンピラではない。この勁風を浴びて、即座に相手の功力が尋常でないことを悟った。


しかし空手三十年の達人として、ここで引き下がるはずがない。


顔を勁風で打たれて痛むが、むしろ心中の戦意は高まり、頭の中にはただ一つの思いしかなかった。「面白い」と。


確かに、天明のような本物の武術を持つ相手を前にして、冷静さを保てる極道は多くない。


龍崎真一は所詮普通の極道ではなく、三十年空手を修めた若頭なのだ。


体勢を立て直し、龍崎真一の目に興奮の色が走り、再び攻撃に出ようとした。


彼が反撃しようとしたその時、他の極道メンバーたちが殺到してきた!


「若頭、気をつけて!」


「一斉にやれ!」


五、六人の極道が左側から襲いかかり、手には鋼管やバタフライナイフを持っている。


三、四人の極道が右側から襲来し、拳を振り上げて天明に殴りかかる。


さらに三、四人が後方から挟撃する。


十数人の拳と足が、天明の全身のあらゆる部位を狙ってきた。


十数人の連携攻撃は、龍崎真一ほど強力ではないが、数の多さで勝る。この威勢を前に、天明は龍崎真一を退けた後、勁力が分散し集中できないため、一時的に鋒を避けざるを得なかった。渾円樁法の「蜘蛛踏水」の歩法で素早く移動し、紙一重の差でこの十数人の連携攻撃の威勢を回避した。


この極道たちは達人ではないが、後続の手はある。即座に影のように天明を追い、追いつけば攻撃する。


しかし残念ながら、彼らの速度は天明の蜘蛛踏水の歩法より半拍遅い。天明が数メートル退いて大きく転身した時、彼らはようやく追いついた。


だが、この一瞬で天明は既に勁力を蓄え直し、全盛の状態に戻っていた。


大転身の勢いを借りて、天明の両腕はまるで二本の巨大な鉄棒と化した。気を沈め精神を集中し、感覚の中では周囲が真っ暗で、ただ自分の霊覚のみで振るい打ち出す。


少林寺の群戦技法「八方連環掌」だ。


天明の腕が振るわれ、鉄棒が乱れ打つかのように、混元真気と硬気功が合わさり、勁風が次々と空気を裂き、連続した鈍い破空音を発する。まるで虎の咆哮、龍の鳴き声のようだ。


一時、倉庫全体がまるで猛獣が檻から解き放たれたかのように、巨大な破空音が四方に響き渡った。


龍崎真一はその場で微動だにせず、目を細めていた。よく見ると、彼の顔には汗が浮かんでいる。


神代は目を大きく見開いていた。


他の極道メンバーたちは突進しようとした身体を、わずかに止めた。


天明が両腕を武器として「八方連環掌」を繰り出したその瞬間、その場にいる者たちの表情は実に豊かで、まさに一幅の名画として描けるほどだった。

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