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第38章 梵天塔ショップ





夕暮れ時、周天明(しゅう・てんめい)はようやく叔母の家に帰り着いた。


東京郊外にある二階建ての一軒家。豪華とは言えないが、地価の高い東京ではかなり良い住宅だ。天明が住んでいるのは二階の奥の小部屋で、十平米ほど。ベッド一つ、机一つ、クローゼット一つがちょうど収まる広さだ。


「ただいま」天明は玄関で小さく声をかけた。


家の中は静まり返っている。


リビングの電気はついているが、誰もいない。テーブルの上にメモが置いてあった。


天明が近づいて見てみる。


【天明、スーパーに買い物に行ってきます。叔父さんは残業でまだ帰ってません。冷蔵庫におかずがあるから、お腹すいたら温めて食べてね。——叔母より】


「ああ、みんな出かけてるのか……」


天明はほっと息をついた。叔母は優しいのだが、会うたびにあの190万円の借金のことをさりげなく持ち出してくるので、プレッシャーが大きい。


靴を脱いで、そっと二階に上がった。


自分の小さな部屋に戻り、ドアに鍵をかけて、ベッドの縁に腰を下ろす。長く息を吐いた。


ようやくゆっくり整理できる……


今日は色々なことがあった。剣道部の練習、南条の訪問、それに88万円の通話料金のこと……


「まず今の状態を確認しよう」


天明は心の中で梵天塔を呼び出した。「梵天塔、ステータスを表示」


彼だけに見える半透明のインターフェースが目の前に現れた。


【宿主:周天明】

【境界:鍛体期(初期)】

【現在の功徳値:1,700】


【基礎ステータス】

- 気血:120/150

- 精神:13,000(880ポイント消費済み)

- 財産:880,000円(通話料金)


【修練功法:

- 混元樁(こんげんとう)(入門級):進捗15%

- 鉄砂掌(てっさしょう)(入門級):進捗0%】


【所持アイテム:

- 補血丸×5

- 小還丹×1

- 補気丹×2

- 護体符×1

- 鉄剣×1】


天明はこのパネルを見て、特に「精神:13,000」という数字に注目した。


昨日、通話料金を手に入れるために880ポイントの精神力を消費した……88万円の通話料金を得たが、代償は記憶の一部を失うことだった……


「もうあの交換機能は使わない……」天明は心の中で固く誓った。


彼は注意を功徳値に戻した。


1700功徳。


これは以前のクエスト完了で貯まった功徳だ。以前900功徳をガチャに使ったが、その後「因果輪廻」クエストで800功徳を獲得し、その他の収入も合わせて、今は合計1700功徳ある。


「ショップを開く」天明は心の中で命令した。


【梵天塔ショップ】


インターフェースが切り替わり、カテゴリー分けされたショップ画面が現れた。


【カテゴリー:

1. 武学功法

2. 丹薬・丹方

3. 装備・武器

4. 補助道具

5. 特殊アイテム】


天明は直接「丹薬・丹方」カテゴリーをクリックした。


長いリストが目の前に現れ、様々な丹薬の名前と価格がびっしりと並んでいた。


【基礎丹薬】

- 補血丸×10:500功徳

- 補気丹×10:800功徳

- 小還丹×1:200功徳

- 大還丹×1:1,000功徳

- 療傷丹×5:600功徳

- 解毒丹×5:400功徳


【進階丹薬】

- 洗髄丹×1:5,000功徳(鍛体期必須、体内の不純物を除去し、根骨を強化)

- 築基丹×1:8,000功徳(鍛体期突破を助け、煉気期に進む)

- 培元丹×3:3,000功徳(内力を素早く回復し、功力を増強)

- 龍虎丹×1:4,500功徳(短時間で力と速度を大幅向上)


【高級丹薬】

- 破境丹×1:15,000功徳(境界の壁を突破)

- 天香続命丹×1:50,000功徳(瀕死の重傷を治療可能)

- 九転還魂丹×1:100,000功徳(死後一時辰以内なら復活可能)

- 小周天丹×1:20,000功徳(内力循環を加速し、修練速度向上)


【特殊丹方】

- 鉄砂掌薬酒配方(簡易版):200功徳

- 金鐘罩薬浴配方:500功徳

- 易筋洗髄湯配方:1,200功徳


天明はこれらの眩しいほどの丹薬と価格を見て、考え込んだ。


1700功徳……多く見えるが、このショップでは全然足りない。


洗髄丹は5000功徳、築基丹は8000功徳、これらの鍛体期修練に役立つ丹薬は、今の彼には全く手が届かない。


「まず修練に必要な丹薬を買おう」天明は決断した。


今手元には補血丸5個、補気丹2個、小還丹1個がある。


これらは以前のガチャで得たものだが、鍛体期初期の修練にはまだ足りない。


特に補気丹は、内力増強にとても役立つ。


「補気丹×10を購入!」


【功徳消費:800】

【獲得:補気丹×10】

【現在の功徳値:900】


淡い黄色の小さな薬丸10個が天明の手に現れ、ほのかな薬香を放っている。


天明はそれらを慎重に梵天塔の収納空間に収めた。


残り900功徳……


天明はショップ画面を見続けた。


補血丸も重要だ。鍛体期には大量の気血補充が必要で、今手元には5個しかなく、足りない。


「補血丸をもう一セット買おう」


【功徳消費:500】

【獲得:補血丸×10】

【現在の功徳値:400】


また10個の赤い小さな薬丸が現れ、天明は同じく収納空間に収めた。


今、手元には合計:

- 補血丸×15(元々5個+新規購入10個)

- 補気丹×12(元々2個+新規購入10個)

- 小還丹×1


「これでしばらくは修練できるはずだ」天明は満足そうに頷いた。


残り400功徳……


彼はショップインターフェースを閉じようとしたが、突然自分の基礎ステータス欄に気づいた。


【基礎ステータス】

- 気血:120/150

- 精神:13,000

- 財産:880,000円(通話料金)


天明はこの「財産」ステータスを見つめ、突然ある疑問が浮かんだ。


「待てよ……もし財産が基礎ステータスなら……」


彼はステータスの詳細説明をクリックした。


【基礎ステータス説明】


【気血:身体の生命力と体力を表す。鍛錬と丹薬で向上可能】


【精神:神識の強度と意志力を表す。修練速度と悟性に影響】


【財産:宿主が所有する使用可能な通貨総額を表す】


【注:基礎ステータス間には何らかの関連性が存在する……】


「基礎ステータス間に関連性が存在する?」


天明は瞬きした。


これはどういう意味だ?


彼は試しに「財産」の欄をクリックしてみた。


突然、小さなウィンドウがポップアップした。


【宿主の財産不足を検出】


【ヒント:基礎ステータスは限定的な変換が可能】


【現在利用可能な変換:

- 精神力 → 財産

- 気血 → 財産

- 寿命 → 財産】


天明はこの数行の文字を見て、完全に固まった。


精神力……


財産に変換できる?


つまり……お金に換えられる?


「これって……」


天明の心臓が激しく鼓動し始めた。


彼は【精神力 → 財産】オプションをクリックした。


【精神力を財産に変換】


【変換比率:精神力1ポイント = 1,000円】


【現在変換可能な精神力:13,000】

【獲得予定財産:13,000,000円】


1300万円……


天明はこの数字を見つめ、呼吸が止まるのを感じた。


もし全ての精神力を換えれば、1300万円が手に入る……


190万円の借金を返済できるだけでなく、1100万円以上も残る……


彼の指は画面の上で宙に浮いたまま、クリックしようとしていた。


しかし突然、昨日のことを思い出した。


昨日、通話料金を得るために880ポイントの精神力を消費した。


結果、頭痛が激しく、記憶の一部まで失った……


「もしまた換えたら……」


天明の指が空中で止まった。


「どんな結果になるんだ?」


彼はその魅力的な数字を見て、また自分の精神力の数値を見た。


13,000ポイント……


昨日880ポイント換えただけであんなに苦しかった。


もしもっと多く換えたら……


「ダメだ……少なくとも今は換えられない……」


天明は深呼吸をして、このインターフェースを強制的に閉じた。


お金は魅力的だし、借金の重圧も苦しいけど……


でも衝動的になってはいけない。


少なくとも、この変換機能の副作用を理解してからだ。


「でも……もし本当に追い詰められたら……」


天明はその変換オプションを見て、また携帯に表示された通話料金の残高を見た。


88万円の通話料金。現金に換えられるが、割引が必要で、しかもルートを探さなければならない……


もし直接精神力を現金に換えたら……


「まあいい、また今度考えよう」


天明は首を振って、この考えを一旦抑え込んだ。


彼はベッドに横になり、天井を見つめた。


しかし頭の中には、あの数行の文字が絶えず浮かんでくる:


【精神力 → 財産】

【変換比率:精神力1ポイント = 1,000円】

【現在変換可能な精神力:13,000】


1300万……


1300万……


天明は目を閉じたが、その数字は依然として頭の中から離れなかった。


窓の外、東京の夜はさらに深まっていった。


狭い部屋の中で、借金だらけの少年が、人生を変えられるかもしれない秘密を発見したばかりだった。


ただ……



《現在の状態:功徳400 / 精神13,000 / 財産880,000円(通話料金) / 借金1,900,000円》


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