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「あの幼馴染の女の子は、大丈夫ですか?」

「え?」


王子は、最初、きょとんとして、私の言葉に首をかしげていました。一瞬、頭の良い犬のようなしぐさだなと思ってしまいました。絶対に言葉に出しませんが。犬は、前々から飼ってみたいと思っておりましたが、王子と婚約したら、飼うのを許してくれるでしょうか。

出来れば、大型犬が良いです。一緒に遊んだり、散歩出来たら、どんなに良いでしょうか。と、いつも大きな犬を連れている方を見ると思います。

王宮は、広いですし、大丈夫だとは思いますが、顔をしかめる方もいらっしゃるかもしれません。そうしたら、別宅を作ったほうが良いのでしょうか。

…でも、そうすると、今度は犬と一緒にいられませんね。


ああ。思考が飛んでいました。

私がこうして、将来飼いたい犬種を思い描いている間も王子は、考え込んでいました。

本当に誰のことかわからない様子で、私は、いつも小さいころから王子と一緒にいる赤い髪の女の子。ルーナ・アシュレイの名前を挙げました。


「わかりませんか?」

「僕に幼馴染なんて、君以外にいなかったと思うけど」

「ルーナ嬢ですよ」

「……あぁ」


彼女は、いつも王子が帰国してくるのを、待ちわびていて、王子が帰国するとそうそうに喜び、出迎えておりましたから、てっきりそういう仲なのかと思っておりましたが、王子の顔を見るに、どうも違うようです。


「違いましたか?」

「彼女とは、そういうんじゃない」


ぶすくれた顔をしちゃって…。

こうしてみると、王子もやはり年相応の男の子ですね。

かわいらしいこと。


「ふふ」

「…嫉妬してくれてたんなら、まだよかったのに」

「嫉妬ですか?ルーナ嬢に?まさか。お似合いだと、ずっと思っていましたのに」

「なにそれ」


私の言葉に王子は、がっかりしたように、がっくりと肩を落としてしまいました。

私の言葉によほど、ショックを受けた様子です。

そこまででしょうか。

ルーナ嬢は、家柄も良いですし、確かに王子を好きすぎる態度は、わかりやすいですが、素直で優しくて、かわいらしい子だと思いますが。


「彼女は、僕の顔が大好きなんだよ」

「あら。そうでしたか。確かに無理もありませんね」


王子の顔面の良さは、国宝級ですものね。

まぁ、王族はみなそうなのですが。


「それに大臣が、彼女との婚約を進めてきたからであって、決して僕は、彼女に目移りなんてしてない!」

「そ、そうですか…」

「ずっと君一筋だから!」

「は、はい…かしこまりました」


私が、引いてしまうような勢いで、言わなくてもわかっていますのに。


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