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「……どっきり?」


私が、そういうと王子も周りで見守っていた使用人たちもがっくりと肩を落としていました。

なんですか。その反応は。私を呆れたような顔で見ている使用人たちの顔が、とてもうっとおしいです。


「ここではなんですから。…中に入って、お話ししましょうか」

「僕は、ここでもいいけど。証言者は、多いほど良いし」

「私が気にするのです。観客がいる中で、話すなんて、舞台の中だけで十分です。私は、落ち着いて話し合いたいです」

「君に従うさ」


そういって、私と王子が中に入ると、続きが気になるのか使用人たちが「お嬢様。そんな殺生な…」とぶつぶつ言っている声が聞こえましたが、当然無視です。


「それにしても一国の王子様が、あんなところで待っているなんて、聞いたことがありません。お兄様といい、王族の評判をあまり気にしなさすぎるというのも問題では?」

「別に、あんなことで落ちるような評判でもないさ。僕は兄上と違って、品性方向な人間として通っているからね」

「でも、兄に婚約者を奪おうとしている…なんて、書かれるかもしれません」

「それか、君がお金の力を使って、王子を買おうとしている…冗談だよ」

「…私、そんな風に見られているのですか?」

「あ、いや…」

「私、お金を使って人を買ったことなんて一度もありません」

「その通り。知ってるよ」

「じゃあ、どうして?」

「兄上が王太子なのは、君が婚約者だから…それは知ってるよね?」

「はい」


私が選んだから、ただそれだけの理由で、ヴィクターは王太子という立場を得ることができました。ですから、ヴィクターは、どれだけ醜聞を広めようと、本来なら、王太子にあるまじき学業の成績、態度をとろうと構われなかったのは、そのため。


「だから、兄上はその…君に…お金で買われたといったんだ」

「は?」


意味が分からない。

私が、ヴィクターをお金で買った?


「多額のお金を積まれて、仕方なく婚約者になったと、ゴシップ誌に乗せて…それから、たびたび君のことが話題に乗ってる」

「私が、お金で男を買うような悪女と?そして、自分は金の力で愛しの恋人と引き離された悲劇のヒーローというわけですか…?はぁ、どうりで。たまにおかしな男が現れると思ったら。どこの出版社です?つぶします」

「もうつぶされてるよ。君のお父上に」

「そうですか。それは、そうですわよね。お父様、こういうの耳が早いんですもの」


昔、自分を買ってくれと、しつこく迫ってくる男がいたのですが、そういう噂が一時期乗っていたのですね。

私は、男を買う悪女という認識を植え付けるようなことを書いた雑誌が存在していた。

だから、金に困った男が、私に買ってもらおうと来たのですね。

あの時は、温かくなったから、変な輩も現れるもんだと、そんなに気にしてはいませんでしたが…。ヴィクターのしわざでしたとは。


「婚約解消は、撤回します」

「え!?兄上とよりを戻すの?」

「いいえ。これまで、情をかけていたのが間違いでした。婚約解消は撤回。婚約破棄にしましょう。あの男、二度とこの国を跨げないようにしてやります」


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