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ぴらぴらと王子が持っているのは、ヴィクターが、国王になった際に設立したいと考えている女性グループのことや、法律改革が書かれている紙だった。

一丁前に自己啓発の本を読んでから、最近になって、目標を書いた紙やイメージボードと呼ばれる写真を張り付けているボードを壁に取り付けているからだ。

そして、それを見た王子が、あまりの馬鹿さ加減と下半身のことしか考えていないその「将来の目標」が書かれた紙を手に持ったのである。

もちろん、ばかにするために。


「お前…いい加減にしろよ…俺を誰だと思ってるんだ」

「兄。色情魔。婚約者の価値も知らずに、ないがしろにした愚かもの」

「俺を馬鹿にするのもいい加減に…」

「ぎゅあ!!!」

「な、なんだ!?」

「あ、兄上!なんでち〇こ、でかくしてんだよ!どこにでかくする瞬間があったんだ…ま、まさか俺に欲情して…?お、男もいける口になったのか?さ、最悪だ!気持ち悪い!変態!衛兵!!!」

「お、おちつけ。誰もお前に欲情するわけないだろ」

「離せ!変態!痴漢!実の弟に欲情するなんて!!!」

「してないって言ってんだろ!!!」


ぎゃーぎゃーと叫ぶ男たちの声も完璧に防音が施された部屋で、外には届いていなかったことは、ヴィクターにとって幸いだったのかもしれない。

ヴィクターの噂に実の弟にすら、欲情する最低男が加わることはなかった。

あと、実は男もいけるなんて噂も。

もし、加わっていたら、根っからの女好きであったヴィクターは気絶していたかもしれない。

ヴィクターは、家族と違い、差別主義だったので、同性愛を心底嫌っていたからだ。

触るな、先に触ってきたのは、お前だ、なんにでも欲情するなんて、もはや兄上は動物よりもひどい年中発情しているんだから、などとどったんばったん騒いでいた。


そんな二人は、ずいぶんと長いこと口論をしていたらしい。

しびれを切らした王が、二人の息子を呼びに人をよこすほどには。


「お二方。いつまで、話しているつもりです。陛下がお呼びですよ」

「聞いてよ!こいつ、俺に欲情して、ち〇こなすりつけてくる」

「な、なんですって!?」

「おい!そいつのいうこと信じるなよ!俺は、女にしか興味ない。しかもなんでこいつなんだよ!俺が、一番嫌いなのに!」

「ヴィクター様なら、ありえるかと…」

「それより、父上がお呼びであることをなぜもっと早く言わなかった。きっと、俺の王位継承についての話だろう。早くいかなくては」

「……王位継承についての話なのは、間違いないけどね」


―兄上が、想像しているのとは、違うと思うよ。

王子は、そう思ったが、もちろん口には出さずに、ひっそりと笑った。

きっと兄が、泣き叫ぶだろうと思って。


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