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特別な夜のために

今回紡がれる物語は、今宵行われる催しに浮かれる魔女様と猫のお話

日が沈み始めた頃、子ども達は家に帰宅し夕飯が出来るのを待つ。そんな時間帯だけれど今夜だけは特別な日である。

深い森の奥底にある小さな家の中で、今か今かとその時を楽しみに準備をしている女性がいた。

鏡の前で被っている帽子を少し傾けてみたり、いくつかのマントを箪笥から引っ張り出して羽織っては違うと脱ぎ捨てお気に入りのドレスと合わせる。


「うーん、どれがいいかな…」


コレじゃないと選ばれなかったマントたちが山積みになっている。頭を抱えながら悩んでいると一つのマントが横から飛んできた。


「これならどうかな?魔女様」


飛んできたマントはドレスや帽子とも似合うデザインで気に入って手に取る。バサッと勢いよくマントを羽織った。改めて鏡を見るとやっぱりこのマントが一番よく似合う。口角を上げながら後ろを振り返る。


「ありがと!メラン」


後ろにいた綺麗な青い瞳を持った黒猫に礼を述べる。

礼を言われたメランはそれを当然だと言う様に尻尾で返事をし、魔女様に渡したマントと同じデザインの自分用の小さなマントを羽織った。

魔女様は綺麗な衣装に身を包み、机の上に置いておいた小さなジャック・オー・ランタン型のカバンを手に取る。


「これは小さなオバケたちにあげるあま~いお菓子で~、いたずら用のカラー花火と悪い子を驚かすためのビックリポーション!」


トリック用の投げると辺りをカラフルに染めるカラー花火。トリート用の蜘蛛や目玉の奇妙な形をしたお菓子とかわいいオバケやコウモリの形をしたクッキーなどいろんな種類のお菓子を用意した。そして、ルールを破るような悪い子用に何が起こるかわからないポーション等々色々。

出かける前に持っていく物を確認する為、次々とカバンから中身を出して机の上に並べていく。本当にその小さなカバンから出てきたか疑いたくなるような量が机の上に広がっていった。

しかし、カバンからはまだまだ出てくる様で机の上は所狭しと物が広がっていく。

その様子を見ていたメランは懐中時計を確認した後、懐中時計を咥えて魔女様の肩に飛び乗った。


「魔女様、確認もいいけどそろそろ出る時間じゃないかな」


メランは時間が見えるように懐中時計を魔女様の前で揺らす。

魔女は目の前で軽く揺れる時計を見て一瞬驚き、カバンの中に手を入れた状態で動きが止まる。そして、時計の針が示す時間を認識した。懐中時計に示されていた時間は、出発する時間の5分前であった。

少し余裕はあるが、これ以上はカバンの中身を確認するために時間は割けない…。そう認識して少し慌てながら、けれども丁寧にさっきまで出していたものをカバンの中に戻していく。机の上に広げていたものを全てしまうと、メランは大きい用と小さい用の2つのネックレスを取ってきた。

メランの瞳のように綺麗な青い宝石みたいな石がついたネックレスは今回のパーティーへの招待状だ。ネックレスを一人と一匹は首にかけた。


出かける用の箒を手に持ち、鏡の前へ立つ。

格好がおかしくないか全身を確認した後、鏡に右手を伸ばす。すると、首にかけたネックレスが光輝き、指の先からどんどん鏡の中へと入っていく。

完全に右手が鏡の中に入ることを確認すると、魔女様とメランは勢いよく鏡の中に飛び込んで行った。


―さあ、ハロウィンナイトへ出掛けよう


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