表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

空は黒く染まった

−今回紡がれる物語は、不気味な夢をみる主人と飼い猫のお話−

逃げなきゃ

どこまでかは、わからないけど

後ろから来てるアレはだめだ

早く逃げなきゃ…


追いつかれ....


勢い良く起き上がる

息がしずらい…

動悸が激しく思考までも揺らす程に主張している

嫌な汗が頬を伝った

最近起きるとずっとこんな感じだ

嫌な夢をみた感覚はあるけれどどんな夢だったか思い出せない

ただ起きた後の感覚で怖いと感じてしまう

呼吸を整えているとカリカリと部屋の扉を引っかく音が聞こえた

聞き覚えがあるその音に安心し、扉を開ける

そこにはアメショの愛猫がいたこちらをちらりと見た後、足に体を擦り付けてくる

八の字を描く様に両足にくっついてこちらの顔を覗いて一つ鳴き声を上げた

その様子を見て自分の心が少し落ち着いてくるのを感じていた時


ジリリリィィィィ

聞き慣れた音に振り返る

窓際に置いてある目覚まし時計が鳴たのだ

足元にいる愛猫を抱きかかえ、目覚まし時計に近づいた

目覚まし時計のてっぺんに手を置き、ボタンを押す

漸く止まった音にホッとした

ふと隣に置いていた青いバラの置物が視界に映る

このバラはこんなに色が暗かっただろうか

そんな疑問が頭に浮かぶが愛猫の鳴き声ですぐに疑問は消え、いつもの日常へ戻っていった…


ーその晩


逃げる

にげなきゃ

走るはしるはしる

何かに足が引っかかり転んでしまう

足元を振り返ると蔓が巻き付いている

その蔓は段々と足から体へと伸びてきた

棘がはえているその蔓が絡みついてあちこちから血が垂れる

どんどん伸びてきたその蔓は血を吸い蕾を付けている

この蔓は…


ジリリリィィィィ

勢いよく跳ね起きる

今日もまた息がしずらい…

脳裏にアレと足に絡みつく蔓が浮かんだ

それと同時に足に違和感を感じた

慌てて布団をめくると足には何も付いてない

周りを見渡しても何も居ない

アレは夢だったのだと気が付いた

そこで漸く詰まっていた息をホッと吐き、少しずつ呼吸を整える

ずっと鳴っていた目覚ましを止め、ふと隣に置いていた青いバラの置物が視界に映る

アーチ状に伸びた蔓が夢で見た蔓に重なった

自分が買ったバラは明るい青だったと思うが…

気付かぬうちに蔓の先に付いた薔薇の花に手を伸ばしていた

指先が触れる寸前、大きな愛猫の鳴き声が聞こえた

手が止まる

扉の方からカリカリという音と愛猫の鳴き声が聞こえ、慌てて扉を開けた

扉の先で愛猫が待ち構えていた扉が開き、姿が見えてすぐに飛びついてきた

そんなに待たせてしまっていたかと愛猫をしっかりたぎ抱えた

足の違和感はすっかり消えていた

首元に擦りついてくる愛猫を撫でながら日常へ戻っていった


ーその晩


にげなきゃ

逃げなきゃダメだ

目の前の黒い影はこちらに手を伸ばしてくる

近づいてくるアレはトゲの様なものがミエタ

近づくたびにアレの正体が見え始めた

それはトゲだらけのツルの化け物だった

所々に花が咲いている

ただ、その色は血が固まった様な真っ黒い花だ

綺麗や何故と言う考えよりも先に恐怖と嫌悪が渦巻く

逃げても逃げてもアレからは離れられない化け物のツルが体中に巻き付く、振りほどこうとするが暴れれば暴れるだけ余計に苦しくなった

もう無理だ…


ガッチャーーン

どこかで何かが割れる音と同時に化け物が叫びだす

絡みついていたツルが力なく垂れていく感じがした

その時、視界が明るくなっていった…


目が覚めて一番最初に飛び込んできたのは愛猫だった

愛猫はお腹の上に座り、ゴロゴロと喉を鳴らしながら腕に絡んできた

いつもは締めているはずの部屋の扉が開いていた

頭がはっきりとしている

なんだか気分がいい

愛猫を少しずらし、ベットから降りる

目覚まし時計の音が聞こえなかったから時間を確認する為、視線をずらす

そこで違和感を感じた

近くにおいていた青いバラの置物がない

辺りを探すと棚の下にバラバラになった破片が散らばっているのが見えた

あの時の音はこれだったのか

ただおかしい…、青い色の花弁が見当たらない

探しても探しても見つかるのは真っ黒な花弁のみだ

買った時には綺麗な青い薔薇の花が咲いていたはずなのに…

そもそもこの置物はいつ買ったのか今では思い出せない

取りあえず愛猫が踏んで怪我するといけないので片付けようとした

その前にと時計を確認すると時計の針はとっくに普段起きている時間を過ぎている

慌てて準備をし始める

そして愛猫と共に部屋からでた

破片は帰ってきてから片付けよう

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ