表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

第7話

いよいよ最終回です!!

 今回は第三者視点ですが、詩音さんの独白から始まります。



 いい若いモンが三人が三人とも落ちてる。


 リンちゃんに聞いたところ、陸くんは……昨日は学校をズル休みして自室へ引きこもり。


 ナナたんはメッセ出してもなしのつぶて。


 芦辺くんは……(電話で話したのだけど)物凄いしょんぼり声で、『リンさんにお詫びしたい』と相談された。

 ナナたんからメールが来たあの日、芦辺くんは陸くんをぶっ倒しちゃったらしい……陸くんへの嫉妬から


『ナナたんに何かした??!!』って問い質したら芦辺くんは


『指一本触れてない!!!』


 と全力否定していたから私の心配は杞憂に終わった様だけど……


 三角関係だなあ……


 どうしてこうなっちゃうのかあ~


 あの“あこすた”のイベの時のナナたんと陸くんは……絵に描いた恋人達の様だったのになあ……



 詩音はタブレットをタップして“私服の陸”と“サフィルスター”コスの七海の“神”写真を改めて見てみる。


「やっぱり……どう見たって恋人同士だよね。もう一度ナナたんにメッセしてみるか、ラノベの感想にかこつけて……」




 その日の夕方になって、ようやく七海から返信が来た。



 七海  『色々とごめんなさい 自分の事が本当に情けなくて……お返事を書こうとすると自分の「嫌な」所とかが頭に溢れてしまってメソメソしてました。 読んでいただいたラノベのせいでシオちゃんが不快になってらっしゃるのではと心配もしていました。なにしろバッドエンドですから』



 詩音  『私は、あの結末に(:_;)だったよ。 “敏子さん”が女の幸福について語る場面も切なくて……JKのナナたんが書いたとは思えなかった! オトナ過ぎて……』



 七海  『想像なので、何でも書けてしまう感じでしたけど……“私の事実”はもっと酷かった……少なくとも“敏子さん”は婚約者から女性と言う“性”の価値を認めてもらえたけれど、私はそれすら無い。ただのウザイ“いきもの”なんです』



 詩音  『それは絶対に違うよ!!』



 七海  『私、はっきりと分かったんです。 “あこすた”イベの時……シオちゃんから写真を選んでってタブレットを渡されて……私、誤って別のホルダーをタップしてしまって……陸くんと“サフィルスター”さんの写真を見てしまったんです。 ごめんなさい! 日付を見たら、シオちゃんとリンちゃんの最初の()()の日だったから……陸くんはいっつも同じ格好してるって言ってたし、この女神の様な横顔は陸くんの大切な人に間違いない!!って!! だってこんなにも美しく優しい横顔の女性を私、見たことない!! だから

 陸くんにとって私はウザイ存在でしかないんだって!! なんで私は“オンナ”なんだろう!!ってイヤになります……』



 このメッセを読んで詩音は……


「ああああああ!!!!」


 と頭を抱えた。


「何という誤爆!! 二人がこじれた原因は……私の撮った“二人”の写真だったのか!!」


「とにかく!!“拗らせ”の誤解をすぐにでも解かねば」と打ち始めたメッセを……詩音は途中で止めた。


 そう、誤解を解くだけでは解決しないんだ!!


 あの子達の三角関係を「解消」してあげなきゃ……


「これはリンちゃんへの電話案件ね!! リンちゃんと打ち合わせしてからナナたんに返信しよう!」


「でも、三角関係を解消したら芦辺くんは……?」


 ここまで想いを巡らせて、詩音は自分の胸の中のモヤモヤに気が付いた。


「……そしたら、彼の面倒を私が見ようかな……」



 --------------------------------------------------------------------


 詩音とメッセのやり取りをしていると七海の胸は悲しみでパッツンパッツンになる。


「こんなになっても陸くんの事が未練なんだ……だからカレの口から決定的な事を聞きたくない……私って本当に愚かだなあ……」


 見つめているスマホの画面がピコン!と反応する。


「メッセ来た!」




 詩音  『そんなにオンナがイヤになったんなら“オトコ”になる?( *´艸`) またプライベートイベントする事になった(*^^)v』



 七海  『すみません 今はできそうにありません』



 詩音  『プライベートイベントだから、あの“サフィルスター”さんが来るよ(^_-)-☆ ナナたん! 私は会うべきだと思うよ!( * ॑˘ ॑* )⁾⁾ 実際に会ってみなきゃ分からない事や……諦めが付かない事もあるでしょ?』



 詩音がメッセを送ってから暫くして七海から返信があった。



 七海  『私は何のコスをすればいいんですか?』



 そのメッセに詩音はガッツポーズをしながら返信した。



 詩音  『決まってるじゃん!(^_-)-☆』



 --------------------------------------------------------------------


 詩音の運転するワンボックスカーは丸太の柵も朽ちてしまった様な“元”公園で停車した。 

 その公園には先客が居て……同じようなワンボックスカーが1台駐車されている。


 詩音と七海が車の外に出ると、なだらかな山道を“ヒナちゃん”が下りて来るのが見えた。


「シオちゃ~ん!! ナナた~ん!!」


 ヒナちゃんがニコニコ手を振ってる。


「ヒナちゃん! お久しぶりです!! 今日は何のコスされるんですか?」と七海


「私は、今日はカメラマン!!」


「そうなんですか? ヒナちゃんのコス、可愛らしいのに……」


「ありがと! でも私の本職?は、写真学科だから…… たっくんとは学科は違うけど同じ大学なのよ」


「そうなんですか……」


「ナナたんもウチの大学へ来ない?文芸学科もあるよ」


「いえいえいえ!! 私にそんな才能無いです」


 こんな、まったりとした会話をしていると詩音が声を掛ける。


「ヒナちゃん、ホント今日はありがとう! ()はどう?」


「ベストコンディションですよ! 私達、今、レフ板とか撮影機材上げてたんですけど……あっ!戻って来ましたよ!」


 ヒナちゃんが指さす坂の向こうから下りて来たのは芦辺だった。


「芦辺くん!! どうしたの?!」と驚く七海に、芦辺は照れくさそうに頭を掻いた。


「詩音さんが執り成してくれて……陸に代わって今日のイベントの手伝いする事で、オレの“蛮行“をチャラにしてくれる事になったんだ!」


「ああ、それは表向きね! わかるでしょ?!  本音はリンちゃんが芦辺くんの事を気に入ったから!」


 との詩音の言葉にヒナちゃんが大きく頷く。


「そーなんですよ! 今朝、リンちゃんの運転で来たんですけど、助手席は芦辺くんだった!」


「モテる男は辛いねぇ~」


「変にいじらないでくださいよ!!」


 その芦辺の様を見て

『大げさなリアクションで照れる芦辺くんは、私を気遣ってくれたのだろう……私もちゃんとしなきゃ!』

 そんな事を考えてしまう七海だった。



 --------------------------------------------------------------------


「このあいだと同じ様に“陸くん風メイク”だけど嫌じゃない?」と詩音はナピュアミラーを七海に渡す。


「この詰襟……陸くんが中学の時のですよね……」


 ミラーを覗きながら左袖を顔に押し当ててみる。



「この間より、少しだけ可愛い感じがします! 中学の時の陸くんって、こんな感じだったのかな……」


「じゃあ、撮影場所へ行く? ヒナちゃんが案内してくれるよ!」



 --------------------------------------------------------------------


 山道を逸れて少し下ると、いきなり薄紫の花が咲き乱れるお花畑に出た。


「これって!!ひょっとしたらあの……」


「そう! シラネアオイ!! この場所はね、リンちゃんの秘密の場所!!」


 七海は陸のあの言葉を思い出した。


『なかなか見られない景色かな。危ない吊り橋の向こうにあるシラネアオイのお花畑とか……北くんがそこからミナミちゃんへ実況中継するってシチュエーション! ミナミちゃんが望む方向へカメラを向けて、二人一緒に同じ景色を見る』


 陸くんはこの場所を知っていたから具体的なお花の名前が言えたんだ!!


 七海がここには居ない陸に思いを馳せると、ヒナちゃんが向うを指さした。


「見える? このお花達と同じ色の大きなリボン!! 『美少女戦士リボンスターズ』の“サフィルスター”の背中を飾る大きなリボンが!! まさにここは“サフィルスター”にふさわしい舞台だよね!」



 --------------------------------------------------------------------


 坂の途中で落ち合ったヒナちゃんとリンは連れ立って降りて来ると、詩音と芦辺が駆け寄って来る。


「どうだった?!」と詩音。


「今頃は、ご対面してると思う!」とリン。


「“サフィルスター”さんもとっても綺麗だった!!」とヒナちゃん。


「そりゃ、私が丹精込めたからね!」とリン。


「どんな心境?」と詩音


「そうね……娘を嫁に出したみたいで……ちょっと、いや、かなり寂しい」とリン


「あ、ダメだよ! そんなこと言っても!! 芦辺くんは譲らないよ!」と詩音。


「なっ?! 芦辺くん!! やっぱ! 付き合うんなら優しーいおねーさんだよね

 !!」とリン。


「いやいや、“連れて可愛い”キュンキュン詩音ちゃんでしょ!!」と詩音。


「分かってないなーおねーさん達は!! 長―く付き合うんなら歳の近い“話が通じる”私でしょ!!」とヒナちゃん。


「あーヒナちゃんがディすった!!」「その物言い!! 腹黒!!」と詩音とリンがブーイングすると


「女の子のこのくらいのブラックは可愛さのスパイスで~す!!」と対抗するヒナちゃんは芦辺の首に縋り付いて見せて、皆でキャイキャイと芦辺を取り合った。



 --------------------------------------------------------------------


「やっと“サフィルスター”さんに会えた!!」

 近づいて行くと“サフィルスター”はゆっくり振り返って七海に微笑みかけた。


「ああ!! 本当に女神のよう!! 何て美しくて優しいお顔!!」


 “サフィルスター”に見つめられて七海はドキドキが止まらない!!


「何て声を掛けよう?? 言葉が見つからない……」


 ふと足元を見るとスニーカーに露が乗って日差しをキラキラ弾いている。



「あの! 今は何を履いているんですか? 私はスニーカーだけど、露がキラキラ宝石みたい……」


『あああ!!! 私は何を言ってるんだ!!』

 と顔を赤らめる七海に“サフィルスター”は声を掛ける。


「今は靴は履いていないよ! 素足にストッキング」



 えっ???!!!!


 この声???



 七海は思わず両手で口を覆う……



 七海の頭の中を


 あの懐かしい思い出達が……


 一緒にお昼を食べながら交わした言葉達が……


 陸の声が!!


 凄まじい勢いで駆け巡る……


 そして



 『美少女戦士リボンスターズ 第27話』の“神シーン”が……



 七海はスーッと息を吸い込み、ゆっくりと語り掛ける。


「サフィルスター!! キミはいったい誰なんだ!! 僕は、キミにとても良く似た人に、恋焦がれているんだ!!」


 サフィルスターは陽の光をいっぱいに受けた輝く笑顔で問い掛けに応える。


「私の本当の名前は『七海』!! あこすたの時もそして今も!! あなたの名前は陸! 私が生涯愛し!守り抜くと決めた人!!」


 そうしてサフィルスターが両手を広げると、『陸』はその胸に飛び込み、サフィルスターは深く深く陸を抱きしめた。



 --------------------------------------------------------------------


「こんなところをビデオに録られたら……せっかく君が守ってくれたのに、不純異性交遊で挙げられるな」


「大丈夫よ! 私達お互い、しっかり『着ぐるみ』着てるんだもん! でもちょっぴり寂しいかな……」


「寂しい?」


「だから!!」


 麗しき男装令嬢は背伸びして眉目秀麗な女装男子の頬を両手に包み、その唇に口づけた。


「ふふふ、これで裸の陸くんと触れ合えた」


「お互い口紅で色づいてるけどね」


「いいの!乙女の裸はそういうものよ」


 頬と頬とくっ付け合い


 ふたりはずっとずっと抱き合った。



 他の『戦士』達がやって来るまで……



                  

                               

                              おしまい


もうとにかく時間切れなのと、涙グシュグシュなのとで取りあえずの投稿です。


修正はおいおい……<m(__)m>




ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ハッピーエンドにゃ〜♪ しろかえでたん、感動したのよ(。ノω\。) いつもより可愛い文面も 好きでした(*˘︶˘*).。.:*♡ [一言] 完結お疲れさまでしたぁ〜。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ