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第3話

今回は短めです(^^;)

 今回は第三者視点です。





「鈴木さん!ゴミ捨てよろ!」



 教室に七海を独り残して掃除メンバーはぞろぞろと帰って行った。


 七海は軽くため息をついてゴミ袋の口を結わえる。


 と、ドアがガラガラと開いて手に長い紙筒を持った男子生徒が一人で入って来る。


「あ、鈴木さん居たんだ!」


 声を掛けられた七海はドギマギと言い訳をする。


「あ、まだゴミ捨ててなくて……掃除は済んでます。芦辺さんは……ひょっとして川口さんとかとミーティングですか?」


 川口さんと言うのはこのクラスの“一軍男子”!!七海の苦手なタイプで……今度の体育祭の実質的な“仕切り役”だ。

 一方、このプリントを持っている“芦辺”はクラス委員で……どちらかと言えば“雑務”の引き受け役をしている。


「ん、今日はまだ……ただ、山田先生から“ポスター”を貼って置くように言われてさ!」


「横山さんは?」

 ともう一人のクラス委員について訊くと


「彼女は今日は塾だから先に帰ったよ」


 と、ポスターを教室の壁に高く差し上げながら芦辺は言葉を返す。



 クラスの男子の中では真ん中より少し前の背の高さの彼はポスターの左右の高さを合わせ辛そうだ。


「手伝いましょうか?」


 七海が芦辺の横に立つとちょうど同じくらいの背丈で、ポスターを貼るには好都合だった。


 二人、後ろに下がって貼ったポスターを確かめる。


「うん! ちょうどいい感じだね! ありがとう!助かったよ!」

 と芦辺が七海の方へ顔を向けると、七海のブレザーの制服のポケットがピコン!となった。


 スマホを出して見ると、“シエルのファンミーティング”で仲良くなった凛さんからのメッセだ。


『今、話せる?』



 七海は逡巡して芦辺の顔を見ると


「オレ、報告で職員室へ寄るから、ついでにゴミ捨ててくるよ!」


 とゴミ袋を持ってくれた。


「あ、ありがとう」


「こっちこそ『ありがとう』だったから」と芦辺は教室を出て行き、七海は連絡先の『佐藤 凛<レイヤーさん>』と書かれた行をタップする。



 と、凛が、秒で出た。


「あ、七海ちゃん?! 詩音さんが来るのよ!!! これから!! ウチの弟、迎えに寄こすから南口の改札前まで来て!! 一緒に会おうよ!!」


「あ、あの、私まだ学校なんですけど……」


「平気よ! 弟も学校帰りに直接待ち合わせ場所へ行くから!! そうそう!! 七海ちゃん、スクバに『サフィルスター』のチャーム付けてるんだよね! それで分かるから!」


「『サフィルスター』で分かるんですか?」


「アハハハ! だって私の“弟”だよ!」



 --------------------------------------------------------------------


「で、その子はスクバに『サフィルスター』のチャーム付けてるから! 分かるよね?!!」


 スマホから興奮した声が漏れ出て来て……陸は耳からスマホを離した。


「そりゃ分かるよ! 自分がコスしたキャラは……」


 凛の興奮した話っぷりはまだまだ続く。


「そう!それよ!! 詩音さんからのお誘いでさ! 今度の()()()()で、また『美少女戦士リボンスターズ』の“併せ”をしようって言われて即答しちゃった!」


「えっ?! さすがにオープンじゃオレ、コスできないよ……」


「分かってるわよ! だから()()()()どーしても『サフィルスター』をやってもらわなきゃならないの!! だから死ぬ気で口説いて!!」


「えーっ?!」


「彼女も背が高いから、ハイブーツ履かせたら“陸”以上の『サフィルスター』になれるはず!!」



 電話を切った陸は思わずため息をついた。


「オレの身代わりを押し付けるみたいで正直気が重い……あっ! その子の名前も聞いてないや……でも、姉ちゃん、すっごく喜んでたからなあ~頑張らなきゃ!」



 --------------------------------------------------------------------


 駅に着いて、遠くから南口の改札に目をやると、見覚えのある顔がソワソワと立っているのが見える。


「あれは……鈴木さん?!」



 遠目に見る七海は明らかに誰かを待っている風で…

 頬を染めながら落ち着きなく辺りを見回している。


「カレシ待ちかなあ……オレも女子待ちだし……なんか誤解されそうで気マズいなあ……」

 彼の胸の内に、何だかモヤンとしたものが立ちこめる。


「……別に、関係ない訳だし、鈴木さんもカレシ待ちかもしれないし!」


 でも姉ちゃんの友達から誤解されると困るからと…少し距離を取って、そっと七海を窺うと……目が合ってしまった。


「あっ!!」「陸くん??」


 二人同時に声が出る。


「今、帰りなんだ!」


「うん、今日、掃除当番だったから」


「陸くんは寄り道?」


「えっ?! オレは人と待ち合わせしてて……鈴木さんは?」


「ワタシ?! えっと、あの……知らない人と待ち合わせで……」


「えっ??!!」

 陸の物凄く怪訝な表情に七海は慌ててバッグで顔を隠した。

 バッグに付けてるチャームがピョン!と飛び跳ねる


「違うの!! 変な意味じゃないの!! お友達の弟さんが迎えに来てくれることになっていて……」


 その様子に、陸は思わず吹き出した。


「あの!鈴木さんのお友達って“凛”さんじゃない?」


「えっ?! どうして??」


 陸は七海のスクバにぶら下がっている『サフィルスター』を指さした。


「なるほど!! 姉ちゃんが言った様に『サフィルスター』役にピッタリかも!」



「ええええええ!!!」


 思わず叫ぶ七海の声が駅の中でこだました。





 つづく


明日明後日お休みします。



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