33
転倒せず踏みとどまったグレートジャスタイタンの放射熱がさらに上昇する。まるで真夏の太陽のようだ、と思いきや、唐突にセーラー服が消え失せた。またもやビキニ姿に戻るすもも。しかし、これはラブリーアーマーではない。ただの桃色の水着だ。しかもトップスがない。
「わ、わわわっ、な、なんでっ」
すももは焦って、両手の手のひらで胸を隠した。
「そうだ! それこそがチラリズムの極致、まさに露出との臨界点……いくぞっ!」
僕が叫ぶと同時に、すももは両肘を上げ、グレートジャスタイタンに向かって突進していく。
「手ぶラリアット!」
すももの肘鉄がグレートジャスタイタンの頸部に炸裂した。ばちばちと走った電気が灼熱と化した装甲の上を走る。
『い、いかん。誘爆する……合体解除ッ』
ジャスティンが叫んだ途端、ジャスタイタンから分離したジャスイーグルは、そのまま落下していく途中で爆発した。その破片を浴びながら、地上へ降り立つジャスタイタン。それを追って、すももも地上に着地する。
『モーマ……どこまでも低俗なやつめッ』
最初の形態に戻ったジャスタイタンが指を差してなじる。
「なんとでも言え! これが僕の、僕たちの戦い方だ。なっ、すももっ!」
すももを見上げる。また白い目で僕を見下ろしている。当然、うなずいてはくれない。だけど、今がチャンスだ。ジャスタイタンは視界を失ったままのはず。僕は意を決した。
「すもも、手ブラを外せ!」
「ば、馬鹿なこと言わないでっ!」
「分かってくれ! この機会を逃すわけにはいかないんだ!」
「な、なんの機会なのよおっ! え、ちょ、ちょっと! もういやあああっ!」
半べそをかいたすももは、顔を真っ赤にして抵抗するが、その意志に反し、その左右の指は胸から一本ずつ剥がれようとしている。それはまさにカウントダウンを見ているようだ。
5で親指、4で小指、3で人差し指(これで上乳は丸出しだ)さらに2で薬指(これで下乳も完全に露出した)そしてついに1で中指が……
「巨乳光線(Dカップビーム)っ!!」
最後に手のひらが胸から離れた瞬間、そこからショッキングピンクの電撃がほとばしった。
「なんでサイズ知ってるのよおっ!」
すももの悲鳴とともに、先端がピンクの鏃形になった肌色の光線が、ジャスタイタンを襲う。
『タイタニックレイッ!』
直前でジャスタイタンが両手から放った白い光線が、巨乳光線を防いだ……が、僕の想いの丈を込めた光線が、そんなもので止まるものかっ!
『ぐおおおおおおおおおおッ!』
「いやあああああああああっ!」
新旧ヒーローの悲鳴の競演があたりにこだまする中、巨乳光線が白い光を粉砕し、ジャスタイタンを飲み込む。
『馬鹿なああああああッ!』
ジャスティンの叫び声。一拍おいて、ジャスタイタンが大爆発を起こした。
「や、やった……」
再び手ブラをしたすももが、安堵の息を吐く、
「まだだ。まだ終わってない!」
ロボが爆発する寸前、ロケット形の脱出用ポッドが外へ飛び出したのを僕は見逃さなかった。
「あれを捕まえるんだ!」
僕が言うより早く、すももの手はポッドに伸び、ダイビングキャッチでそれを捕まえていた。すももは地面に寝そべったまま、
「なんか服着せてよっ! このままじゃ立ち上がれないよおっ!」
涙目で言う。それもそうだ。
「わ、わかった。えっと……」
すももの身体を光が包み、ぽん、と煙を上げ、すももの身体に黒いレオタード、尻に白くて丸い尻尾、脚には網タイツ、頭にはウサギの耳のオブジェという……
「なんでバニーガールなのよっ!」
い、いかん、いかん。えっと、戦闘服だから……と思うと、すももが素肌に鋼の甲冑をまとったアメコミ風の女戦士に変身する。
「な、なによ、これ! なんなの?」
だめだ。これ幸いと、次々に妄想が湧き出てしまう。ナース、魔女、体操服、婦人警官、客室乗務員……どんどん変身していくすもも。いやあ、なんて楽しい……
「はじめちゃんっ! もういいかげんにしてっ!」
怒ったすももが言った瞬間、僕とすももの合体が解除され、僕の身体はごろんと地上に投げ出された。すももも客室乗務員の制服を着たまま、元通りのサイズに戻っている。
「転身っ!!」
すぐさまリアライズに転身するすもも。
「はじめちゃんのエッチっ!」
ぷい、とそっぽを向くリアライズ。
「ご、誤解だよ。僕はジャスティンに勝とうと精一杯妄想して……」
うまい言い訳を探し出せないでいるうちに、ジャスタイタンの脱出用ポッドのドア枠から勢い良く水蒸気が噴き出した。水蒸気が止まると同時に、がしゃん、と下向けに開くドア。中から白い人影が現れ、階段状になったドアを降りてくる。
「ぐ……ぐうッ」




