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「まあ、そうだな」

「そんな考え方だから、みんな、おまえのことが大嫌いなんだよ! ヒネオにしたって、お前が強いから、それを利用して従ってるふりしてるだけなんだよ! お前には本当の友達なんて、一人も……うがっ」

 顔面を殴られて、吹っ飛んだ。

「……言いてえことは、それだけか?」

 指の骨を鳴らしながら、肩を怒らせて近づいてくるジャンボ。

「はじめちゃん!」

 駆け寄ってきたすずのすけが僕の身体を起こしてくれる。ほとんど裸になって震えるすずのすけをしっかりと腕の中に抱きしめ、ジャンボと向かい合う。

「お前みたいなやつ、どっかに……どっかにいなくなっちまえっ!」

 周囲の光そのすべてが僕の体内に流れ込み、あたりは一瞬にして真の闇に閉ざされた………うろたえるジャンボとヒネオ。僕は集めた光を瞬時に解放する。放射された光のエネルギーは図書室を吹き飛ばし、二人の小学生の肉体など木っ端みじんに……………………………………………………………………………………………………………………………………………………

「わああっ!」

 気がつくと、僕はベッドの上で横になっていた。明るいグレーのパンツスーツを着た色白の女の人が僕を見下ろしている。

「す、すずのすけは?」

 僕は起き上がって、聞いた。女の人は僕に微笑みかけ、

「あの子なら大丈夫。先に帰ったわ。あなたの目が覚めるまでここにいるって言ってたんだけど……」

「そう……よかった……」

 ほっとして、再びベッドに倒れ込む。

「よく聞いて。一谷はじめ君。大事なお話よ」

「え……?」

「あなたはさっき図書室で、あるヒーロンを発動したの」

「じゃ、じゃあ、ジャンボとヒネオは……? あの光線で、僕が殺しちゃったの?」

 血の気が引き青ざめる僕に向かって、女の人は微笑み、首を横に振った。

「いいえ。豪田君と田原君なら大丈夫。図書室から逃げていくところが目撃されてるわ」

「図書室はなくなってないの? だって、確かに僕は……」

「それは、あなたの妄想なの。あなたのヒーロンはね、あなたが妄想している間、外部からのあらゆる肉体的精神的刺激に対して絶対不可侵障壁を形成する妄想壁デリュージョンバリケードっていう能力。破壊力はないけれど、強力なヒーロンよ。そのおかげで、あなたとあの子は助かった。図書室で動かなくなっていたあなたたち二人を、六年生の図書室委員が見つけたの」

妄想壁デリュージョンバリケード……」

 女の人はうなずき、席を立つ。

「あなたは、行かなきゃならないわ」

 寂しげに女の人は言った。

「行くって、どこへ?」

「ここじゃないところ。強力なヒーロンを公衆の面前で発動して、多くの人間に能力者であることを知られてしまったあなたは、違う場所で、一般人として新しい生活を始めなければならない。悪い人に利用されないようにね。もちろん、ご家族は一緒よ」

「すずのすけは……?」

「あの子は、ここに残る。行くのは、あなただけ」

「そんなっ。それじゃあ、すずのすけ、一人ぼっちになっちゃうよ。あいつらきっと、今までよりひどいことをするに決まってる!」

「大丈夫。そんなこと絶対に私がさせないから」

「……どうやって?」

「私はね、明日からここの教頭になるの。どんないじめも、絶対に見逃さない。あなたに約束するわ」

「本当に? 本当にすずのすけは大丈夫なんだね?」

 女の人はうなずいた。

「僕はもう、すずのすけとは会えないの?」

「まさか」

 女の人は軽やかに笑う。

「あなたたちは、きっとまた巡り会う。少しの間だけ、離れ離れになるだけよ」

 ……風の噂では、相馬第三のいじめは新しくやってきた教頭先生の尽力であぶり出され、なくならないまでも、ずいぶん少なくなったと聞いた。

 僕はと言えば、彼女の言葉通り、しばらく学校を休んだ後、そのまま家ごと隣町へ引っ越した。新しい学校では、新しい友達もたくさんできた。もちろん、ヒーロンのことはみんなに内緒だ。小学校高学年になる頃には、そのヒーロンの制御も完全にできるようになった。今は、中学受験をして、合格した舘伝中学で、男ばかりに囲まれた、むさ苦しい生活を始めている。

「いってきます!」


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